2017年度に次の基金より拠出した認定NPO法人国境なき医師団日本さまの活動レポートをご紹介します。
HIV検査と治療を受けることがとても難しい南スーダンの農村地域(ヤンビオ)において、HIVの「テスト&トリート(検査と治療)」のための移動診療プロジェクトを実施しています。
実施場所:南スーダンヤンビオ郡
実施期間:2015年6月~2018年6月
「昔は、この地域で受けられる治療はほとんどありませんでした。病気になった人は苦しみ、死ぬだけでした」
南スーダンの西エクアトリア州ヤンビオ郡の地域部族リーダーであるアルカンゲロ・ルーベンさんによると、薬をもらえる町にたどり着くまで数日かかるヤンビオでは、戦闘が始まって以来、大勢の人が治療など受けられないような場所に逃げ、事態はますますひどくなったと言います。現地のHIV感染率は3.4%で、南スーダンの全国平均をはるかに上回っていました。
国境なき医師団(MSF)は長い間ヤンビオの保健当局と協力関係を築き、抗レトロウイルス薬(ARV)治療をこの地域の人びとに届ける最善の方法を探ってきました。治安が安定した状況で暮らす人や医療施設の近くに住む人だけがHIV治療を受けられ命が助かるだけでは不十分であると考え、治安や距離の問題があってもHIV患者が診療を受けられる体制を目指しています。
具体的には、MSFのスタッフが1軒1軒家を訪ね、森の奥に住んでいる場合は何時間もかけて探し、患者は検査を受けたその日のうちに治療が始められます。HIVがどのように生活に影響するのか説明するカウンセラーもおり、もっと人里離れた地域には、保健担当者が約3ヵ月分の薬を届けています。
10年前にHIV陽性と診断されたナマ・マルタンさんは、「私は15人の子どもを育てています。以前は往復2日かけてヤンビオに(治療に)行き、宿泊費も必要でした。今では、歩いていける村に薬が届くようになったので、二度と子どもを置いて薬を取りにいかなくて済みます」と話してくれました。
<支援者のみなさまへ>
このたびは温かいご支援をいただき本当にありがとうございます。
国境なき医師団(MSF)は、1971年にフランスで創設された非営利の国際的な民間医療・人道援助団体です。世界中の紛争や貧困により危機に瀕した人々への緊急医療援助を主な目的として活動しております。これからもみなさまの支えを励みに、最も助けを必要としている人びとに医療を届けるため活動を続けてまいります。
前回の報告書はこちら
■国境なき医師団日本さまのその他の活動はこちらからご覧いただけます。
コメント