こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局のFukuです。
2022年、20周年を迎えた「Couturier(クチュリエ)」は、編み物や刺しゅう、アクセサリーなど、あらゆるジャンルの手芸キットを中心に、手づくりを楽しんでいただける商品をご提供するブランドです。自分のレベルにあわせてキットを選べるのも特徴で、上級者が夢中になれるキットはもちろん、手づくりにトライしてみたいけれど踏み出せないという方のためのやさしいレッスンも充実しています。
そして「クチュリエ」のキットはすべて、手芸好きのプランナーたちが試行錯誤を重ねながら企画を手がけています。手芸作家さんとコラボレーションをしたり、ときにはワークショップを開催したりしながら、手づくりのおもしろさをお客さまとともに追求しています。
手づくりを取り入れることで、毎日を素敵に過ごしてもらえたら。そんな願いを持つプランナーのきみどりさんとふるるさんにお話を伺いました。
話し手:きみどりさん、ふるるさん
聞き手:フェリシモしあわせ共創事務局
Q1、「クチュリエ」とは、どんなブランドですか?
ふるる:日常にちょっとした手づくりを取り入れることで、暮らしを素敵に仕立てていただければという思いから、フランス語で“仕立て屋さん”を意味する「Couturier(クチュリエ)」と名づけました。手づくりが好きな方も、興味はあるけれど踏み出せない方にも楽しんでいただけるキットを中心に、オリジナルロゴ入りのグッズなども展開しています。
Q2、きみどりさんも、ふるるさんもよく手づくりをされると聞きました。普段はどんなものを作られますか?
きみどり:私は編み物や刺しゅう、幅広いジャンルに興味があって。担当する企画は編み物が多いかもしれませんが、いろいろなことに興味があるので、クラフト系もアクセサリーづくりもオールマイティに手がけていきたいと思っています。
ふるる:私は、暮らしのなかで使えるものをよく作ります。セーターを編んだり、ミシンで服を作ることも好きですし、子どもが学校で使うランチョンマットを刺し子で作ったり。手芸をはじめたきっかけも、子どもの頃一緒に暮らしていた祖母が手芸好きで、私もよく一緒に編み物をしていたんです。当時は、特に何を作るわけでもなく、くさり編みでひたすら紐を作ったりしていただけなのですが、いつの間にか基本の動作を手が覚えていきました。
きみどり:私も、自分が作ったものは日常的に使いますね。せっかく作ったものだからという気持ちや環境への配慮ということもありますが、編み物なら着心地が気になるし、小物なら実際にどんな使い心地なのか知っておきたいという好奇心が強いのかもしれません。
Q3、ふるるさんが手がけた、「はじめてさんのきほんのき(R)」や「てとりあしとりレッスン(R)」など初心者向けのプログラムについて教えてください。
ふるる:それぞれステップアップ方式で、その段階に応じた手づくりキットを毎月お届けします。以前は、配送の事情もあって、初回の道具セット以外は順不同でお届けしていたため、2回目のレッスンからハイレベルになってしまうことも多々ありました。せっかく「やってみよう!」と思ってくださった方のお手元に、初心者には難しいキットが届いてしまったら、モチベーションが維持できないと思い、2012年頃にステップアップ方式の「はじめてさんのきほんのき(R)」を企画しました。やがて、より初心者さん目線で観察を続けていくと、ステップ方式であってもレベルが高すぎてついていけないという方も多いことがわかってきました。レッスンの作業ボリュームが多すぎたり、最後にポーチに仕立てる作業が出てきてしまったり。楽しんでいただきたくて企画を盛り込んでいたんですね。けれど、ポーチを作ることも、初心者さんにはハイレベルなんです。そこで、「はじめてさんのきほんのき(R)」よりもさらにきめ細やかに、初心者がつまずきやすいところをときほぐして再構築したのが、さらにやさしい「てとりあしとりレッスン(R)」シリーズです。
Q4、「てとりあしとりレッスン(R)」は、プランナーが寄り添ってレクチャーしてくれているようなレッスンですよね。特にどのような点に配慮していますか?
