こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局のFukuです。
2024年秋に1周年を迎えたブランド「FOUR MEDLEY(フォーメドレー)」は、「いまと、みらいと、あなたと、わたし」という4つをつなげ、その関係をはぐくむような商品を届けることで、よりよい未来への一歩を描いてゆくブランドです。
サステナブルな未来を目指して、日々さまざまな商品や活動が生まれる世の中で、「FOUR MEDLEY」は、より胸のときめきを大切にしながら、真摯なものづくりによって生まれる商品をセレクトしています。ブランドが誕生するまでの道のりを、西原孝幸さん、下内香苗さん、渡辺明奈さんにお聞きしました。
話し手:西原孝幸さん、下内香苗さん、渡辺明奈さん
聞き手:フェリシモしあわせ共創事務局
Q1、まずは、みなさんが現在担当されている、お仕事について教えてください。
西原:現在は生活雑貨事業部で副事業部長を務めています。生活雑貨事業部は、ファッション雑貨やキッチン雑貨、インテリア雑貨、食品、インナーなど、幅広いカテゴリーがあり、私は全体のマネジメントを担っています。また、職人とともに誰かの想いや憧れが沁み込んだ「物語」をかたちにするものづくり「日本職人プロジェクト &Stories」にも関わっていて、職人さんたちと商品づくりをおこなっています。
下内:私は「ミニツク」というおうちレッスン講座のブランドで、企画をしています。ヨガとピラティスのインストラクターの資格を持っていることを生かして、からだが硬い人に向けたストレッチプログラムなどを企画してきました。
渡辺:私は2021年に中途入社して、生活雑貨事業部で食品の担当をしています。世界中のローカルチョコを紹介する、フェリシモのチョコレートバイヤーみりと一緒に海外出張へ出かけ、バイヤーの視点を学んだり、SNSでの発信を企画したりしています。また、フェリシモが運営する神戸学校の運営も担当しています。
Q2、それぞれ所属が違うみなさんですが、「FOUR MEDLEY」がはじまったきっかけは?
下内:はじまりは神戸学校です。1995年の阪神淡路大震災をきっかけにスタートした神戸学校は、「経験と言葉の贈り物」をテーマに毎回さまざまなジャンルで活躍している方をゲストに迎えて講演などを行っているんですね。そんな中、2021年には、神戸学校を通して新しいビジネスを立ち上げようという取り組みがあって。私と西原さんを含むメンバーで「GOODGOODMEAT」の野々宮秀樹さんとプロジェクトを考えてみよう!ということになりました。「GOODGOODMEAT」さんは、持続可能な畜産を目指して牧場を開き、畜産と食肉事業に取り組んでいる企業。というのも、畜産業は環境資源をすごく使うので、今のままお肉を食べ続けると、いつかお肉は食べられなくなってしまうんです。当時「GOODGOODMEAT」さんは、ちょうど北海道へ牧場を開くタイミングで、私たちも現場を見学させてもらったのですが、現地で目の当たりにすると、やっぱり自然と共生してビジネスをやっていくことってすごく尊いことだな、と。畜産に限らず野菜やワインなど、自然の生態系から生まれたものをいただくという、その土地でしか味わえないものを生み出し販売する仕事について考えさせられる経験でした。でも、私たちがそこで出会った“よい畜産物”を販売するだけでは、プロジェクトとして表面的すぎるのでは?と。メンバーと話し合う中で、もう少し広い視点を持って、自然とともに生きていくということや、自然の循環というテーマでビジネスを考えていきたいということになったんです。
Q3、そこから、「いまと、みらいと、あなたと、わたし」という4つのキーワードに、どのようにつながっていったのでしょう?
下内:自然の循環ということを考えていくうちに、「私たちのやりたいことは、サステナブルという言葉やSDGsという言葉だけを、そのままうたうことではない」と気持ちが固まっていきました。サステナブルは、“持続可能な”という意味ですが、なんだか漠然としていて、つかみどころがない、よくわからないと思いませんか?もっとリアルに“未来がよくなる”と想像できる一歩をつくっていくこと。今大事なのは、まず一歩何かをすることで未来と今の間を埋めることなのではないか? 私たちは、そういう取り組みをやっていきたいよねと話すようになりました。また、ストイックに節電したり、何かを我慢することももちろん、いい未来につながるのかもしれませんが、私たちは楽しく素敵に、「今も気持ちよく過ごせるし、このままいけばきっと気持ちよい未来がつくれるだろう」、そんな方向性を目指していきたいと考えました。そこで出てきたキーワードが、まず“未来と現在の間をつなぐ”ということ。次に、ものを通して思いや行動が周囲に広がっていくような、“私とあなた(家族や友人など)の間をつなぐ”ということ。そして、“生産者と生活者の間をつなぐ”ということ。「GOODGOODMEAT」さんを通して感じた、志が高くおもしろい取り組みをしている人と生活者をつなぎたいという思いがあります。また、同時に“生産者と生産者の間をつなぐ”ことで、新しいものごとの誕生にも期待しています。この4つの視点を、メドレーのようにつないでいきたいと「FOUR MEDLEY」が生まれました。
Q4、間をつなぐ、という考え方はとても素敵ですね。具体的に商品はどのような視点で選んでいますか?
