シンボルモデルに宿る、新しいものを生み出す苦労と喜び。

こんにちは、フェリシモ日本職人プロジェクトのリーダー・山猫です。

この〈&Stories/アンドストーリーズ〉シリーズでは、「誰かの物語から立ち上がるモノ作り」をコンセプトに日本製のアイテムをラインナップ。1人ひとりの中にある、小さいけれど熱烈な「好き」「欲しい」を叶えることで、世の中にはないモノが生まれます。

この秋は、「PASSIONE(パッショーネ)」がキーワード。〈&Stories〉のアイテムはすべて、人の“情”と“熱”から生まれています。今回はそのモノづくりの原点に焦点を当てた逸品たちをそろえました。日本職人プロジェクトがスタートして18年。情熱から生まれたいくつものアイテムは、今では色とりどりの果実のように豊かな実りになっています。

夏から秋へと季節が移ろう頃、心にふっと火が灯るような、誰かの情熱を受け取るような、そんなモノとの出会いをお届けします。目を奪われるもの、惹かれるものとの一期一会を、ぜひ楽しんでください。


今回取り上げるのは、兵庫のテキスタイルブランド〈POLS/ポルス〉が最初に発表したアイテム(ストール)と、滋賀の時計工房さんが今回初めてチャレンジしたスクエアな文字盤の時計。新しいものを生み出す苦労や喜び、完成までの道のりなどをご紹介していきます!

夜の色をまとって、季節の移ろいを楽しむストール。

最初のアイテムは、〈POLS/ポルス〉のいちばん最初のアイテムとしてデビューしたストール。ブランドのフィロソフィーを体現する、とてもシンボリックなモデルです。

〈POLS/ポルス〉は、播州織メーカー「丸萬」さんと、テキスタイルデザイナー梶原加奈子さんのコラボによって、8年前に誕生したテキスタイルブランド。独創性あふれる梶原さんのデザインを丸萬さんの高い技術で再現し、ほかにはない唯一の世界観を作り出しています。

一度、フェリシモの「神戸学校」でも登壇してくださった梶原さん。「アイデアは、モノづくりの現場に行くことで具体的なイメージがたくさん沸いてきます」とおっしゃっていました。先染めした糸を使って織り上げる播州織は、さまざまな色が織りなす繊細かつ複雑な表現が特徴。現場を見て、その技術をどう生かすか、デザインに反映する部分も多いのだそうです。

世界的に活躍されているテキスタイルデザイナー梶原加奈子さん。産地活性化を目指すブランディングやデザイナー育成に取り組まれています。自ら生産の現場におもむき、話し合いの中から誰もが納得のいく方向性を導き出していくワークスタイル。播州織メーカー「丸萬」&〈POLS/ポルス〉の担当さん、コンピュータージャカードの織物工房の職人さんとの打合せを重ねることで、播州織の新しい未来像を実現されてきました。

平面のデザインを立体の織物に仕上げるには、糸の手配や織機の扱い、プログラミング技術など、さまざまな要素が必要になってきます。そのすべてを高いレベルで実現しているのが、世界のハイブランドからの信頼も厚い丸萬さんの技術力。プロのデザインとプロの技術、その両方がリンクして、美しいテキスタイルが生まれています。

無数の糸を掛けた織り機。繊細な色柄を表現するのに細い糸を使うため、織り機の調整は職人さんがつきっきりで行います。

今回登場するこのストールと出会ったのは、〈POLS/ポルス〉のショールーム。プランナーの宮崎紗千子さん、プロダクトデザイナーの丸山洵平さんが、「こんなのもありますよ」と何気なく出してくださったものなんです。山猫とプランナーMOEとNISHIYANはひと目見て、「なんですかこれ、、、めっちゃかっこいいじゃないですか!」と一気にテンションが上がりました(そして、すぐに試着しました!)。さらに、梶原さんとコラボした最初のアイテムと聞いて、一層テンションはアップ!見る目が厳しいNISHIYANも「これはいいですね」と言ってくれたので、宮崎さん、丸山さんに販売をお願いすることに。もう製造されていないモデルだったので、今回〈&Stories〉のために、新たに手配していただけることになりました。

