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ドット画像でメール素材を作っていた女がクロスステッチにはまるまで。

OshiKra編集部のよこ_たです。

よこたのプロフィール画像

デコメール(※)、通称デコメ(※)を覚えていますでしょうか。そう、時には、凸メールとも称されたメールをデコる素材。フィーチャーフォン、つまりガラケーと呼ばれた、2つ折り型などに代表される従来の携帯電話のメールを華々しくデコる素材。現代のスマートフォンで爆発的なヒットを起こしているLINEスタンプの前世と言っても過言ではないメールをデコる素材。

ガラケー全盛期に高校生だった私(よこ_た)は、メール素材を作っては、自作のサイト上で配布をしていました。そんなデジタル女が、クロスステッチ刺しゅうという一見アナログなものにハマっていった経緯をご紹介します。

ドット画像との出会いはマンションの共用スペースに置かれていたパソコン

小学6年生の頃に私は引っ越しをしました。引っ越し先のマンションの共用スペースにパソコンが2台あり、小学校の情報の授業やクラブ活動でパソコンに夢中になっていた私は「家に帰ってもパソコンが触れる!」と喜んだのを今でも覚えています。

ただ、小学校では先生の指導のもと、せいぜい使っていたアプリは「ペイント」や「ソリティア」といったゲーム、そして「インターネット」を少々たしなんでいたぐらい。急に1人ぼっちで画面がコロコロ変わる「箱」を目の前にし、わくわくしながらもどこか不安な気持ちも湧いてくる、そんな気持ちで、電源ボタンを入れていました。(BGMは、はじめてのおつかいがぴったりです。)

(今考えると無知のまま、なかなか怖いことをしていたなと思うのですが)ネットサーフィンをしていると、なぜか自分の発言に対して、返答をくれる場所にいました。そろばん教室に通っていた私は、キータッチも同じ場所で一緒に習っていました。年齢の割にタイピングは早かったほうなので、キーボードをカタカタ、カタカタ言わせられることがとてもしあわせでした。「きっとパソコンと会話しているのだろう、私は」と思っていたのですが、数日後に正解が分かりました。

そう。チャットです。

いつのまにか、「名探偵コナンを語るチャット」の世界にたどりついていたのです。小学1年生の時に名探偵コナン「時計じかけの摩天楼」を映画館で観てから、コナンにどハマりしていた私は、迷いこんでいたのです。「”迷”探偵よこ_た」の爆誕です。パソコンとではなく、日本のどこかにいる名探偵コナン好きの人と会話をしていたのです。私は。

共通の好きなものを語る楽しさを実感したのはこの時が初めてでした。どこのどなたかは分かりませんが、今の私があるのは、この時の体験のおかげです。ありがとうございました。

そして、時は流れ、中学生になった私はどんどんインターネットの世界にのめりこみます。チャットの意味も理解し、あるサービスにはまっていきます。

そう。居酒屋チャットルーム「あび屋」です。

「あび屋」とは、あびサークルが運営している無料オンラインコミュニティサイトです。
http://www.naogame.net/community/index.shtml

簡単に説明すると、時間帯によって居酒屋、寿司屋、鉄板焼屋、パチンコ屋、パチスロ屋に変わるとってもユニークなお店(チャット)です。それまで、テキストだけのチャットが流行している中、この「あび屋」では、人のイラストや動き、イベント要素が加わった斬新なチャット空間でした。会話(チャット)をするのではなく、ジュースを注文したり、店員に話しかけたり、話のネタをもらったりなど、会話以外の遊びの要素が豊富でした。

そして、ここで使われている人物のアイコン画像たちが……

そう。ドット画像だったのです。

まるで、当時流行りに流行っていたRPGゲームの画面を彷彿させるような、すこしガビガビとした、カクカクとしたドット画像だったのです。

携帯電話を手に入れた高校時代にネット素材を作り配布し始める

そうこうするうちに、世の中に携帯電話、つまりガラケーが普及し始めます。その波と同時に爆発的に流行したのが、デコメール、通称デコメです。

このデコメを見て、私はこう思ったのです。

ガビガビとした、カクカクとしたドット画像。

……「あび屋」じゃん! と。

ガラケーが普及し始めて、無料ホームページ、ブログ、掲示板(……BBS!)を作成する流れがやってきます。私もまるでハワイの波を乗りこなすサーファーのごとく、その波に乗りました。

ドット画像を作るために出会ったソフト。

そう。「ピクトベアー(PictBear)」です。

もうピクトベアーとの思い出を語りだすと止まらなくなるので、割愛しますが、「レイヤー」「透過」という概念を教えてくれたのは、ピクトベアーでした。一体、どれほどの数の人がピクトベアーにお世話になったことでしょうか。あのぷっくりとしたフォントを作ったり、蛍光加工を施したり……(割愛できていないので強制終了します。)

中学、高校時代を私はピクトベアーと共に過ごしました。顔文字を使ったドット画像や、一部キャリアでは受信アンテナや電池残量も自作のドット画像に変更できたので、そのような画像を作っては、無料サイトで配布をしていました。こういうのです。

当時は、まだTwitterやInstagramといったSNSが無い時代です。

配布したら掲示板に「素敵な画像をありがとうございます!」とか、「メールするのがもっと楽しくなった」などのコメントをいただき、とってもうれしかったです。モノづくりが楽しいと思えるようになったきっかけでした。

ドット画像1ピク(px)とクロスステッチ1目が似ていることに気づく

クロスステッチまでの導入がとても長かったですが、ようやく本題です。ここまで、ドット画像について熱く語ってきたので、「ドット画像?」「あび屋?」「ピクトベアー?」「掲示板?」「配布?」となっている方も、なんとなく気づき始めているのではないでしょうか。

そう。「ドット画像」と「クロスステッチ」は作りが似ている!!!

