こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局のFukuです。
「gokigen Lab.」は、からだやこころのことをみんなで話したり、解決策を探りながら知識を育み、からだやこころがご機嫌でいられるための商品やサービスをみんなで開発するオンライン研究所です。
2022年の「gokigen Lab.」発足に先がけて、お客さまにアンケートを取ったところ、からだやこころの悩みについて不安を抱えている人や、もっと情報が欲しいと思っている方がおよそ7割もいらっしゃることがわかりました。
そこで、からだのことを知りたい・解決したい人、医師などの専門家をラボメンバーとして、みんなでオープンに話せるオンライン研究所として、Webメディアが完成しました。
インタビューや対談記事を通して、専門家のアドバイスや多様な生き方を知ることで、解決に向けた選択を、自分で行うヒントがきっと見つかる。性別も世代も超えて、誰もが健やかに暮らすためのヒントに溢れています。
「gokigen Lab.」を発足してから、ご自身のこころにも変化があったという「gokigen Lab.」編集部の三宗千尋さんに話を伺いました。
話し手:三宗千尋さん
聞き手:フェリシモしあわせ共創事務局
Q1、「gokigen Lab.」は、どのようなきっかけで発足したのでしょうか?
「gokigen Lab.」ドクターとして監修をお願いしている婦人科医の宋美玄先生との出会いからはじまります。宋先生は、フェリシモでよくお買いものをしていただいているというご縁もあり、「女性のからだやこころに役立つアイテムがフェリシモさんにあればいいのに!」と以前からご提案いただいていました。そのようなお話を聞いたことをきっかけに、私たちの普段の生活のなかで、自分のからだのことを人に話したり、相談する機会がないことに気付いたんですよね。宋先生と座談会をさせていただいたときに、話しづらかったことや、それ知りたかった!ということがみんなの口からぽんぽん出てきて、「こうやって気軽に話せる場が必要かも!」と実感したことから、プロジェクトの発足へとつながっていきました。
Q2、どんなメンバーが、どのようなことを行うラボなのでしょうか?
ラボを立ち上げる前に、お客さまへアンケートをとったところ、6000人以上の方からからだのことを知りたい・解決したいという切実なお声が届いたんです。ラボメンバーはそのお客さまたち、ドクターやライターなどの専門家、商品企画メーカーを含みます。私たちは通販などを手掛ける企業ですので、もともとはフェムテック商品の販売を企画のメインにと考えていたのですが、寄せられたお声を拝見していると、どうやら商品だけで解決できることばかりではなく、からだのことを知る手がかりとなる“情報”が必要とされていることがわかったんです。他人に話せなくて、ひとりで抱えている状況に寄り添い、お役に立てる商品を企画しつつ、より生きやすくなるための選択肢を広げるプロジェクトにしようということで、商品と情報の2軸からなるWebメディアを立ち上げました。
Q3、gokigen Lab.のWebサイトには、リアルな情報が細やかに掲載されていますね。
ラボメンバーのリアルな声を常に聞きながら、“今”必要とされているからだ・こころ・性にまつわる情報を発信しています。例えば、宋先生からは医学的なエビデンスある解決策や子どもへの性教育に関することをお聞きしたり、ジェーン・スーさんと堀井美香さんの対談ではざっくばらんに更年期の等身大のお悩みを共有していただいたり。著名な方をはじめ、できるだけたくさんの方の声を聞けるメディアに育てながら、ラボに参加する人の間口を広げていきたいと思っています。
Q4、お客さまとはどのようにコミュニケーションをとっているのでしょうか?
Webには「gokigen Lab.POST」というものを常設していて、いつでも悩みやアイデアを投稿していただけますし、メールなどを通して日常的にアンケートに回答していただくこともあります。毎日のように切実なお声が届きます。そのお悩みポイントを分析しながら商品開発を行ったり、誰に何を聞くべきなのかインタビューの企画を立てたりします。ざっくばらんに話していい場だとわかった途端に、堰を切ったようにたくさんエピソードを話される様子をみていると、自分も含めて、これまではほんとうに性のこと、からだやこころのことを人とお話する機会が少なかったのだなと感じます。実際に私も、このプロジェクトに関わってはじめて人前で「生理」という言葉を発したほどでしたから。
Q5、からだやこころのことをオープンに話せる場ということですが、関わる人の性別や世代感はどのようなものなのでしょうか?
私たちが目指しているのは、性別や世代を超えて誰もが健やかに暮らすための提案です。フェムテックとは、女性ならではの悩みをテクノロジーの力で解決していこうというものです。しかし、代表的な商品である吸水ショーツですらまだ取り扱っている店舗は少なく、使う方にとってもまだハードルが高いと感じています。また、女性に限らず男性にも悩みはあるはずですが、男性向けのからだやこころの悩みに応えてくれる情報は女性に比べて圧倒的に少ないのではないでしょうか。例えば、女性が性に関する不調や悩みを抱えた際は産婦人科に行くというは周知の事実であっても、男性が同じように悩んだ時は泌尿器科が該当するということはあまり知られておらず、「どこにいけばいいのだろう……」と不安を抱えている方もいらっしゃると思います。そして、大前提として、「そもそも性別とは?」ということは常に自問しており、戸籍上の性別と性自認が異なる方などさまざまな方にも届くメディアにしたいと考えていますし、世代についても実に多様で、更年期特有の症状や不安に悩んでいる方も多く、求められている情報の幅は広いですね。
Q6、からだやこころのことを考えるためには、多様性が大前提にありますね。「gokigen Lab.」がはじまって、メンバーや三宗さんご自身の考えに変化はありましたか?
