こんにちは、フェリシモ基金事務局のmotoです。
「無理なく ふわふわ うつくしく」というコンセプトのもと、さまざまな体形やお悩みにこたえ、個人の考える“うつくしさ”を具現化するインナーブランド『flufeel(フラフィール)』。そんな『flufeel(フラフィール)』では、2023年秋からピンクリボン基金付きブラジャーの販売をスタートしました。
きっかけとなったのは、実はお客さまからの「乳がんなど女性特有の疾病支援をしたい」という声でした。『flufeel(フラフィール)』の看板商品「フラットブラ」をご購入くださったお客さまへのアンケートがもととなり、商品開発が始まったそうです。
まさに個々人が考える“うつくしさ”に寄り添う『flufeel(フラフィール)』だからこそ生まれたものばかり。その立ち上げと商品づくりについて、『flufeel(フラフィール)』の大塚智郁子さんと、大城紗季さんにご紹介いただきました。
話し手:大塚智郁子さん、大城紗季さん
聞き手:フェリシモ基金事務局
モヤモヤに出口を見つけ、“うつくしさ”をサポートする『flufeel(フラフィール)』
大塚:『flufeel(フラフィール)』では「無理なく ふわふわ うつくしく」というコンセプトのもと、“正しいうつくしさ”を追求するのではなく、“個々人の体形や好みに寄り添ったうつくしさ”をサポートできるような道具としての商品を提案してきました。どうしても下着について話しにくい雰囲気もあって、「フリルやレースはなくていい」「バストは大きく見せなくていい」など、下着に対する一般的なイメージと異なる希望は、「王道から外れてしまっているのでは?こんなこと私だけ?」というお声をお客さまからいただきます。それならば、そんな王道からこぼれてしまったモヤモヤとした気持ちを大切にしたいと、商品を考えています。
プランナーは全員女性。みんながいつも日常で感じるモヤモヤを出し合って企画したり、お客さまからモヤモヤを教えていただいたり、進む先が正しい階段ではなくても、自分たちが上がりたい場に上がるための一歩として、どのような商品を作ったら良いか、ブレストしながら進めています。
そんな『flufeel(フラフィール)』が、フェリシモの目指す「ともにしあわせになるしあわせ」のために、どんなことができるか考えた時、基金付き商品をつくることで、まずその一歩を踏み出してみたいと思いました。支援先は、多様なうつくしさを認めている『flufeel(フラフィール)』なのだから、お客さまのお声を聞いてみようとアンケートをとることに。すると「乳がんなど女性特有の疾病支援」が、ダントツで1位の結果だったんです。
大塚:自分自身、ピンクリボン運動を身近に感じたり、ありがたいと感謝したりしていた時期だったので、ちょうど背中を押されたように感じて。というのも、当時まわりで乳がんに罹患した方が何名かいて、うちの母もその一人だったんです。まさかかかるとは思っていなかったので、本当にいきなり死と直面するようなできごとで、非常に怖かったんですね。でも調べてみると、国や自治体などが、患者に向けた丁寧なマニュアルをつくっていることがわかって。お医者さんとのやりとりを日記のように記録できたり、ロードマップが提示されていたり、さまざまな支援が紹介されていて、不安な中でも先が見えたことですごく安心したんです。なのでピンクリボン活動について、もし罹患しても一人じゃないよ、こういうサポート体制があるよ、と気づくきっかけがもっと日常にあってほしいな、そういうことを『flufeel(フラフィール)』でできないかな、と考えていました。そのタイミングでこのアンケート結果を見て、お客さまの声で確信できたように思います。
罹患された方もしていない方も。誰でもフィットする基金付き商品を。
