フェリシモ「LOVE&THANKS基金」から、2023年度に基金を拠出した「認定NPO法人 ACE(エース)」さまより、このたび活動レポートが届きましたので下記にてご紹介します。
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児童労働から救出され、出席率が向上
そして給食が子どもたちの集中力向上に貢献
ガーナ、アハフォ州のカカオ生産地の村にて、カカオ農家の収入向上や、学校環境の改善、地域の能力強化を通じて、児童労働のない村づくりをするプロジェクトを実施しました。
2022年9月より、ガーナ国アハフォ州アスナフォ・サウス郡の2つの村とその周辺の25の集落で新たな活動を開始しています。 活動当初は保護者の農作業を手伝うために学校を休む子どもが多く、学校の出席率は60%前後と芳しくありませんでした。
そこでプロジェクトでは、村の住民ボランティアで構成される子ども保護委員会(CCPC)の設立を支援し、CCPCが村で見回り活動をすることで、児童労働をしていた27名の子どもと、児童労働のリスクがある73名の子どもを特定しました。その中でも特に経済的に困窮している家庭の子ども66人に制服やかばんなどの学用品を支給し、今では全員が就学しています。
更にプロジェクトでは、子どもたちに栄養のある食事を提供するため学校給食の支援も開始しています。給食導入以前は多くの子どもが空腹で授業に集中できなかったのですが、現在は給食が子どもたちの集中力向上に貢献しています。
これらの取り組みの結果、2村の学校の出席率は2024年4月時点で98~100%にまで向上しました。村での見回り活動や就学支援、学校給食の導入が出席率の向上と児童労働の予防に効果を発揮しています。
一方、ガーナでは気候変動や病虫害、違法鉱山開発などの影響でカカオ収量が減少し続けています。ウクライナでの戦争などの影響でインフレーションが続き生産コストも上がっており、カカオ農家の生活は更に苦しくなっています。このような中、カカオ農家がカカオ以外の収入源を持つことは収入をより安定させるために重要です。そこでプロジェクトでは2024年3月から、特に経済的に脆弱な女性42人を対象に稲作研修を開始しています。研修は、講師に郡の農業局の職員を迎え、各村で週1回のペースで実施しています。4ヵ月間で、土地の整備、苗床の管理、病虫害対策など、実践的な知識とスキルを学んでいます。
研修に参加しているドロシーさん(仮名、45歳)は小作人としてカカオ農園で働きながら7人の子どもをひとりで育てているお母さんです。子どものうち2人は充分な学用品をそろえることができず学校を中退していました。またひとりは学校を休みがちでした。プロジェクトではこれら3人の子どもに学用品を支給しました。ドロシーさんは子どもたちの様子や稲作研修について、次のように話してくれました。
「学用品を受け取った時、子どもたちはとても喜んでいました。私も本当にうれしかったです。子どもたちは現在も学校に通い続けており、3人ともに学力が向上していると感じています。稲作研修に参加してしっかりと技術を身につけて、今後も子どもたちの教育を支えていきたいと考えています。」
〈支援者のみなさまへ〉
4年半にわたって支援を続けてきた村での活動が、2022年8月に完了しました。活動前には約40%の子どもが児童労働に従事していましたが、みなさまからのあたたかいご支援のおかげで、141人の子どもが児童労働から救出されて学校に通い、その出席率は100%になりました。
そして、このプロジェクトによる児童労働から救出・就学した子どもの累計は595人になりました。これは、子どもたちが自身の権利を知って行動を起こし、保護者は子どもの権利と保護者の義務を認識したことで、このような変化を起こすことができたと感じています。
新たに活動を開始した支援地では、カカオ農園で働くために学校を休む子どもたちが多くいます。子どもが児童労働から守られ、安心して勉強できる環境にするために、私たちは一歩ずつ取り組んでいきます。これからもどうぞよろしくお願いします。
(認定NPO法人 ACE 赤堀さまより)
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