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私たちコレクターズ

地方のおもちゃ屋はときめきの宝庫。女児向け玩具オタク・飯塚みちかさんの場合(前編)-【連載】私たちコレクターズ #001

好きなものを「好き」と表現するには、いろんな手段・方法がありますよね。絵を描いたり、コスプレをしたり、グッズを身に着けたり……もちろん友人に推しの話をしたり、Twitterでつぶやくことも「好き」の表現手段のひとつ。

この連載では、書籍『浪費図鑑』をはじめ、オタク女子たちの「好き」をさまざまな形ですくいとってきた4人組ユニット・劇団雌猫とコラボ。推しに関するものをコレクションしている人の「好き」に着目し、コレクションの内容や、そこにこもった愛をインタビューしていきます。

初回で取り上げるのは、女児向け玩具・ファンシー雑貨コレクターの飯塚みちかさん。魔女っ子アニメが大好きだったという彼女のコレクションは?

プロフィール

飯塚みちかさん

飯塚みちかさん(@mmmiiz
女児向け玩具、ファンシー雑貨、中華・韓国コスメなど、かわいくてキラキラしたものを愛するオタク。趣味を活かしながらSNSマーケティング、ライターとして働く。

「闇のおまけセット」を買っていた子供時代

ー 女児向け玩具・ファンシー雑貨を集めているという飯塚さん。Instagramなどでコレクションを拝見して「めちゃくちゃかわいい!」と思っていました。集めだしたきっかけは?

 

飯塚)物心つくころから魔女っ子アニメや変身ものが好きだったんですよ。ちょうどやっていた「美少女戦士セーラームーンR」にもハマっていましたし、1~2歳のときのホームビデオを観ると、「魔法の妖精ペルシャ」の曲にあわせて踊りまくっている映像も残ってます(笑)。まだ自我が芽生えてなかったのに!

 

ー その時点でコレクションしてたんですか?

飯塚)「セーラームーンR」のステッキやオルゴールなどは、親に買ってもらっていましたね。自我が芽生えて「集める」ようになったのは、雑誌「なかよし」で連載していた「きんぎょ注意報!」がきっかけかもしれません。当時既に連載は終了していたんですが、近所のお姉さんからコミックスをもらったのがきっかけで、アニメも全部レンタルして見て。そのうち当時のグッズを探して回るようになって、その流れのまま漫画雑誌の付録を集めるようになったんです。

今はメルカリとかありますけど、当時もフリーマーケットとかに行くと、ちょっと前の付録とかを売っている人がいたんです。それを親にねだって買ってもらっていましたね。あと、島根出身なんですけど、地元のスーパーマーケットにも、過去の紙ものの付録に駄菓子を組み合わせたものが100円とかで売られていて。あれ、公式が認めていたものなのかわからないです。「闇のおまけセット」ですよね。それを見つけては買ってました。

 

ー 根っからのコレクター気質が既に表れている!

飯塚) 食玩も好きで、カバヤのセボンスターも集めていました。シーズンごとに柄が変わるのがかわいいんです。でも、中学くらいで一度別の趣味にハマってしまい。そこでそれまで集めていたかわいいものに興味がなくなってしまい、結構処分しました。今としてはもったいないことをした……。

 

ー 再び興味を持ったのはいつごろ?

飯塚) 高校2年生ですね。サンリオの「キキララ」(「リトルツインスターズ キキ&ララ」)にハマりまして……。今でこそ人気キャラのひとつですけど、当時はみんな「ハローキティ」とか「マイメロディ」が好きで、比較的マイナーだったんです。それほどグッズのラインナップもなかったんですが、70~80年代テイストなものが多くて琴線にふれて。キキララのグッズを集めている人のブログとかを読んだりして、自分も集めるようになりました。そのうちに、東京に引っ越すことになって、元々好きだった女児向けアニメのグッズやその他のファンシー雑貨への興味も復活してきて、どんどん悪化しました(笑)。

今でも心踊る「ハートカンパニー」

ー 悪化(笑)。ここで飯塚さんのおうちのコレクションを見せてもらいましょう。

飯塚) 何枚か写真を撮ってきました。こんな感じです(写真1)。

私たちコレクターズ写真1 ずらりと並んだ女玩、ファンシーグッズ(以下すべて個人蔵、本人撮影)

ー す、すごい物量! そしてめちゃくちゃキラキラしてる~~!

飯塚) 集めはじめてやっと10年くらいですが、今まで買ったものはほとんど捨ててないですね。コレクションエリアはかなり綺麗にととのえていますが、床とかは散らかってます(笑)。

 

ー 置いてあるものもかわいいし、棚すらかわいい……。この「Happy Day」って書いてある青いラックとか超いいですね(写真2)。

私たちコレクターズ写真2 タイ製のデッドストックのラック

飯塚) 下北沢に、タイから輸入したデッドストック(売れ残り品)がたくさん置いてある雑貨屋があるのですが、そのお店のEC通販で買いました。普段使わないものと日常的に使っているものが混在している部屋に住んでいるのですが、このラックの右側には、スマホとか、ベッド際でいじるものを置いていますね。左側の置いてあるアイテムは飾っている感じです

 

ー デッドストックを買う、というのが目からウロコです。

飯塚) そうなんです! 海外旅行に行くときも、デッドストックは結構見てます。

 

ー 「推しているお店」とかあるんですか?

飯塚) 品揃えがいい同じお店によく行く、というよりも、私の趣味の場合、いかに「過去の在庫が残っているお店」を探すかのほうが大事です。なので、国内旅行でも結構掘り出し物が見つかりますよ。地方に行って、現地の商店街のあまり流行ってなさそうなおもちゃ屋に行くと、昔のアニメのデッドストックとかが裏手に置いてあったりするんですよ!