大塚:商品開発をはじめたのは2022年の秋ごろ。現在は産休に入っている掘井さんが中心となり進めてくれました。開発にあたって大切にしたことは、乳がんに罹患された方専門の商品としてデビューさせるのではなく、罹患されていない方も使えるものにしようということ。なので「誰でもフィット」の文脈で考えることにしたんです。罹患された方は、術後は傷跡やその後の治療で敏感な状態が続くのでその状態にあった専用のブラが必要なんですね。でも術後しばらく経って非常事態から日常に戻った時に、どなたでも使えるようなものをつくりたいという話をしながら考えていきました。同時に乳がんサバイバーのお客さまからの声で、日常遣いに「フラットブラ」を使用しているというお声があったんです。「フラットブラ」はふわっと包み込む形なので、術後のバストの左右差などが気にならなくなる、と。「でも、肌当たりは気になる」というお話しだったので、「誰でもフィット」の考え方をベースに、「マイナスにあわせて整えるフラットブラ」と「プラスに合わせて整えるフロントオープンブラ」の2方向の商品開発を目指すことになりました。
大塚:「誰でもフィット」という考え方は、からだだけでなく心のフィット感も大切にしています。失ったものをプラスに補いたい気持ちのひとと、プラスに補うことに違和感や不便を感じるひと、「そのどちらの気持ちにもフィットする誰でもフィット」を商品開発の真ん中に考え、実際に利用の声のあった「フラットブラ」をマイナスに補って整えるブラの仕様にしました。
「フラットブラ」は、2024年で20周年を迎えるロングセラーのブラジャーです。バストのボリュームを抑えたいと考えた当時のプランナーが、和装のブラをヒントに開発したものです。バストを強調したくないというお悩みの方だけでなく、服装によってはバストを抑えたほうがかっこよく着こなせるなど、さまざま気持ちやシチュエーションに応えられるようラインナップを増やし、シリーズ累計40万枚を販売してきました。また
「誰でもフィット」シリーズは、細かいサイズを量らなくてもからだにフィットしてくれるもの。産後の人や初めてブラを使う人など、あらゆる状況下の方、「もっと伸びやかに脱ぎ着したい」「日々の体調や気分などによって、肌当りを心地良くしたい」など、さまざまな要望へ応えています。
大塚:実際につくる中で特に意識したのは、極力肌にストレスがかからないようにすることです。ふだん「フラットブラ」で使う生地よりさらに伸縮性の高い、綿スムース生地を採用しました。伸縮性が高く、ふちをかがらず縫い目も減らせるように特別な工夫がされた生地を使うことで、「術後に腕が上がりにくい」「肌当たりが気になる」という困りごとも改善できます。ただ、この生地は色数が4色しかなかったので、どのようにデザインするかみんなで結構悩みました。最終的には「前向きな気持ちを応援するフロントオープンブラの会」を1色、「気持ちとからだに寄り添う フラットブラの会」を3色に。片方はレースをつけて華やかに、片方はマニッシュなデザインにした分、生地のカラーバリエーションを出し、ピンクリボンの形を胸もとにつけました。
大城:縫い目を減らす工夫を施しましたが、縫い目をすべて無くすことは難しいので、必要最低限の縫い目で済むような形を考えたり、タグが肌に直接当たらないように考えています。「前向きな気持ちを応援するフロントオープンブラの会」は、ホックが前にあるので肩への負担も軽く、後ろに手が回らないという方も簡単に着けられます。
大塚:2023年の秋に発売を開始し、ちょうど半年ぐらい経ちましたが、約3400枚のご購入があり、日本対がん協会へ無事基金の拠出ができました。リピートしてくださっている方もいて、うれしいです。
罹患された方には「もっとフィット」を目指した専用の商品を。
大城:罹患された方で、バストをプラスに補って形を整えたい方には、基金付き商品とは別に、3種類のパッドを組み合わせて形を整える「乳がん経験者からうまれた 形と重さを整えるパッドセット」も販売しています。パッドセットは4種類あり、左右の胸がバランス良く整うように、微妙な重量の違いでつくられています。
大塚:この商品を手がけている方は、実際にご自身も乳がんに罹患された経験があり、その体験を商品に反映するというバイタリティーのある方で。術後は傷跡などが気になって、温泉などに行きづらいという方もいるので、全国の温泉や温浴施設で着用できる「乳がん経験者からうまれた 特許取得の入浴着 バスタイムカバー」の開発もされていて、『flufeel(フラフィール)』でも販売しています。
