今回初登場となるスペシャルアイテムにご注目!

こんにちは、日本職人プロジェクトリーダーの山猫です。

日本のモノづくりを通して、たくさんの素敵な物語を伝えるために続けてきた「日本職人プロジェクト」。誰かの「好き」「欲しい」をカタチにした、ここにしかないプロダクトを生み出しています。

新しいことが始まる春は、自分への期待も高まるような気がしませんか? 最近は「春になったら……」より、「春までに……」を意識するように変わってきたように思います。
そこで、2023年春は“Opportunity / オポチュニティー”をテーマにしました。偶然が重なる“Chance/チャンス”に対して、しっかり準備して臨むのが“Opportunity / オポチュニティー”。目的や理想に対して行動するのに、「ちょうどいい機会」というニュアンスがあります。日本職人プロジェクトのアイテムがいろんな機会を作るきっかけになったり、なりたい自分のための準備になったらうれしいなと思います。

今回ご紹介するのは、金沢の時計職人が手がける時計。人気の「見惚れる」腕時計シリーズはもちろん、今回初登場のスペシャルアイテムにもご注目ください!

豊かなイマジネーションを、日本画の技法で表現。

加賀百万石の城下町として栄え、さまざまな伝統文化が息づいている古都・金沢。その金沢にある時計工房さんと、これまでいくつもの時計を一緒に作ってきました。
ものづくりの中心となるアートディレクターを務めるのが、牛島孝さん。金沢を拠点に、日本画家としても活躍しておられます。

アートディレクターとしての感性と、日本画家としての知識や技術を融合して、他にはない時計を生み出す牛島孝さん。この夏初めて、フェリシモ本社にお越しいただくことができました。写真は牛島さんと新作の打合せ中のNISHIYANとMOE。

金沢の工房を日本職人プロジェクト企画メンバー3人で訪ねて打ち合わせをし、それをもとにデザインや仕様をご提案していただく……というのがいつもの流れ。牛島さんとのお仕事は、具体的に「●●を作ってください」とお願いするより、私たちの中にある想いやイメージをお話しして、それを汲み取って牛島さんならではの解釈で形にしていただいています。「夏の夕暮れに、これから始まる楽しい時間を思ってわくわくしているイメージ」や「秋の夜長、ブランケットにくるまって自分の時間を過ごすイメージ」など、無茶ぶり?とも言えるリクエストにも応えてくれる牛島さん。私たちのイメージと牛島さんの表現が合わさり、想像を超えた豊かな世界観につながっていきます。

日本職人プロジェクトメンバー3名(NISHIYAN、MOE、山猫)で工房を訪ねたときの様子。工房内のすべてを把握する牛島さんが、丁寧に案内してくださいました。

牛島さんと一緒にものづくりを始めて約3年。それでもまだまだ予想外の工夫があって、いつも驚かされます。(会話の中でぽろっと「文字盤の下地に、純銀のメッキを施しているんです」とか、「使用している金箔は、ユネスコの無形文化遺産に登録されているものなんです」とおっしゃるのでびっくりします)

「深縹(こきはなだ)」は、心を落ち着かせる深く静かな海の色。

牛島さんコラボの時計といえば、「溜塗(ためぬり)」という技法を使った「見惚れるシリーズ」が代表作。このシリーズは初代モデルから大きな反響があり、ご注文受付終了後もたくさんのお問い合わせやリクエストをいただきました。

溜塗は、筆に含ませた絵の具を文字盤にさっとひと塗りすることで生まれる、自然なグラデーションが魅力です。下地に純銀メッキを施しており、見る角度によって表情も変化。小さな文字盤に幻想的な世界を閉じ込め、たくさんの方々を魅了してきました。

今回はその溜塗の技法を、これまでより大きな文字盤に表現。藍色の中でも特に深みのある「深縹色(こきはなだいろ)」で、静かな海の底をイメージしました。だんだん深くなっていく海の色を、深縹色の自然な濃淡が美しく描き出します。その不思議な色合いは、吸い込まれそうなほど。見つめるほどに、海の深さに魅せられます。

深みのある藍色「深縹色」のグラデーションで、静謐に満ちた海の底を表現。

文字盤の面積が広い分、これまで以上に濃淡の差が出やすいのが特徴。同じ技法で彩色しても、ほんの少しの筆の運びや絵の具の量で変化して、同じものはふたつとありません。世界にたったひとつだけ、自分だけの海の色が届きます。

彩色する面積が広くなる分、グラデーションの出方の変化。海と同じように、自然が生み出す表情が楽しめます。

文字盤の大きさに合わせて、数字のインデックスも大きめに。時間が見やすくなって、時計としてもより便利になりました。

文字入れも手作業だから、ひとつずつ微妙に違うのが味わい。針やフレームの取り付けも、もちろん手作業で。

文字盤もベルトもしっかり存在感があるので、バングルのような感じで着こなしのアクセントにも。アクセサリーをつけるのがあまり得意でない方も、時計で手もとのおしゃれが楽しめます。

デザインは2種類。ひとつは、アンティーク加工を施した真ちゅうフレームを合わせて、レトロな雰囲気に仕上げました。針のデザインもクラシカルなものをセレクト。黒鍵色のベルトは、着こなしの引き締め役にもなってくれます。

