頭の中はいつも推しのことでいっぱい! 私たちの生活を彩る「サブ活」について考えてみた
公開日 2023.03.14
目次
日常の中で、自然と推しにまつわる活動をしてしまう。それが「サブ活」
推しができると、推しの作品を鑑賞したり関連動画を漁ったり、SNSを遡ってチェックしたりリアルイベントに足を運んでみたり。ひと通り推しの周囲を調べて摂取して、落ち着いた頃に辿り着く場所があるような気がしています。それは「推しに染まった日常」です。「体が半分推しの沼に浸かった状態での生活」と言い換えても。
「推しに染まった日常」を過ごしている人が、私以外にもたくさんいる!と実感したのが、先日結果発表記事を公開した「現在のコロナ禍での推し活アンケート」。このアンケートでは、ステイホームが基本の生活下で、多くの人がより推し活にのめり込んだり知らなかった沼に足を踏み入れたりしている様子が伺い知れ、改めて推し活の懐の深さを感じました。
アンケートの「メインの推し活以外に、自身の生活の中で何か推しにまつわる活動をしていますか?」という設問の回答から、みなさんの「推しに染まった日常」が見えてきます。
「メインの推し活のための準備」が最も多いのは、メインを十二分に楽しむため、と考えれば至極当然。注目したいのは僅差で続いた①「推しの好きなものを調べたり、それを楽しんだりする」と、4割以上となった②「推しに関する自分なりの表現活動をする」です。
コロナ禍で気軽な外出に二の足を踏むようになったため「聖地巡礼」は現実的な意味で難しいし、次の「グッズにこだわる」はそれぞれのお財布事情や住居事情によるところも大きいですよね。そう考えると、このアンケート結果はなかなか納得感があるような気がします。
①と②、これはどちらも自分の生活と地続きになっている行動です(「グッズにこだわる」もそうですが、数字は低め)。コロナ禍で人と会ったりイベントに参加するような特別な出来事と距離を置かざるを得なかった私たちは、日常の中での推し活、つまりメインの推し活に付随する小さな推し活「サブ活」(と、ここでは呼びたいと思います)を、自然と行っていたのではないでしょうか。
この記事では、①②それぞれの項目について読者のみなさんが回答してくれた内容を元に、この「サブ活」について考えていきたいと思います。
※お答えいただいた内容をご紹介する際に、編集の都合上、一部変更・割愛させていただいている場合がございます。
「推しをきっかけとした行動」が、生活のそこかしこに
まずは①「推しの好きなものを調べたり、それを楽しんだりする(推しの好物を食べる、おすすめ作品を鑑賞する、愛用品を購入するなど)」について。
これは他の項目に比べれば、比較的誰でも、そしてかなり気軽に自分の生活に取り入れやすい、言い換えれば生活に影響してきやすい行動と考えられますね。例えば私は、推しが好きと公言しているラーメン屋さんのカップ麺をよく食べたり(お店に行くのはちょっと遠いしハードルが高い)、推しがイメージキャラクターを務める飲料をよく買って飲んだりしています。
読者のみなさんは、どんな気持ちからこの行動に至っているのか。アンケート回答を見てみましょう。
推しのおすすめのものを食べたり、見たり、聞いたり、ゲームをしたりして、気持ちを共感したいため。(大好物はメロンさん/推し:INI)
(推しの興味関心を)知った上で、いいなと思ったら、自分も買ってみたりやってみることで、同じような気持ちになりたい。(まゆさん/推し:SnowMan、Kis-My-Ft2、A.B.C-Z)
わかる、わかりすぎます……。推しが表に出してくれるさまざまな情報から推しの好きなものを知り、それを自分の生活に取り入れて体感する。日常のどんなところでも、推しを感じていたいんですよね。
そういう「推しをきっかけとした行動」が、当たり前になっている人は多いように思います。食べ物なんかは手に取りやすいから、やっている人が多いのも頷けます。これはコロナ禍でのステイホーム中心の生活を送る中で、割とメジャーになったサブ活かもしれません。
サブ活が導く推しへの深い理解。影響は自分自身の人生観にも
引き続き①「推しの好きなものを調べたり、それを楽しんだりする」についてですが、今度は前段で触れた食べ物や飲み物のような「生活に関すること」以上の、推し自身の考え方にも影響を与えている可能性がある「好きなカルチャーや趣味」についてです。いわば推しのルーツですね。
この辺りは、より推しの深いところに触れられる気がしますよね。私も推しの好きな本や音楽、映画などは自然とチェックしてしまいます。
アンケートに回答してくれたみなさんの中にも、私と同じように「推しの好きなものを知って味わいたい」という方が多くいらっしゃいました。それはいったいなぜなのか?回答をいくつかご紹介します。
何に興味があるのか、背景を知る事でお芝居に影響しているのかとか考えるのが楽しいから。(埴輪愛好会会長さん/推し:東拓海さん 蒼井翔太さん)
その人自身の性格や思考など、推しを形作るものであるため。(駿人さん/推し:ほしのディスコさん、星野一成さん、二階堂大和さん)
推しがアーティストの場合、「音楽のルーツを知りたいから」という意見もありました。推しの趣味嗜好が作品に影響しているのかどうか。自分がこんなにも惹かれているこの人を形成しているものは何なのか。それを知ることで、作品への、推しそのものへのさらなる理解に繋げたい。そんな熱い気持ちが伝わって来る回答ですね。
推しの興味関心のあるものを知ると、自分が興味なかったものでも興味が出て来たりして、自分も世界がひろがるのでいいことしかない。(きあらさん/宮舘涼太さん(Snow Man))
推しの考え方が自身の生き方の参考になる。(ゆきさん推し:稲葉友さん)
自分自身の趣味の幅や人生観にまで関わって来るなんて、やっぱり推しの影響は計り知れない……!みなさんの回答を読んで、そうひしひしと感じました。
また、「推しの考え方が好きだから、どうすればそうなるのか、源になっているものを知りたい」という意見も。推しに憧れを抱く人は多いと思いますが、それは推しを一人の人間としてリスペクトしているからなんですよね。私も、余裕がない時はいつも「推しは私の何倍も忙しいし何倍もプレッシャーがあるはずなのに、笑顔で周囲と接していて本当にすごいなぁ……見習おう」と、推しを心の師として仰ぎ深呼吸するのがルーティーンです。でも推しって、リスペクトの対象でありながら愛でる対象でもあったりして、そんなところも沼たる所以なんですよね……。
推しにまつわる表現活動は何のため?