上段左の写真の向かって左が宮崎さん、右が丸山さん。ショールームで打ち合わせをしながらお2人の説明を聞くと、いつも全部「欲しい、、、」となります。

このストールの特徴は、真ん中がつながっているところ。一見細長い普通のストールのようですが、広げると2枚の布が交差しているように見えます。実は2枚の布を真ん中で縫い留めているのではなく、織機で部分的につなげながら、生地を二重に織るという高い技術が使われているんです。これは梶原さんがロンドンのRCA大学院で多重織のデザインを研究していた時代に、イギリスのデザイナー登竜門コンテスト「TEXPRINT2005」で織物の新境地開拓賞を取ったアイデアだそうです。

多重織で仕立てられ、広げると2枚の布が交差しているように見えることから「十字路ストール」と命名。

二重にしてそのまま巻くのはもちろん、肩に羽織って前だけラフに結んだり、アレンジいろいろ。十字になっていることで、巻く、垂らす、掛ける、羽織るなど、「着る」感覚でいろんな楽しみ方ができます。

二重だから巻いたときのボリュームもたっぷり。前を結んでベスト風に着たり、アレンジも楽しめます。

青や紺、茶色が織りなす配色は、しんとした「夜/ナイト」のイメージ。ピッチの違うボーダー柄になっていて、巻き方によって色が見えるところが変わると印象もガラリ。1枚のストールでも違う表情があらわれます。

夜にもいろいろな色があることを表現。〈POLS/ポルス〉のシンボルカラーのピンクの色がアクセントに。

コンパクトに折りたためるので、バッグの中に入れておくと温度調整に便利。ちょっと肌寒いときに羽織ったり、まだ日差しが気になる季節なら日よけにしたり。薄手の素材とシックな色味で、初秋から早春までロングシーズン活躍します。

秋から冬へ、季節の変わり目を彩ってくれるストール。いつもの着こなしにも新しい表情をもたらしてくれます。美しい色をまとって、空気や気温の変化を感じて、四季の移ろいを楽しんでください。

初めてのスクエアフレームは、武骨さと素朴さが魅力。

続いては、滋賀の時計工房さんが初めて手掛けた「スクエア」な文字盤の腕時計。こちらの工房は、日本職人プロジェクトの最初の時計を作ってくださったところ。0から1を生み出す苦労を共にした、大切なパートナーさんです。

実は「スクエアの時計を作ってもらえませんか?」と初めにリクエストしたのは4年前。丸フレームの時計や懐中時計なども手掛けてくださる工房さんですが、スクエアフレームはなかなかお話が進まず、、、。既存のフレームを使わず、一からオリジナルの型を起こして製造されるので、新しいフレームにトライするには準備が必要とのことでした。そしてこのたびようやくデザイナーの高山健三郎さんから、「うちの工房で初のスクエアフレームに挑戦します」とお返事が!4年越しのリクエストがかなって、ついに企画がスタートしました。

いつも慎重に、丁寧に連絡を取りながら仕事をしてくださるデザイナーの高山さん。こちらの工房では3Dでオリジナルの金型を起こします。

今回は、時計のバックルもオリジナルで作成していただきました。山猫の色々なリクエストを素敵なデザインにしてくれたのも高山さん。滑らかな曲線になるように改良し、独特のアールを出していただきました。(何度も修正していただき、、ありがとうございます)