ふるる:レシピに専門用語を入れすぎないようにしたり、コマ割りで写真をつけて説明をしたり、わかりやすい動画の二次元バーコードをつけたりして、まさに講師が隣に座ってレクチャーしているようなレッスンを目指しています。例えば、「ひとつのステッチから始める刺しゅうてとりあしとりレッスンの会」であれば、それまで、1ヵ月で4種類ほどのステッチをこなし、さらにポーチを作るというような工程だったものを、1ヵ月にひとつのステッチだけにした事例です。刺しゅうしたものを6回分ためておいて、最後につなげると小さな道具セットが完成します。完成品は刺しゅうをするときに家でも使えて、ワークショップなどにも持って行ける実用的なものがいいと思ったんです。
「『はじめてさんのきほんのき』ちくちく刺し子のてとりあしとりレッスンの会」は、周りが縫製された布に、点線で図案が印刷されていて、それに沿って刺していくだけ。初回のレッスンには、刺し子針も一緒にお届けして、針の持ち方から説明があり、難易度をかなり細かく分けて設計しています。1回の分量が多いと、キットを開いたその日は楽しくても、その後が続かないと思ったんです。届いたその日に刺しはじめられて、次の日にはお弁当を包んで持って行けて、お友だちに見せて褒めてもらえたら、継続するモチベーションにつながりますよね。そういうサイクルを作りたいんですよ。このような方法で、「てとりあしとりレッスン(R)」は現在、4技法で展開しています。ちなみに、新しいレッスンができたら、モニターの方に実際に作ってもらい、検証します。説明はわかりやすいか、材料が足りているか、製作時間はどのくらいかかるのか、など、あらゆる視点から見ていただいて、指摘があれば改善していきます。
Q5、普段から手づくりをしない人が、さらに気軽に取り組めるレッスンもありますか?
ふるる:「はじめてさんのきほんのき 暮らしのお裁縫救急箱 針仕事レッスンの会」は、趣味というよりは暮らしに必要なライフハック的な商品として発信しています。ボタンが取れたり、服の縫い糸がほつれたり、子どもの制服の裾上げをしたり……手づくりが好きではなくても否応なく訪れるであろう手芸の機会に寄り添うものを企画しました。私には7歳の子どもがいるのですが、毎日のようにズボンに穴を開けて帰ってくるんですよ。そのお直しにはあて布を縫い付けた後、刺し子のテクニックを使っています。一方向に縫うと、ズボンを持ち替えないといけなくてめんどうなので、いろんな方向にザクザク縫い。針目の幅さえあわせておけば、ランダムに縫っても案外いい感じに仕上がって、生地が丈夫になって長持ちするんです。「はじめてさんのきほんのき 暮らしのお裁縫救急箱 針仕事レッスンの会」は、そうした、日常に役立つ裁縫のノウハウを身につけるためのレッスンです。
きみどり:祖母や母など、身近な人が手芸をしていることがきっかけで手づくりを始めたという方は多いですよね。「クチュリエ」チームでも、配属当初、「手づくりはしない」と言っていたスタッフがいつの間にか手を動かしている、なんてことも多々あって。昼休みにみんなが手芸をしていたりするチームなので、わからないことがあればすぐに質問できる安心感もあるんでしょうね。
Q6、話題の商品を教えてください。
きみどり:すみっコぐらしやドラえもん、スヌーピー、ムーミンなど、キャラクターとのコラボレーションは人気ですね。
ふるる:キャラクター企画は、興味はあるけど手づくりをしたことがない人のハードルを下げてくれます。キャラクターとのコラボ商品の中でも、特に刺し子のキットは、手づくり経験の有無に関わらず、デザインが好きでお買い上げくださる方も多いんです。手づくりキットだから、縫製する部分があることは普通だと思って、以前は布端は、お客さまに縫っていただく仕様だったんです。けれど、初心者さんからするとハードルが高いというお声があって。そうしたリアルな声もなるべく反映して、手づくりに興味を持っていただける機会が増えればうれしいです。
Q7、オーガニックコットンやみつろうラップなど、環境にやさしい商品はどのように企画されたのでしょうか?
