こんにちは、フェリシモ日本職人プロジェクトのリーダー・山猫です。
この〈&Stories/アンドストーリーズ〉シリーズでは、「誰かの物語から立ち上がるモノ作り」をコンセプトに日本製のアイテムをラインナップ。1人ひとりの中にある、小さいけれど熱烈な「好き」「欲しい」を叶えることで、世の中にはないモノが生まれます。
この冬シーズンのキーワードは、「TIAM(ティアム)」。ペルシア語で、「初めて出会ったときの瞳の輝き」という意味を持つ言葉です。目にした瞬間、心が揺さぶられて、特別な感情が湧きおこる。そんなモノとの出会いはきっと、暮らしという日常に素敵な光をもたらします。自分と静かに向き合う冬という季節に、瞳が輝くような出会いを、ぜひ楽しんでください。
今回ご紹介するのは、この冬デビューする〈POLS/ポルス〉のファブリックを使った木製スツール。日本職人プロジェクト初となるインテリアアイテムがどのように誕生したのか、たっぷりご紹介します。
プロジェクト初の木製スツールが登場!
明治34年創業の「丸萬(まるまん)」は、海外のハイブランドからの信頼も厚いテキスタイルメーカー。兵庫県西脇市の地場産業、播州織の老舗です。その高い技術力を生かし、テキスタイルデザイナーとともに立ち上げたオリジナルブランドが〈POLS / ポルス〉。自社ブランドとして、オリジナルテキスタイルを使ったさまざまなアイテムを展開しています。個性的な色や柄を先染めの糸で繊細に織り上げたテキスタイルが特徴で、これまでストールやヘアターバンなどを一緒に企画してきました。
1年半前、いつものように打ち合わせをしようと、日本職人プロジェクトメンバーと〈POLS〉さんの事務所にお邪魔しました。そこでまた他愛のない話をしているとき、ふとブランドディレクター・丸山洵平さんが「実は昔から、家具とか作れたらいいなあと考えていて」とおっしゃったのを山猫は聞き逃しませんでした。聞くと、自社のオリジナルファブリックを使った家具を作りたいとのこと。ショールームにはサンプルで作った大きめの椅子があったのですが、量産は難しいと二の足を踏んでおられたそうです。その話を聞いて、なぜかピンときた山猫。直感で、「家具いいですね、やってみましょう!」と口走り、日本職人プロジェクト初の家具企画がスタートすることになりました。(実は丸山さん、2年前から家具づくりの構想をあたためていたそうです)
「私たちだけだと、どうしても販路や椅子のサイズなどのビジョンが見えないのですが、フェリシモさんと一緒になら開発できそうです。共同でチャレンジしましょう!」と言ってくださった丸山さん。早速、試作品の制作を開始しました。
椅子のための、新しいテキスタイル。
企画のスタートは、「大きなソファーや椅子は難しいけれど、小さめのスツールならできるのでは?」という話になり、さっそく丸山さんが愛知県の家具工房に相談。何度か試作を作り、サイズや強度、品質などをお互いに細かく擦り合わせながら、実現する道筋が見えてきました。(最初に〈POLS〉さんの事務所にあったのは、とっても大きなチェアーでした)
日本職人プロジェクトメンバーが特にこだわったのは、絶妙なサイズ感。玄関、リビング、本棚横など家のいたるところに置いても邪魔にならず、便利に扱える大きさ。女性でも楽に移動できる重量。そして、ちょっとしたサイドテーブルや、ソファーの足のせオットマンに使える高さにまとめることができました。
試作品もいいサイズ感のものができ、モノ作りが現実的になってきたので、スツールに使用する織生地は、〈POLS 〉のテキスタイルデザインを手掛ける梶原加奈子さん(世界を舞台に活躍されているテキスタイルデザイナーさんです)に、新たなデザインを描いてもらうことになりました。
梶原さんがスツールのために新たにデザインした柄は2種類。ひとつは、森の中の苔むす木や石をイメージしたデザインの〈MOSS/モス〉。「暮らしにやすらぎをもたらすように」という想いが込められています。もうひとつは、木の幹の凹凸をデザインした〈TRUNK/トランク〉。年輪のようなテクスチャーに、「時の経過を感じながら、暮らしに馴染んでいくように」という願いが表現されています。