下内:私たちが紹介しているものは、すべて未来に向けて真摯にものづくりをする生産者さんや職人さんたちが生み出したもので、5つの視点を大切にしています。「循環に、つながる」「文化を、つなげる」「未来に、つなげる」「自然と、つながる」「時間を、つなげる」というもの。このような視点を持つことで、どんな未来を叶えていきたいのか、より具体的イメージしていただけるのではないかと考えました。
西原:それに加えて大切にしていることが、“キュンとするかどうか”ということですね。サステナブル系の商品は、今の時代たくさんありますが、なかでも「かわいい!!」と、思わず声に出してしまいたくなるような商品を探しています。商品の探し方はいろいろあるのですが、これいいかも?と思ったものは、二人にも「これって、キュンとするかな!?」と必ず聞くようにしていますね(笑)。
下内:「かわいい」や「キュンとするもの」って、やっぱりものごとのきっかけになると思うんですね。商品を通してその背景を知ってもらい、未来への活動につなげることが私たちの目的なので、商品自体がとても素敵で、見た瞬間にドキドキやワクワクを感じることが、いちばん大事だなと思っています。
Q5、それが商品を通して“つなぐ”、仕掛けになるんですね。では、いくつかおすすめの商品を教えてください!
西原:まず紹介したいのは「ThinKniT(シンクニット) トライアングルマルシェバッグの会」。これは3人でギフトショーへ行った時に出会った、香川県東かがわ市のニットブランドです。見つけた瞬間、二人が「かわいい!」と夢中になって。話をお聞きしてみると、長年手袋を手がけている企業さんによるブランドだということがわかりました。手袋って季節ものなので、商品の生産シーズンに波があり、新しい職人さんが生まれにくいのだそうです。そこで、年間を通してものづくりをするために、長年培ってきた技術で手袋以外のアイテムにチャレンジすることで、新たな仕事や雇用を生み出し、ニット産業の継承につなげています。手袋は機械を使って編むのですが、糸によって加減を見定めるには職人の技術と経験が必要なんだそうです。その職人を育てるという意味でも、このバッグは入り口になるそうです。
下内:ニットだから、入れる物の形に寄り添ってくれますし、形もカラーもかわいくって、持っているといつもみんなに褒められます。
西原:もともと、カラーは数種類あって「FOUR MEDLEY」では、その中から6色を選んで2パターンのセットをつくりました。本当に人気商品で、「フェリシモさんでのお取り扱いがいちばん多い」と喜んでもらえています。
Q6、エコバッグとしても、おでかけ用にも使いたいかわいさですね! 下内さんのおすすめの商品はどちらでしょう?
