群馬の老舗刺繍工房が作る、「糸の宝石」
こんにちは、フェリシモ日本職人プロジェクトのリーダー・山猫です。
この〈&Stories/アンドストーリーズ〉シリーズでは、「誰かの物語から立ち上がるモノ作り」をコンセプトに日本製のアイテムをラインナップ。1人ひとりの中にある、小さいけれど熱烈な「好き」「欲しい」を叶えることで、世の中にはないモノが生まれます。
この春のキーワードは、「deepening(深化)」。深くなる、濃密になる、という意味の言葉です。
日本職人プロジェクトがスタートして18年、少しずつ変化してきた気持ちとカタチ。たくさんの人との出会いや、重ねてきた時間によって、物語はじっくりと深みを増しています。
そして、プロジェクト19年目を迎えるこの春。これからの人生を深めていける、そんなパートナーを見つけてもらえたら。そんな気持ちで、今回もスペシャルなアイテムをご用意しました。ともにゆっくり時間を積み重ね、人生に深みをもたらしてくれる、そんな出会いがありますように。
今回ご紹介するのは、群馬県にある刺繍工房さんと作った3つのアクセサリー。刺繍糸を独自の技術で立体化した「糸の宝石」は、他にはない魅力を持っています。この唯一無二の美しさの裏側には、どんな物語が秘められているのか。じっくり紐解いていきましょう。
世界のハイブランドも認める技術力で、刺繍糸を球体に!
古くから絹織物の産地として知られ、「西の西陣、東の桐生」と謳われた群馬県桐生市。渡良瀬川と桐生川の2つの川に囲まれ、水路が発達したことで、機屋や染物屋などの織物業が栄えてきました。その桐生市にある老舗刺繍メーカーが「笠盛(かさもり)」です。
笠盛の創業は、1877年(明治10)。和装帯の織物業から始まり、その後刺繍業に転身します。長い歴史に培われた職人技と、最先端の技術を組み合わせた刺繍パーツは、海外のハイブランドにも使用されるほど。その品質は業界でも一目置かれ、数多くのデザイナーの信頼を得ています。
そんな老舗の「笠盛」が、オリジナルブランドとして展開しているのが〈000/トリプル・オゥ〉。これまで積み重ねてきた刺繍技術の粋を結集して作り上げた、糸のアクセサリーブランドです。日本職人プロジェクトのブランドマネージャー・NISHIYANとフェリシモ社内の別のプランナーにもおすすめされて、2023年冬シーズンからコラボがスタートしました。
新しいブランドさんとお仕事をするときは、必ず現地まで足を運ぶのが山猫の流儀。今年6月、NISHIYANと共に笠盛の会社がある桐生市を訪ねました。そこでお会いしたのが、プロダクトデザイナーの片倉洋一さんと、営業の新井大樹 さん。モノづくりへの想いを直接お聞きして、製造の現場も見せていただいて、ここの皆さんと一緒ならいいものがお届けできる!と確信しました。
片倉さんは、〈000/トリプル・オゥ〉のブランドを統括するディレクターであり、プロダクトデザイナーとしてものづくりも手掛けている方。英国でテキスタイルを学び、フリーのテキスタイルデザイナーとして活躍していた経歴をお持ちです。片倉さんたちが生み出したのが、球体に近い球を刺繍糸で生み出す技術。本来は平面に刺す刺繍を、立体である球体にどうやって仕上げるのか。試行錯誤を繰り返し、ようやく完成に至ったそうです。
難しいのは、芯に糸を巻いて球体を作るのではなく、糸だけを巻いて球体にしているところ。針の位置がコンマ数ミリずれるだけでも、丸い形にはなりません。(形がいびつになったり、糸が切れたりしてしまうそうです)細かくプログラミングして、ミシンで球体を作る技術が確立されました。
基本的な制作工程は、薄い不織布に刺繍を刺し、刺繍が完成したら不織布をお湯で溶かすというもの。その後、しっかり形を整えたうえで水分を飛ばしながらアイロン掛けます。
そして、最後に出来上がった製品を検品されます。
山猫がこちらの商品を日本職人プロジェクトで取り扱いさせていただきたいと思ったのは、刺繍機から上がってきたアイテムを、丁寧に検品されていたこと。一見するとすべて同じに見えるくらいの違いでも、「山猫さん、私たちのアクセサリーはすべて刺繍の機械で作るんですが、仕上がりはそれぞれ微妙に違うんですよ。微妙に糸のねじれや、出方が違っていることもあるので、そういったものはいったんNGにしてるんです。もちろん手直しできるものはするのですが、自分たちの納得いかないものは最初からやり直します。糸素材はデリケートなので、室温をできる限り一定にしていても、湿度によっては基布が突っ張ってしまい、最終の仕上がりも異なるんです。難しいこともありますが、それを乗り越えたとき、また新しい品質や可能性を感じるんです!」と片倉さんは説明してくだいました。
美しい作品、丁寧さが感じられる仕上がり。その理由に、静かな日々の切磋琢磨を感じた山猫は、本当にこれからたくさんの方に〈000/トリプル・オゥ〉の商品を知ってもらいたいと思いました。
それでは、ギャラリールームにお邪魔したときに、NISHIYANと共にセレクトした3アイテムをご紹介します。この春には、ロングネックレスとグラスコード、そして付け衿のようなネックレスの3点を選びました。