次に②「推しに関する自分なりの表現活動をする(ファンアート、推しに関する文章をブログで書くなど)」について考えていきましょう。
これは個人の得意分野やもともとの趣味・活動に関わってくるので、①よりやっている人は限られてくると思いますが、数字としては意外と高くて驚きました。イラストが得意だったり趣味だったりする人が、ファンアートを描いてSNSにアップするなどがその一例ですね。
なぜ推しに関する表現活動をするのか?その理由については以下のような意見がありました。
筆が進むから(りすさん/推し:MAFUMAFUさん)
シンプル……!だけにわかりやすい!推しのことを考えていると想いがあふれてきて、外に出さずにはいられなくなる……とてもよくわかります。いくらでも褒めたいし、いくらでも感動を伝えたい。それを自分の筆で形にできるなら、こんなにうれしいことはありませんよね。
何かしらの表現活動をしていて推しがいる人にとって、自分の分野で推しを表現することは、やらずにはいられない、業のようなものになっているのかもしれません。
次は前段の①「推しの好きなものを調べたり、それを楽しんだりする」にも関連して、推しの趣味嗜好を知りたい理由を書いてくれた方の回答から。
推しの趣味嗜好を知った方が、将来どうなって行きたいかの方向性が見えるし、それにより応援の仕方や推すための文章も変わってくると思うので。(ゆずことりさん/推し:INI)
推すための文章!目的はまさにこれですね。自分の「表現したい」という欲求のためだけではなく、何よりも「推したい」から。そのために書く(描く、創る)わけです。まだ推しのことを知らない誰かに向けて、推しの良さを知ってほしくて。推しの活動がさらなる飛躍を遂げるように、自分も力になりたくて。そんな想いが垣間見えます。
推しにまつわる表現活動は、推しのためでもあり、自分自身のためでもある。その二つが入り混じった結果と言えそうです。かく言う私も、もともと文章を書くことが好きという土壌があり、その上で推しの沼にハマったため、気が付いたら推しに関する文章を個人ブログにつらつらと書き綴っていました。推しへのあふれる想いを何かしらの形に昇華してようやく、心の整理がつく。どこか、それも含めて自分の推し活だと思っている節があるんだと思います。
「サブ」の活動によって、「メイン」の推し活がさらに充実!
ここまで書いてきた「サブ活」つまり日常と地続きの推し活は結局、「推しというフィルターを通した目で世界を見て、さらに推しを理解・解釈し推しを近くに感じたい」「知り得た推しの良いところをもっと周囲に布教して、さらに推しを応援していきたい」そんなところに帰着するのではないでしょうか。
サブ活で推しにまつわる色々なことを自分自身に取り込んで、それをメインの推し活に還元していく。「サブ」と名付けてはみましたが、これももはや大事な推し活の一部ですね。
推し本人がいいのであれば、その人に関する色々なことを知って、その人自身を見て知って、愛したいと思っています。(駿人さん/推し:ほしのディスコさん、星野一成さん、二階堂大和さん)
この回答には心から深く同意しました。すべては愛!ですね……。
そうなんです。あれやこれやと考えてみても、結局私たちの行動の源は「推しが好きだから」。これに尽きるんです。そして同時に「推しを推している時間が好きだから」、これもまた真理ではないかと思います。だからこそ日常のどんなところでも推しを感じられる何かに関わって、日々の幸福度を上げているのでしょう。しんどいことも多いこんなご時世をなるべくハッピーに生き抜く、私たちの処世術みたいなものかもしれません。
ただ一方で、「何もかも知りたいと思うのはプライバシーの侵害だと感じる」という意見も。これはもちろん、最低限のマナーの問題です。「推しのことは何でも知りたい!」と思うあまり行き過ぎた行動に出てしまわないよう、守らなければいけないマナーはしっかり守り、健全に「サブ活」を楽しんでいけたらいいですね!