かわいいグッズは、使ってなんぼ! 「りぼんグッズ」オタク・ピノピノさんの場合(前編)-【連載】私たちコレクターズ #005
公開日 2020.12.17 / 最終更新日 2020.12.24
好きなものを「好き」と表現するには、いろんな手段・方法がありますよね。絵を描いたり、コスプレをしたり、グッズを身に着けたり……もちろん友人に推しの話をしたり、Twitterでつぶやくことも「好き」の表現手段のひとつ。
この連載では、書籍『浪費図鑑』をはじめ、オタク女子たちの「好き」をさまざまな形ですくいとってきた4人組ユニット・劇団雌猫とコラボ。推しに関するものをコレクションしている人の「好き」に着目し、コレクションの内容や、そこにこもった愛をインタビューしていきます。
第6回で取り上げるのは、少女漫画雑誌の「りぼん」グッズをコレクションするピノピノさん。大好きな作品のキャラクターに囲まれて生活する彼女に、お気に入りのグッズについて伺いました。
プロフィール
ピノピノさん
少女漫画雑誌「りぼん」をこよなく愛し、80~90年代の連載作品に関するグッズを収集中。実は元「ぴょんぴょん」読者でもある。
Twitter:https://twitter.com/creamyblog
”まる子”を先生に布教していた小学生時代
- 「りぼん」関連のグッズを集めているピノピノさん。小さいころから「りぼん」の読者だったんですか?
ピノピノ)はい、ずっと「りぼんっ子」でした。妹も読んでいたし、クラスの中でもりぼんが共通の話題でしたね。発売を何日も前から楽しみにして、友達と一緒に買いに行って、1か月かけて読み込んで、また来月の発売をワクワクしながら待つ……みたいな感じでした。
- 当時は、どんな作品が連載されていたんでしょうか?
ピノピノ) 今ここに、ちょうど当時のりぼんがあるんですけど……。1988年11月号で、吉住渉先生の『ハンサムな彼女』が連載を開始した号ですね。それと、岡田あーみん先生の『お父さんは心配症』はこの号が最終回でした。
りぼん 1988年11月号
- わ~、ちゃんと当時のりぼんが手元に……!もしかしてこれは、当時読んでいたものを保管しているんですか?
ピノピノ) いえ、これは大人になってから買いました(笑)。こういう古いりぼん本誌を集めている友達もいるんですけど、私は思い出のある号を見つけたときだけ買っています。
- 当時の表紙とか、意外と覚えていますよね。記憶が一瞬でよみがえるというか……。
ピノピノ) そうなんですよ!「懐かしい~!」と思うとつい買っちゃう。で、これが65周年記念号のりぼんですね。
りぼん 2020年9月号
- 今と昔では、定価が全然違いますね。1988年11月号は380円で、2020年9月号の65周年記念号は620円。200円近く値上がりしてるんだ。この号はなぜ購入したんですか?
ピノピノ) 中に入っていた、りぼん65年の歴史について特集したページが読みたくて。面白い情報が色々載っているんです。例えば、「一番表紙を飾ったことが多いキャラクターは誰か?」とか。『ときめきトゥナイト』の主人公・蘭世ちゃんがぶっちぎりで多かったです。
- 『ときめきトゥナイト』、懐かしすぎる……! 昔からのファンにとってはめちゃくちゃ興味深い特集ですね。ピノピノさんが、りぼんの中で一番好きだった作品は?
ピノピノ) 『ときめきトゥナイト』や『お父さんは心配症』も大好きでしたが、一番影響を受けたのは『ちびまる子ちゃん』です! 極端にいい子でも悪い子でもないキャラクターたちに共感できて、すごく面白かったんですよね。りぼんの誌面でアニメ化が発表されたとき、めちゃくちゃうれしかったなぁ。
- アニメ化のお知らせもリアルタイムで読んでいる、まさに『ちびまる子ちゃん』世代だったんですね。
ピノピノ) そうなんです。アニメ化が発表されてから放送をずっと楽しみにしてて、宿題で先生に提出する日記にも「1月7日からちびまる子ちゃんのアニメがあるので、先生も見てください!」みたいなことを一生懸命書いた記憶があります。
- 子どもの頃から、いわゆる「布教活動」を!
ピノピノ) すごい熱量ですよね(笑)。当時『ちびまる子ちゃん』は、りぼんの大体真ん中くらいに載っていて、例えるなら週刊少年ジャンプの『こち亀』みたいなポジションの作品だったんです。でも、アニメ化が決まった翌月からどんどんカラーページが増えだして……。子どもながらに「アニメになるってすごいんだな~」と思っていました。
- ちなみに、りぼんを卒業したときのことって覚えていますか?
ピノピノ) 小学校を卒業するタイミングで買わなくなりました。当時のりぼんは小学生や幼稚園生が主人公の作品もあって、自分より年下の子が主人公のマンガはさすがになぁ……と思ってしまったんです。生意気にも、背伸びしたい年頃だったというか(笑)。
- なるほど……。でも確かに、小学校から中学校に上がるタイミングって、マンガ雑誌を「卒業」して、ファッション誌などを買い始める人もいますよね。
ピノピノ) でも、私が買わなくなった後も、妹はりぼんを買っていたんですよね。家にりぼんがある環境は変わらなかったので、結局中学生になってからもしばらく読んでいた記憶があります。
グッズは“使ってなんぼ”派!
- そんなピノピノさんが、大人になってから「りぼん」グッズを集め始めたのには、何かきっかけが?