 

ー あ〜〜、ありますね。営業してるのかすらわからないおもちゃ屋。

飯塚) そういうお店にあえて入って、「出してもらえますか?」とお店の人に頼んで物色することが多いです。同じ趣味の人は結構いるわけで、どこのお店もいずれ在庫は「枯れ」てしまうので、いつも一期一会です。

 

ー この、ピンク色のドレッサーとかも素敵だなと思ったのですが、これはどこのものですか?

私たちコレクターズ写真3 「ハートカンパニー」エレガントミラー

飯塚) これは「ハートカンパニー」という90年代中盤の日本の女玩シリーズの、エレガントミラーという商品です(写真3)。たしかヤフオクで買いました。今はもうないアルプス商事というおもちゃメーカーが出していたもので、お母さんのマネをしておままごとするというコンセプトで家電や家具を模したおもちゃを出していたんですよ。最初に見せた6段の棚のいちばん左上に飾っていたハート型のアイテムも、チャームセットというハートカンパニーの商品です(写真4)。

私たちコレクターズ写真4 「ハートカンパニー」チャームセット

ー こういうのをオークションで買うときは、やっぱり高額なんですか?

飯塚) うーん、「セーラームーン」シリーズとか「魔法の天使クリィミーマミ」とか、プレミアがついている作品のものは値がはりますが、「ハートカンパニー」はそうでもないですよ。ピンキリで、タイミングが良ければ当時の値段と同じか、それより安く買えることが多いです。

ピンク×赤×金メッキ最強説

ー 昔のおもちゃの情報とかってどうやって調べるんですか?

飯塚) 同じ趣味の人はそこそこいるので、やはりブログやTwitterですね。誰かがあげているものでいいなと思ったものがあったらブランドを特定して、過去のものはヤフオクで探すことが多いです。

 

「高い買い物したな」という思い出のものはありますか?

飯塚) 単価が高いものはあんまり買わないようにしているんですよ。お金を出したら買えるものはたしかにいろいろあるんですが、それをやっていると先がなくなっちゃうので……。一つだけ、あるいは一シリーズだけ手に入れたいものがある、という人ならいいんですが、私は「たくさん欲しい!」人なので、一つひとつを買うときは節制しています。プレミア品にお金を出すんじゃなくて、質のいいアイテムをまとめて買うときは結構お金出したりもしますね。去年「CLUE」という韓国のアクセサリーブランドが「愛天使伝説ウェディングピーチ」のアクセサリーラインを出したんですよ。それはクオリティ高くて、金メッキの輝きが素晴らしくて「やばい!」と思って、5万円分ぐらい買いました(写真5)。

私たちコレクターズ写真5「ウェディングピーチ」×「CLUE」のコラボアクセサリー

ー ひえ~~。「ウェディングピーチ」、覚えてます! 再現度高いですね、これ……。

飯塚) 「ウェディングピーチ」のモチーフを使いながらも、アクセサリーとしてきちんと普段遣いできるようにきちんとリデザインされていて、一つ一つが本当に可愛いんです。何より一番の目玉はセントサムシングフォーの復刻版セットですね。「ウェディングピーチ」の玩具は中古市場でも出回っている数がかなり少ないんですが、ずっと憧れていたアイテムの復刻版が、まさか隣の国から、こんな高クオリティで出てくるとは思っていなくて……。「ウェディングピーチ」って、韓国のアラサー女性にかなり人気がある作品なんですけど、明らかに「CLUE」内部のオタクが本気で作ったんだろうなという感じが伝わってくるアイテムばかりで、そういう熱さも感じられて本当に最高なんです……。

 

ー 今ほしいけど手に入っていないものはありますか?

飯塚) ずっと探していてまだ買えていないものが1つあります。「魔法のプリンセス ミンキーモモ」の、鏡の精のドレッサーです。ヤフオクとかでたまに出ていることがあるんですが、ピンクは5~6万円するんですよ。さすがに無理、と思って今のところ見送ってます。赤いのもあって、そちらは2~3万円で買えるんですけど、私はどうしてもピンクが良くて……。

 

ー 棚に、「星のカービィ」の商品もいくつか並んでましたね。あわいピンクがすごく好きなんですね。

飯塚) 「カービィ」は自分でも買いますし、クレーンゲームとかの景品になっていることも多いので、友達がくれることも多くて、気づいたら増殖してましたね(笑)。
ちなみにピンクも好きなのですが、プラスチック感のある薄いピンク、宝石の濃い赤、きらきらした金メッキの3つのカラーの組み合わせが私にとっては最強ですね。特にメッキは、子供の頃は自覚してなかったのですが、大人になってから「私、好きなんだ……」と認識しました。昔の女児向け玩具は金メッキがデフォルトだったんですが、2000年代に入ってからの女児向けアニメは、単に金のペンキを塗ったものも多いんですよ。

 

ー メッキとペンキ、そんな違うんですか?

飯塚) 全然違います! たとえば「プリキュア」シリーズの玩具はゴールド塗装のアイテムがほとんどなんですが、1年くらい前に金メッキを使ったステッキが出たんです。ファンの間では「珍しくメッキの商品が出た?!」と大盛り上がりでした(笑)。
6段棚の写真に写っていた、「美少女戦士セーラームーンS」のレインボームーンカリスも、金メッキありきで買いました。

 

ー ペンキとメッキの違い、今度おもちゃ売り場でチェックしてみます!(笑)ディープすぎる女玩談義、後編では中国や韓国の女玩事情、持ち歩いているカバンの中身なども聞いていきたいと思います。

▼後編はこちら

2010年代最強のおもちゃは中国にあった。女児向け玩具オタク・飯塚みちかさんの場合(後編)-【連載】私たちコレクターズ #001

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