オリジナルバックルを作成する際の3Dのデザイン画。小さなパーツも妥協せず、理想のカーブを追求してくださいました。

フレームや金具と供に今回こだわったのは、2種類の文字盤。

金色文字盤は、

1.真ちゅう文字盤(金色)の表面を削り

2.ローマ数字のインデックスをレーザーで黒く刻印

3.インデックス刻印後、再度ヘアライン加工をデザインしています。

表面のヘアライン加工で光沢をおさえ、表情のある上品な仕上がりに。

黒色文字盤は、

1.真ちゅう文字盤(金色)の文字盤を塗装(黒色マットコート仕上げ)し、

2.ローマ数字のインデックスをレーザーで刻印しています。

(黒色のマットコートのみ焼きを入れ、下地の金色を浮き出させています。)

マットコート仕上げのブラックに映える、金色のインデックス。

こうして完成したスクエアな文字盤&フレームは、ソリッドなフォルムとボリューム感が魅力。しっかり厚みのあるフレームに合わせて、ベルトは幅広の栃木レザーをコーディネートしました。手仕事ならではのぬくもりと、バングルのような存在感で、手もとを印象的に彩ります。

ゴールド色のフレームが輝くスクエアの文字盤と幅広ベルトが、手もとのアクセントに。

金色の文字盤は、光沢をおさえたヘアライン加工のさりげない輝きが魅力です。がっしりとしたボリュームがありながら、どこか上品な雰囲気も。栃木レザーのベルトはブラウンを合わせることで、手もとにしっくりなじみます。レザーは使い込むほど色や風合いが深まるので、経年変化もお楽しみに。

黒色の文字盤は、上品なマットコート仕上げ。金色のローマ数字のインデックスがよく映える、クラシカルな表情が魅力です。金色のフレーム×黒色の幅広レザーベルトは、アクセサリーいらずの存在感。手もとをキリリと引き締めて、着こなしのアクセントになってくれます。

裏面には「find beauty in each second you live/人生の一秒一秒にbeautyを見つけて」のレーザー刻印。一日を大切に生きよう、豊かな日々を重ねていこう、そんなふうに思える言葉を選びました。

この素敵な詩は、山猫の尊敬する先輩に頼んで作ってもらいました。5案あった中のひとつがこの詩。詩が決まってからは山猫が信頼を置いているデザイナーKOREさんにデザインを依頼しました。そして、また候補デザインを5案出していただき、その中からハートのアイコンを合わせたデザインに最終決定しました!

お守りのような言葉を、時計と共にいつも身近に。ハートのアイコンにもこだわりました。

これまでの時計シリーズにはなかった、手づくりのぬくもりが感じられる仕上がり。メンズ時計のようながっしりとしたたたずまいと、文字盤の中の繊細なデザインの対比もいい感じです。高山さんと何度も何度もラリーのようなやり取りを重ねて誕生したスクエアフレームなので、そのまま素直に、四角形を意味する「クワドラングル」と命名しました。

手に取って感じられるのは、量産型の時計にはない武骨さや素朴さ。フレームの厚みやレザーベルトの肌ざわりが愛おしく、これから長い時を一緒に重ねていきたい、そんなふうに思えます。じっくりと長く使ううち、かけがえのない特別な存在になっていく。そんな、育てる楽しみも味わえる時計です。

愛情と熱意が、新しいモノを生み出す原動力。

ブランドの理念を背負ってデビューしたストールも、工房初の挑戦となったスクエアフレームの腕時計も、モノづくりの背景には人の「想い」「物語」があることを教えてくれます。まさに、誰かの「好き」「欲しい」に寄り添う<&Stories>らしいアイテム。便利なだけじゃない「何か」に、人は心惹かれるのかもしれません。

テキスタイルデザイナーと作った 播州(ばんしゅう)ジャカード織(おり)の十字路(じゅうじろ)ストール〈ポルスナイト〉

¥23,800(+10% ¥26,180 )

滋賀の時計職人と作った クワドラングルウォッチ〈ブラック〉

¥19,800 ( +10% ¥21,780 )

滋賀の時計職人と作った クワドラングルウォッチ〈レッドブラウン〉

¥19,800 ( +10% ¥21,780 )

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