弾む春の気分に似合う、ラベンダー色のロングネックレス
「春らしい色を」と選んだのは、ラベンダー色のシルクのロングネックレス。冬シーズンがシンプルなホワイトカラーだったので、今回はパッと華やぐカラーに決めました。とても淡くやさしい色調は、春の着こなしにぴったりです。
大小の珠がリズムよく並ぶデザイン。シルク素材のほのかな光沢感と、繊維ならではのやわらかな質感が魅力です。肌への当たりもやわらかく、ストレスのない着け心地。
遠目で見ると石のようですが、刺繍糸なのでとても軽やかな着け心地。しっかり長さのあるロングネックレスでも重さを感じることなく、長時間着けていても違和感がありません。
留め具には、〈000/トリプル・オゥ〉のブランドネームと、メイドインジャパンの刻印入りのプレートが付いています。糸玉の間を留めるので、サイズ調整も自在。好きな長さにアレンジして楽しめます。
宝石や貴金属とはまた違う、糸ならではの気軽な着け心地が魅力。軽くて肌当たりもやさしいので、アクセサリーをふだんあまり着けない方にもおすすめです。やさしいラベンダー色の華やぎで、着こなしが春めきます。ブラウスやカットソー、Tシャツなど、何にでも合わせて、春の気分を楽しんでください。
母の日にも! 顔まわりがパッと華やぐグラスコード
2点目は、メガネに着けるグラスコード。アクセサリー的な華やかさもありつつ、実用性も備えたアイテムです。こちらはNISHIYANから「山猫さん、ぼくはこのアイテムにすごい可能性を感じるんですけど、、、」とリクエストをもらって決定! フェリシモ社内のサンプル確認会でも好評を得たアイテムです。
メガネを付けてかけっぱなしにすることが多いグラスコードだから、刺繍糸で作られた軽さが魅力(なんと約6g!)。小さめの糸玉がお行儀よく並ぶ、かわいいデザインです。
首の後ろは6㎜、顔のまわりは3mmの2サイズの糸玉を組み合わせています。アクセントになりつつ、さりげなく着けられる絶妙のバランス。
カラーは、顔まわりを明るく彩るミスティーピンクをセレクト。横顔がさりげなく華やぎます。黒、茶、銀など、どんな色のメガネにも合わせやすいカラーです。
糸でできているのでレンズを傷つけず、着け外しの時に髪にからんだりする心配もありません。
長さはコードの長さは約70cm。メガネを外しているときも、アクセサリーのような存在感があります。着けているときの横顔が美しいのはもちろん、外しているときもおしゃれ。
着けていても、外していても美しいグラスコート。実用性と華やぎを備えたアイテムです。リーディンググラスにも便利なので、母の日のプレゼントにもぜひ!
手持ち服を盛り上げる、上品な大人の付け衿
そして3点目は、まるで付け衿のような華やかなネックレス。刺繍でさまざまな服飾パーツを手掛けてきた〈000/トリプル・オゥ〉の真骨頂ともいえるアイテムです。
こちらのアイテムは一番最初にサンプル品をお借りした時に、フェリシモ女性スタッフ数人から「山猫さん、このアイテムびっくりするほど軽くて、、かっこいいです。これ一個持っていれば、持っている服のコーデがアップするので、、すごくうれしいです。そして、買いやすい価格。ぜひこのアイテム、フェリシモから発売して欲しいです!」とリクエスト受けたもの。
パールのようなほのかな光沢感がありながら、糸玉なのでとにかく軽いのがポイント。このボリュームでもわずか25gという軽さで、着けていても首や肩に負担がほとんどかかりません。糸玉の間はキラリと光るラメ糸でつなぎ、珠ひとつひとつを立体的に見せています。
糸玉の間を留めるから、好きなサイズに調整が可能。襟開きに合わせて、ちょうどいいバランスで着けられます。
フォーマルな装いに似合うのはもちろんですが、スタイリストさんのおすすめはTシャツ合わせ。あえてカジュアルなアイテムに合わせるのがおしゃれです。大振りすぎず、上品なデザインなので、大人っぽく着けられます。
黒や紺などの濃色のほかに、ピンクやグリーンなどパステル系とも好相性。シンプルなカットソーやプレーンなワンピースを盛り上げたいときなどに、大活躍してくれます。手持ち服の印象がガラリと変えられるので、いろいろな着こなしにプラスしてください。
片倉さん、新井さんはじめ、笠盛の皆さんの技術と熱意がぎゅっと詰まった糸の宝石。ぜひ手にとって、じっくり眺めて、本当に糸だけで作られた奇跡の宝石の美しさを味わってみてください。
群馬の刺繍工房が作った 糸の宝石のシルクロングネックレス〈ラベンダー〉
1本 ¥9,000 ( +10% ¥9,900 )
群馬の刺繍工房が作った 糸の宝石のグラスコード〈ミスティーピンク〉
1本 ¥5,300 ( +10% ¥5,830 )
群馬の刺繍工房が作った 糸の宝石の衿飾りネックレス〈アイボリー×シルバー〉
1本 ¥14,300 ( +10% ¥15,730 )
日本のモノづくりを通してたくさんの素敵な物語を伝えるために続けてきた「日本職人プロジェクト」。2004年のスタート以来、様々な魅力的な方の想いと共に「物」語るアイテムを誕生させてきました。
プロジェクトリーダー 山猫