という仮説に。

おばあちゃんが刺しゅうをやっていたので、いつの日かクロスステッチの作品を見せてもらったときにこう思ったのです。

「わぁ~すてき~!!!」

その感動の数秒後に、

「ん? あれ? これも、なんかデコメにできそう」と。

そう。「クロスステッチ」と「ドット画像」は作りが似ている!!!

という事実に気づいてしまったのです。実際に確認してみましょう。
こちらが以前、私が挑戦した作品です。簡単そうに見えて、完成までに数十時間かかっています。

こちらの右側中央位置にあるこのあたりを拡大してみましょう。こちらです。

拡大したものがこちらです。

1目あたり、約1.1mmサイズです。単位はmm(ミリ)です。
さて、こちらの部分をドット画像で表してみましょう。

「え?」となった方、安心してください。ちゃんといますよ。こちらも拡大、そして分かりやすいようにグリッド線を表示させてみましょう。

ドット画像の1ピクセルがクロスステッチの1目に見える。
クロスステッチの1目がドット画像の1ピクセルに見える。

無限のループです。

これまで「ドット画像」について熱く語ってしまったので、「クロスステッチ?」となっている方のために、素敵なページをご紹介します。

【無料公開】とってもかわいい!初心者におすすめのクロスステッチ図案と作品レシピ

刺繍の基本|クロスステッチのやり方~初心者にも分かりやすく解説~

いかがでしょうか。
「クロスステッチ」と「ドット画像」は作りが似ている!!!
そう思いませんでしょうか。ドット画像にハマってしまった、私がクロスステッチにハマるのに時間はかかりませんでした。

沼を楽しみながら沼にはまる。クロスステッチがやめられない理由とは?

私はリサ・ラーソンが好きなので、そのキャラクターが図案となっているクロスステッチをよくします。

何かをしながら、大好きなドラマやライブDVDを見たいタイプの人間なので、クロスステッチはとてもちょうどいいのです。ただ、ながら作業をするときには、以下を気をつけるようにしています。

・針を指に刺さないようにすること
→初心忘れるべからずです。調子のって、手元を見ずに縫うのはやめましょう。

・針を無くさないようにすること
→サスペンスドラマに夢中になりすぎて、手がストップすると「針がなくなった事件」がたまに発生します。ですので、必ず針から目を離すときは、布に刺す、磁石につけるなどの対応策が必要です。

・糸を刺す場所と糸の色を間違えないようにすること
→ながら作業のときは図案を細かく見ながらしなくてもいいように、面を同じ色の糸で塗りつぶす場所を選びます。ドット画像は1ピクセル間違えても、まだ修正しようと思えます。消しゴムツールが大活躍です。しかし、糸がつながっているクロスステッチは、後から1目でもずれていることに気づくと図案によっては(例えば顔のパーツなどの部分は)完成品が変になってしまうので、たった1目のためにこれまで1時間かけて刺した糸をほどいていき、ほどき終わったら正しい図案通りにまた同じ場所を刺しなおす……という時間的にも精神的にも辛い状況に突入します。これだけはなるべく避けたいものです。少し分かりづらいかもしれませんので、制作過程をお見せしながら、ご紹介します。

今回制作するのはこちら!
ハリネズミ三兄弟です。かわいいですね。

まずは、複雑そうなアウトラインを刺していきます。

(ちゅるるるるるるるるるるる~………(時間を早送りしている効果音))

はい、アウトラインが完成しました。こちらは1目でも間違えると、たいへんなことになりますので、図案とにらめっこしながら進めます。

ここまでくると、後はもう簡単です。

(ちゅるるるるるるるるるるる~………(時間を早送りしている効果音))
※図案はほとんど見ずに、大好きな嵐のDVDを観ながらひたすら刺します

ダンっ!(紫、注入!MJ!)

(ちゅるるるるるるるるるるる~………(時間を早送りしている効果音))
※図案はほとんど見ずに、大好きな嵐のDVDを観ながらひたすら刺します

ダンっ!(緑、注入!ディスコスター様!)

(ちゅるるるるるるるるるるる~………(時間を早送りしている効果音))
※図案はほとんど見ずに、大好きな嵐のDVDを観ながらひたすら刺します

ダンっ!(青、注入!リーダー!)

はい、完成です。赤色と黄色が無かったのが悔やまれますが、仕方ありません。

大好きなドラマや推しのライブDVDといった沼を楽しんでいる間に、もう1つの沼、キャラクター(リサ・ラーソン)のクロスステッチの作品ができあがっているのは、控えめに言って最高です。沼、さらに、沼。つまり、沼 on 沼です。(つまり、の意味は私もよく分かってはいません。)

これは、やめられませんね。

いかがでしたでしょうか。
ドット画像からクロスステッチという「沼の進化」。
この世にはまだまだそのような「進化」がありそうです。

※「デコメール」「デコメ」はNTTドコモの登録商標です。

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