サイト上では編集部のメンバーで「ぶっちゃけトーク」を行ったりなんかもして、生理のことや関連商品のことについて情報交換したりしています。けれど、生理ひとつとっても、症状や必要としているものは十人十色。メンバーのなかには、長年PMSに悩んでいるメンバーだったり、生理痛が重いと思っていたら筋腫が原因だったため治療を行っている途中だというメンバーだったり、人知れず悩んできましたという人もたくさんいます。「私だけじゃなかったんだ」という安心感のせいか、私も、「gokigen Lab.」を立ち上げてから、性にまつわる話題のタブーがどんどんなくなって、すごく話しやすくなりました。そうした実感を得られるゆるいトークの場を定期的に設けて、宋先生を交えて専門家の意見を伺ってみたり、お客さまや編集部メンバーの本音を聞いたりする機会を増やしていきたいですね。
Q7、お客さまの反応はいかがですか?
ほんとにたくさんの方から、ご自身の体験や悩みをたくさんお寄せいただいてます。「これって病気?」「どこに相談すればいいのかわからない」といったお声が圧倒的に多いです。なかにはつらい体験を共有してくださる方もおられて、「みんなこんなにも不調を抱えながらがんばって生きておられるんだ……」と励まされながらも切ない、複雑な思いにかられることもあります。
また、全国のお客さまから話をお聞きするなかで感じたことのひとつは、住んでいる地域によって生じる情報量や受けられる医療の選択肢のギャップです。例えば、更年期を迎えた女性が受けられるホルモン治療はいくつか種類があるのですが、東京の女性に聞くと、婦人科に行けば比較的気軽に治療薬を処方してもらえるようですが、地方にはその選択肢が少ないというようなこともお聞きします。月経困難症や過多月経の改善といった効果が期待できる、日本では避妊用として知られているミレーナについては、都会部では施術してもらえるところが増えてきていますが、地方ではまだまだ浸透していないという状況です。選択肢の幅が違うんです。私たちがWebメディアを立ち上げた背景には、選択肢を増やして自分でからだのことを選んでもらいたいという思いがありますので、どこにいても情報を仕入れることができるWebのメリットを活かして、できるだけ多くの選択肢を提示できるメディアになればと思っています。
Q8、商品やサービスもオープンに話し合いながらつくり、バージョンアップしていくそうですね。
お客さまから寄せられたリアルな声をもとに、かゆいところに手が届く商品を企画していきたいと思っています。商品企画の打ち合わせをしているなかでも、リアルな体験がベースになることが多いです。例えば、社内で会議や商談が長引いたときに、生理中だけれどトイレに行く時間がなくて、経血が漏れてしまうという心配に対して、イスを汚さないために敷く布が欲しいというアイデアが出ました。私は、自分の服よりもイスの心配をする事実に驚きもありましたが、他人に迷惑をかけたくないという思考や、会議中は離席しづらいという雰囲気など、いろいろな要因からその発想に行き着いたのだと思います。こうした、テクノロジーだけでは解決できない、社会性やメンタル面からくる課題はきっとたくさんあり、誰かひとりが我慢したり、恥ずかしい思いをしたりすることって、商品や情報だけではカバーできないことだと思うんです。だから、「gokigenLab.」では、人と話すことで「それって当たり前だよ」とか「生理のときは休んでいいよ」などと、ケアしあえる関係を築いていきたいですね。
Q9、今、取り組んでいることがあれば教えてください!
私たちが「gokigen Lab.」を立ち上げたときに目指したのは、「日常をどうすこやかに生きるのか」ということです。子育て、介護、仕事の責任など、それぞれを取り巻く環境があり、複雑に絡みあうストレスを抱えて生きているのが現代社会だと思います。そうした社会において、出口のないこころの悩みを持っておられる方が気軽に話せるコンテンツも充実させていきたいと思っています。例えば、宋美玄先生と受診するみたいに気軽に悩みを話せる場をオンラインで上に設けるなど、オンラインでのイベントも増やしていきたいと思っています。
以前、宋先生がおっしゃっていたのが、病気を疑って受診したものの、実際にはかぶれているだけだったなど、ひとりで抱えることで深刻化してしまっているケースも多いようなのです。「このくらいのことで病院に行っていいのかな」とか「こんなこと先生に聞いてもいいのかな」と迷って病院に行けないとか、遠慮して聞きそびれてしまうようなことも話せるサロンみたいなことを今後は展開できればと思っています。また、商品については「性教育カード」の企画を進めています。子どもへの性教育をどうしようと悩んでおられるご家族に向けた、子どもとともに学べるツールです。商品開発については、購入いただいた方から率直なフィードバックをいただくことで商品を改善し、バージョンアップを繰り返していくので、「gokigen Lab.」は終わりのないプロジェクトと言えるのかもしれません。
Q10、今後の展望をお聞かせください。
生理、更年期やジェンダーに関することなど、性にまつわるデリケートな情報を掲載していますが、私たちもまだ手探りな部分があり、学びながら育てるプロジェクトだと痛感しています。どれだけ配慮をしていても、至らないところもあり、お客さまから率直なご意見をいただくこともあります。けれど、「gokigen Lab.」はすべての人に開かれたオープンなプロジェクトを目指しています。ですから、私たちのコミュニケーションのあり方をはじめ、情報の精度や知りたい情報に関するアイデアなど、どんなことでもお客さまと意見を交わしながら、ともに成長していけるメディアに育てていきたいと思っています。
コメント