きみどり:手づくりの世界でも、毛100%の素材は、長く使えるサステナブルな素材として知られています。私が担当した「オーガニックコットンの植物染めかぎ針編みマルチクロスの会」は、もともとコットン100%の商品もあったのですが、より環境に配慮した素材を使ってみたいと思い企画しました。メーカーさんとの出会いもあり、オリジナルで糸を紡績してもらっています。ブルーベリー、ミント、レモン、金木犀などを使って植物染めを施したものと、着色していない無垢の糸を織り交ぜて毛糸を作っているので、微妙なメランジ調に仕上がっていて、お客さまからは「色合いがやさしい」と好評です。このように、編むものによって太さや素材をメーカーさんと相談しながら、フェリシモオリジナルで作ることもあります。
ふるる:「『かわいい』から始めよう リバティ・ファブリックス みつろうラップの会」は、私が担当しました。もともと、自宅ではコンポストをしていたり、環境にやさしいことを生活になるべく取り入れています。みつろうラップは、環境負荷に意識を向ける人がもっと増えたらいいなという使命感みたいなものもありましたし、実際に子どもと一緒に作ってみたら、簡単にできて楽しかったんです。布の上にみつろうを散りばめて、クッキングシートを乗せてアイロンをかけるだけでできちゃうんですよね。普段は、果物やおにぎりを直接包んで会社に持ってきたりしています。高温のものには使えませんが、折り方を工夫すれば、お菓子を入れるかわいい器になったり、災害時に紙コップみたいに使うことができたりして、なかなかのすぐれものです。
Q8、会員誌「クチュリエの種」では身近にあるもので作れるレシピをご紹介していますが、お客さまからの反応はいかがですか?
ふるる:毎月、テーマに沿って、いろんな手づくりレシピを掲載してるのですが、はぎれで作れるものや、ペットボトルのふたなどの家であるものでリメイクできるレシピなどもあり、好評です。手づくりキットの材料は、不足しないように少し多めに入れているため、たいていは素材が余ってしまいます。そしてほとんどの方が捨てずに置いてくださっていて。だから、「クチュリエの種」では、余った毛糸や刺しゅう糸、ビーズなどを使ったオリジナルレシピを定期的にご紹介しています。
きみどり:「クチュリエ」では、作家さんとのコラボはたくさん手がけています。プロとご一緒することで、私たち企画チームにも新たな発見や学びがあって、お客さまにより幅広く素敵なご提案ができますよね。
Q9、作家さんといえば、ミスミノリコさんとコラボしている繕いのレッスン企画も注目を浴びているようですね。
ふるる:小さな織りのような方法でニットなどの穴をふさぐダーニングをはじめ、いろいろな繕いのやり方を学ぶ「お気に入りを長く使いたい 素敵な大人のための繕いレッスンの会」は人気ですね。さらに、「more felissimo」の「着る」という特集の号で、ミスミノリコさんの繕いについてのインタビュー記事が掲載されたことで再注目していただけるようになったと思います。また、汚れを生かす提案として、しみに刺しゅうをするワークショップイベントを開催しました。オンラインとリアルの同時開催で行った、1時間ほどのワークショップです。ハンカチにあえてコーヒーのしみをつけて、それを図案に見立ててカラフルな糸で刺しゅうをしてみるというもの。私が実演をしながら説明をしたので、一緒に手を動かすことで動きを覚えやすかったり、その場で質問できたりして初めての刺しゅう体験としても楽しんでいただけたようです。暮らしに取り入れられる知恵として「しみができてしまっても刺しゅうをしてみればいいんだ」という発想を得てもらえたようで、うれしかったです。
Q10、今後の展望をお聞かせください!
ふるる:「てとりあしとりレッスン(R)」や「はじめてさんのきほんのき」のネクストステップを整えていきたいと思っています。トライしたいけれどできなかった人が、がんばってレッスンの時間を作って、6ヵ月かけて技術を習得します。そこで終わりではなくて、せっかく身につけたものを日々の習慣として残していただきたいので、次に作るものや暮らしへの取り入れ方を提案していきたいと思っています。実際に、「次は何を作ればいいですか?」と質問されることが多いんですね。ですから、基本的な技術を身につけたその先を提示することで、さらに初心者さんに寄り添える「クチュリエ」を目指したいです。
きみどり:新たな視点をもっと盛り込んでいきたいです。一口に手づくりと言っても、刺しゅうや編み物などいろいろな技法があって、組み合わせることで意外なものが完成することもあれば、手づくりの過程でおもしろい視点を見出すことができます。キャラクターやアニメとコラボレーションすることで、手づくりの枠を超えてどのように発展していくのかも気になります。自分で手を動かして、素材に触れてものを作る感覚って、きっと楽しい経験として記憶に刻まれると思うんです。そういう体験を、これからもお客さまと共有していけたらうれしいです。
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