ピノピノ) 2015年に、創刊60周年記念企画としてグッズが発売されたのがきっかけでした。それまでのりぼんは、大人向けのグッズってほとんどなかったんですよ。記念イヤーだからということで、私がりぼんを読んでいたころの連載作品をモチーフにしたグッズが販売され始めて、それを買うようになった……っていう感じです。
- へ?! ここ5年くらいで、懐かしいりぼんグッズが増えてきたんですね。お持ちの「りぼん」グッズの中で、何かお気に入りのものはありますか?
ピノピノ) 全然レアなものではないんですが……このマグカップは毎日のように使ってます。コミックナタリーとりぼんがコラボして、ネット限定で販売された商品ですね。
- かわいい~!ディスプレイするんじゃなくて、ふだん使いされているんですか?
ピノピノ) プリントのかすれや汚れも気になりますが、使っちゃってますね。「グッズは使ってなんぼ」だと思っているので、ふだんグッズを買う時も「日常生活で使えるもの」を買うようにしてます。
- カップのほかに、ふだん使いしているグッズはありますか?
ピノピノ) ステーショナリー類が多いです。メモ帳やペン、レターセットとか。なかでもクリアファイルはどんどん増殖していって困っています(笑)。
- クリアファイルならかさばらないし、種類も色々発売されるし、増えていく気持ちは分かります……!(笑)レターセットやメモ帳は、使っていればいつかはなくなってしまいますが、そういうグッズもバンバン使っちゃいますか?
ピノピノ) うーん、特に気にしてないかも……。子どもの頃みたいに、毎日のようにメモやレターセットを使うわけじゃないから、今まで使い切った経験がないんですよね。でも、前に友達が「使う前に、1~2枚だけ取ってファイリングしちゃう」と言っていたんですよ。もしこれから惜しくなるときが来たら、そうしようかなと思っています。
- 確かに、それならかわいい絵柄をいつでも堪能できますね! こまごましたグッズが多そうですが、どうやって収納されているんでしょうか?
ピノピノ) 収納ケースをまるまる一つ「りぼんグッズ用」にしていて、そこにまとめて収納しています。一応「ここに入りきる分しか買わないぞ!」っていう目安でもありますね(笑)。
ピノピノ)あと、グッズではないですが「ちびまる子ちゃん」の単行本は全巻そろえてあります。古い単行本なので、もうボロボロなんですが……。
- 人生を共に歩んできた感がある……!これは小さいころに集めたものですか?
ピノピノ) そうです。実は大人になってから、引越しなどの荷物を整理するタイミングでカッとなって、さくらももこ先生の単行本を何冊か手放してしまったことがあったんです。『ちびまる子ちゃん』も手放そうかなとも考えたんですが、「もしかしたら、また買い直したくなるかも」と思って、これだけは残しておいて。今となっては、あのとき手放さなくて本当によかったです。
見たことあるかも? なつかしのふろく復刻グッズ
- 「グッズはどんどん使う」と言っていましたが、使う用、保存用……と、たくさん買っておきたくならないですか?
ピノピノ) 複数買いすることはあんまりないんですけど、このちびまる子ちゃんのマスキングテープは、使い切った時用の予備も買いました。ふろくで使われていた図柄なんですけど、当時この図柄が大好きだったんですよね。
- 当時のふろくを復刻した商品もあるんですね!当時お気に入りだったふろくだったら、絶対欲しくなっちゃう。
ピノピノ) こういう「ふろく復刻」系のグッズが、去年から開催されている「りぼん展」でもいくつか販売されたんですよ。このまる子のノートも、当時のふろくをかなり細部まで再現してあるんですけど。
- かわいい~!レトロでいいですね。
ピノピノ) こういうのが欲しかったんだよ~!と思って、めちゃくちゃうれしかったです(笑)。中身もただの罫線じゃなくて、ちゃんと当時のまま復刻されてるんですよ。しかも、ふろくだったときに表示されてた「りぼん○月号ふろく」っていう文字もちゃんと印刷されてて……。
- えっすごい……!芸が細かすぎる。
ピノピノ) 昔から「グッズは使ってなんぼ派」だったので、このノートもふろくとして手に入れた当時は、宿題用として使っちゃってたんですよ(笑)。また手元に置けてすごくうれしいです。
- 当時のふろくって本当にかわいくて、毎月楽しみでしたよね。
ピノピノ) 個人的には、ビニールバッグが思い出深いですね。夏の定番のふろくだったんですが、クラスの子がみんなプール用のバッグとして使ってたのを覚えてます。あと秋の号には、遠足シーズンだからか紙製のランチボックスが付いてくることが多くて。私はやっぱり「使ってなんぼ派」だったので、本当にお弁当を入れて使っちゃって、1回でダメにしちゃったり(笑)。もったいなかったな~。
- 本来は楽しんで使ってもらうためのふろくですし、よかったのかも(笑)。でも、こういう復刻系のグッズを見ると、当時のふろくを他にも集めたくなっちゃいませんか?
ピノピノ)はい。なので今でも集められるグッズは集めています。あの頃好きだったものって、大人になってから思い出しても特別で。大人になってから四半世紀ぶりとかに見返すと、本当に感動するんですよね。
ー りぼん愛たっぷりのお話、ありがとうございました!後編では、りぼん愛が高じておこなった“遠征”のお話や、ピノピノさんのバッグの中身をご紹介します。
▼後編はこちら
子ども時代のときめきを、もう一度。「りぼんグッズ」オタク・ピノピノさんの場合(後編)-【連載】私たちコレクターズ #005