インナーのその先へ。ピンクリボン基金付き商品の可能性。
大城:今後も『flufeel(フラフィール)』では、毎年何かしら基金付き商品を出していきたいと考えていて、現在2024年秋に向けて第2弾の商品を計画中です。現在考えている商品は“誰もが使える”という点をもっと深めて、バストのサイズの違いにブラがしっくりフィットするようなものを目指していて。乳がんに罹患された方だけでなく、生理の時には胸がはったり微妙に左右に違いがあると感じたり、バストは同じ人でもその時々によって微妙に状態が変わります。どんなシチュエーションでも、胸を優しく包めるような形状のブラができないか、メーカーさんと検討しています。
大塚:「フラットブラ」が最初の形からラインナップを増やしたように、ピンクリボン基金付き商品も毎年少しずつラインナップが増えて、より多くの方の手もとに届けばいいですね。定期便として月に1回届くことは、ピンクリボン運動について定期的に思い出すきっかけとしてもいいかもしれないなと感じています。今回この商品に携わる過程で、お医者さまとお話ししたり、実際に罹患された方々とお話をさせていただく機会がありました。その時に感じたことが「乳がんは誰でもかかる可能性がある」ということ。罹患率は年々増えていますし、家系などよく伝え聞くことに関わらず誰もがかかる身近な病気だということです。罹患したら、つい原因をもとめて過去の自分の行いを責めて、自分のせいだと責めたりわからないことだらけで不安に思うことが多いと思いますが、国や自治体などからの病状説明やサポート体制など身の周りにある支援を事前に知っておけば、安心できると思います。余談ですが、私も別の病気で手術の可能性があった際、乳がん協会のガイドで、お医者さんへどのように質問すればいいか、どんな視点で理解していけばいいかが参考になったんです。乳がんになってから調べるのではなく、事前に知っておくことであらゆる場面で安心できると実感しました。病気や健康状態にかかわらず誰にとっても支えにつながるガイドだと思います。
ゆくゆくは、病気や健康状態にかかわらず、この基金活動を通してお客さまにとゆるく共有していけたらいいなと考えています。なんとなく知っていてもわからないことも多いですし、もう少しやさしく、“ひらがなのように“伝える活動ができたらいいなと思いますね。
大城:私もピンクリボン自体は知っていましたが、詳しくは知りませんでした。年齢的に検診を受けるタイミングなので、少し考えることもありましたが、深く調べるようになったのは基金付き商品に携わるようになってから。自分が少しずつ知っていったようにお客さまも、月に一度商品が届くタイミングで、同じように知識や関心が増えていくのではないかと感じています。以前、乳がんサバイバーのかたとお話しできた際に、ヘアケアやメイク、ファッション……とバストまわりのお悩みだけでなく、たくさんお話が弾んだんですね。そういうお話や視点をフィードバックしていきたいと思いますし、社内でも共有して、ブラジャーに限らずアイテムを増やしていけたらなと考えています。
大塚:『flufeel(フラフィール)』はインナー&ビューティーのブランドですが、正しい美より、その方なりの“うつくしさ”をふわふわっとつくっていくための道具を用意するブランドだと思っています。私たち自身も「ピンクリボン=バストまわりから」という固定観念があったというか、深く知るうちに影響があるのはバストまわりだけではないことに気づいたというか。主にインナー商品を扱っていますが、大城さんが話したように、うつくしくなるための道具はさまざまですよね。いつかはフィールドを広げて、みんなの考える“うつくしさ”のための商品づくりができるといいなと思っています。それが乳がんに罹患された方はもちろん、敏感肌で困っている方や、季節や月のリズムで悩みがある方など、いろいろな方をハッピーにできる道具であることで、結果的に多くの方が、ピンクリボンを通じて、さまざまな女性特有の疾病支援について、まずは心にかけるきっかけになったらと願っています。
コメント