この新たな2種類のデザインを、椅子の張り地用の素材で織り上げました。〈POLS〉らしい個性的なデザインを、今回はモール糸を用いて表現。凹凸感や表面感をしっかり出した仕上がりになっています。また、生地の裏面にバッキング加工(アクリル樹脂系のバックコーティング剤を付与する加工のこと)を施して、生地の強度をアップさせています。
今回発売するスツールに使用している織地は、フェリシモオリジナルカラー。このほかにも候補カラーはいくつかあり、2色に絞り込むために〈POLS〉のスタッフさん全員と、フェリシモ社内でもいろんな人にヒアリングを実施。みなさん好みや意見がバラバラでまとまらず、とても悩みました……。最終的にフェリシモの社内アートディレクターの大先輩のご意見を採用。悩みに悩んだ色選びですが、出来上がったサンプルを見て、この2色の組み合わせは間違いなし、と確信しました
座面ふっくら、贅沢な座り心地。
最高の座り心地にするために、丸山さんが家具の製造を依頼したのは、愛知県岡崎市にある家具工房。有名メーカーの家具も手掛ける、信頼の工房です(誰もが知っている、かの有名な家具の製造も担当されています)。ソファを多く扱っている工房なので、スツールもお手のもの。小さくても仕上がりは本格的、ふっくらとした座面など、しっかり快適な座り心地を実現しました。
ちょこんと、かわいい存在感
ちょこんと木製の脚がついたかわいいスツールは、想像以上の完成度! 軽くて持ち運びしやすいので、暮らしの中のいろいろなところで楽しめます。例えば、靴を履くとき用に玄関に置いたり、リビングでオットマンがわりにしたり、用途はいろいろ。今まで椅子が置けなかった場所にも置けるので、家の中の好きな場所でくつろげます。
苔むす森をイメージしたグリーン×ブラウンのテキスタイルを使ったスツールは、そのカラーリングから〈チョコミント色〉と命名。ナチュラルな配色で、お部屋のアクセントになってくれます。
木の幹の凹凸を表現したイエロー×オレンジのテキスタイルを使ったスツールは、〈レモンティー色〉と名付けました。ヴィンテージっぽい佇まいで、どんな空間にもしっくりとなじんでくれます。
ちなみに、スツールの足部分は木製のため、そのまま使うとガタツキが気になることがあります。その場合は付属のフェルトシートを貼っていただければ軽減されます。(絨毯やマットの上で使用する際はほとんどガタツキを感じません)
ありそうでなかったこの質感、このサイズ。小さな椅子をひとつプラスするだけで、空間の見え方もライフスタイルもがらりと変わります。本を読んだり、お茶を飲んだり、好きな場所でくつろげるのが魅力。快適な座り心地や生地の手ざわりを楽しみながら、自分らしいスタイルで活躍させてください。
最後に、いつも感じるのは、<POLS>さんのモノ作りへの情熱は本当にすごいということ。糸からこだわり、デザインにこだわり、そして、これから作っていきたいモノへの探求心と行動力もすごい。今回のスツールは、彼らの情熱が結晶化したモノのように思えます。きっと購入された方にとって、最高に居心地のよい場所を提供してくれる存在になると思います。
(小話)
スツールの裏面にはテキスタイルのコンセプトを説明したタグが付けられています。どうぞお楽しみに。
テキスタイルデザイナーと家具職人が作った 播州(ばんしゅう)ジャカード織(おり)のスツール〈チョコミント色〉
1個 ¥34,000 ( +10% ¥37,400 )
テキスタイルデザイナーと家具職人が作った 播州(ばんしゅう)ジャカード織(おり)のスツール〈レモンティー色〉
1個 ¥34,000 ( +10% ¥37,400 )
日本のモノづくりを通してたくさんの素敵な物語を伝えるために続けてきた「日本職人プロジェクト」。2004年のスタート以来、様々な魅力的な方の想いと共に「物」語るアイテムを誕生させてきました。
プロジェクトリーダー 山猫