下内:ひとつ目が、「sobolon 海洋プラスチックイヤアクセサリーの会」です。初めて目にした時に「めちゃくちゃかわいい」と胸がときめいて。これってなんなんだろう?とよくよく見てみると、海洋プラスチックのアップサイクル商品だということがわかったんです。SNSなどを通して調べていくうちに、とても熱い思いを持った方たちだなと。sobolonさんたちは、有志を募って海辺の掃除をしながら海洋プラスチックを回収していて、すべて手作業でひとつずつきれいに洗って色分けをして、アーティストの方やものづくりが得意なメンバーとアクセサリーをつくっているんです。
下内:利用している海洋プラスチックの量は少ないので、これひとつで地球をきれいにしているのか?と問われると、そうではないですが、海洋プラスチックを使ったものであるということに、意味があるなと思っていて。美しいデザインという入り口があれば、その先のストーリーへ踏み込んでもらえる、そんな出会いになる商品だと思います。あともうひとつ紹介したいものがあって、「うおくに商店 和のスパイスセット」です。
下内:実は「うおくに商店」さんは、昨年メリーポイントを使ったメリーファンディングで応援したお店なんです。もともと、和歌山県の特産でもある「ぶどう山椒」を加工販売しているお店で、料亭などへも卸しています。この「ぶどう山椒」は古事記にも登場するくらい昔からある日本のスパイスで、日本人のDNAに刻まれていると言っても過言ではないようなもの。でも年々生産量が減っているそうで、うなぎや焼き鳥など、日本人の食文化の要に合わせるものが失われていくのを防ぎたいという思いで、自分たちでも農業を始めることにしたんですね。その活動を応援するメリーファンディングを立ち上げたのですが、やっぱりきちんと商品を紹介していきたいと思って「FOUR MEDLEY」で販売をさせてもらうことになりました。一から農業をはじめて、山椒の実がなるまでに最低でも5年はかかるそうなので、その間に多くのお客さまにおいしさを知ってもらいたいと思っています。
Q7、おいしさを知るファンが増えれば、未来につながっていきますね。では、渡辺さんのおすすめの商品を教えてください。
渡辺:私がおすすめしたいのは、「蘭と月 置くお香『月の香(ツキノカオリ)』の会」と「蘭と月 置くお香『瑞の香(ミズノカオリ)』の会」です。西原さんが新聞記事を見つけたのが最初の出会いだったのですが、私がいちばん愛用していると思います(笑)。栃木県にある100年続く線香製造の老舗が火災に遭ったのですが、工場長の方が、長年続くお香のレシピを書いたノートを「これだけは!」と守ったそうなんです。工場は全焼してしまったのですが、その話を知った「蘭と月」の代表の方が、「伝統的な香りの技術を絶やしたくない」と、技術者を受け継ぎ工場併設の店舗を開店されたんです。天然の香木や生薬を使っていて保香性があり、置いておくだけでいい香りがするんです。
Q8、どれもエピソードのあるものばかりですね。実際に商品を探していく中で、大変なことはありますか?
下内:5つの視点だけでなく、“キュンとするかどうか”にもきちんと当てはまる商品を探すのが、かなり大変ですね。”サステナブルである”というだけでなく、自分はこれを愛用したいと思えるものは自然とつくり手に思いを馳せると思うので、そこをきちんとセレクトしていきたいんですね。そうやって見つけ出せたものだからこそ、多くのお客さまに注文をいただけているのかな、と思います。「FOUR MEDLEY」の商品のうちの多くは、生産に時間や手間がかかり、生産数が限られています。多めに見積もっていた販売計画数よりもオーダーをいただくこともありますが、つくり手のみなさんががんばって生産してくださっています。
西原:気に入った商品は、いま僕らが実際に話しているのと同じように「実はこうなんだよ」と周りの人に話したくなるものですし、そうやって商品を使っている時に自然と物語が広がっていくといいなと思っています。
Q9、つながりをはぐくむ「FOUR MEDLEY」ですが、みなさんの中で、このブランドを通してはぐくまれたことはありますか?
渡辺:私は食品に関わることが多かったので、「FOUR MEDLEY」に関わることで、“かわいいものを探す”、“セレクトする”という視点が自分のなかに増えたなという実感があります。日常の中でさまざまなものに目を向けるようになったり、多くの方に出会う機会がより増えて、人との出会いがアイデアにつながっていくという意味を、さらに感じるようになったような。
西原:僕は、今まで以上に商品のことを深く知りたいと思うようになりましたね。なぜこれを手がけるようになったのか?ということなど、商品やブランドの背景をもっともっと知りたいと考えるようになりました。
下内:私は、「FOUR MEDLEY」の商品をセレクトしている時間は、自分の心にひっかかるものを探していくので、常にワクワクしている状態です。好きなものを自由に表現させもらえているなと感じています。もともと、芸術系の大学に通って陶芸をやっていたのですが、卒業するころには世の中にはこんなにたくさんものがあるのだから、自分はもう作品をつくらなくてもいいかなと思っていたんです。でも例えば、sobolonさんのように、思いのあるものづくりをしている人たちの姿勢は、自分のものづくりへのネガティブな考え方を一変させてくれました。たくさんの出会いによって、今の仕事とこれまでの経験に一本筋が通ってきたように感じています。
Q10、では最後に、今後の展望をお聞かせください。
西原:こうやってつくり手の方々と話していると、みなさんの「こうしていきたい」というお話が聞けたり、こちらからも「こうしたらどうでしょう?」というコミュニケーションが生まれていきますよね。それがふくらんでいくと、新しいものが生まれる。そうやって未来のことを考えながら、ものをつくり届ける仲間を、一緒に社会に発信していく仲間を、「FOUR MEDLEY」を通して、少しずつ、でも確実に増やしていきたいなと思っています。
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