真ちゅうフレームのアンティーク加工は、ひとつひとつ手作業で行われています。

もうひとつは、シルバーのフレームを合わせてすっきりとモダンな表情に。針もシンプルなデザインで、都会的な雰囲気に仕上げました。白銀色のベルトは手もとにしっくりなじみ、さまざまな着こなしに似合います。

しんと静かな海の色は、気持ちを穏やかにしてくれる色。緊張やストレスでざわついた気持ちも、すっと平らにしてくれます。春から始まる新しい毎日のお守りや、お祝いにも。忙しい日常の中でも、文字盤を見ると不思議と心が落ち着きます。

伝統と歴史から生まれた、静かに時を刻む置時計。

溜塗だけでなく、岩絵具(いわえのぐ)という日本伝統の画材を使った文字盤も牛島さんの得意分野。今回はその技法で描いた文字盤を使った、置時計を提案してくださいました。置時計は、日本職人プロジェクト初のアイテムです。

岩絵具は鉱物などを砕いたもので、なんと飛鳥時代から使われています。今回の置時計は、天然のガーネット(柘榴石(ざくろいし))を砕いた岩絵具を使用。同じ金沢の和紙職人さんが漉いた和紙に、幾重にも塗り重ねていきます。粒子の粗い岩絵具を均一に塗り上げるのは、日本画家でもある牛島さんの腕があってこそなせる技。鉱物に含まれるさまざまな色の粒子が混ざり合った、天然石ならではの色彩が楽しめます。

手漉き和紙にガーネットを砕いた岩絵具を塗り重ねて描き出した、靄(もや)がかかったような落ち着いた桜色。

時間を示すインデックスは、和紙に金箔を貼り、ひとつずつ打ち抜いたもの。これも丁寧に、手作業で貼り付けていきます。淡い桜色に映える、美しい金色がお見事。

金箔は少しの光でもキラリと光るため、暗い場所で見やすいという利点も。

本体は、漆器の産地として400年以上の歴史を持つ石川県加賀山中の「ろくろ引き」で製作。伝統工芸士の職人さんが回転する木に刃物を当てて、お椀のように丸みのある形を削り出します。素材は、木目が美しい欅(けやき)を使用。手に取ると曲線がしっとりとなじみ、とてもなめらかな風合いです。

漆器と同じ技法で伝統工芸士さんが削り出した欅の本体。木目の美しさにうっとり。

裏面は革製のカバーをつけ、機械部分を包み込むことで秒針の音をできるかぎり吸収。機械はもともとほとんど音のしないものを採用していますが、このカバーがあることで、寝室など静かな環境でも、カチカチという音が軽減される仕様になっています。(時計に耳をつけるとかすかに音は聞こえますが、少し離れているとほとんど気になりませんでした)ちなみにこの革素材は、腕時計の革ベルトを製作する過程で出た端切れを有効活用したものだそうです。

見えない裏の部分にも本革を使うこだわり。秒針の音をカバーする気遣いもさすがです。

伝統工芸の技を使い、美術品のように仕上げた置時計。見えない部分にもこだわりを尽くすのが、牛島さんらしいなと思います。
音もなくただ静かに時を刻む様は、いま流れている時間だけでなく、歴史という時間の長さも感じさせます。和洋問わずインテリアにすっとなじみ、空間に癒しを演出。便利な道具というより、大切に愛でたくなる、そんな存在です。ぜひ、お部屋のいちばん好きな場所に置いてお気に入りのコーナーを作ってください。

手もとを見るたび、一年中お花見気分。

最後は、桜色の文字盤に華やかなベルトを合わせた腕時計。牛島さんの時計工房では、文字盤だけでなく、フレームや針などもトータルにコーディネート。もちろん、時計に合わせてベルトも製造しています。

春らしい桜のようなピンク色のグラデーションは、溜塗で表現されたもの。純銀メッキの上に絵の具をさっとひと塗りして、文字盤に桜の花を咲かせます。美しい濃淡はまるで、ほんのり色づいた桜の花びら。角度によって下地の純銀メッキがキラリと光って、春の明るい日差しも連想させます。

ほんわりと色づいた桜の花びらを思わせる、ピンクのグラデーション。

今回はその桜色の文字盤に、リバティプリントのファブリックをあしらったベルトをコーディネート。華奢な細ベルトに彩りが加わって、手もとの印象が華やぎます。細いベルト幅でも柄が美しく出るように、1本ずつ手作業でカットする丁寧な仕事ぶり。文字盤の色も、ベルトの柄も、同じものはふたつとありません。

華やかな色と柄のリバティプリント生地を1点ずつカットして、手作業で縫い重ねます。商品によって花柄の出方が違うのも特徴です。

一部分だけ花柄だから目立ちすぎず、小ぶりな文字盤と細いベルトが手もとを華奢に見せてくれます。この腕時計を眺めているだけで、一年中お花見気分が楽しめそうです。

すべて手作業だから、届くのは世界にひとつだけ。

牛島さんはいつも、「私たちは、同じものをたくさんは作れません」とおっしゃいます。溜塗や岩絵具での彩色はもちろん、フレームや針の取り付けまですべて手作業だからです。でも、工業製品のように均一なものを大量生産できないところが、牛島さんと作る時計の魅力だと思っています。

文字盤の中に奥深い世界が見えるのは、細かい部分にもこだわり、完成度に妥協しない牛島さんだからこそ。手から生まれた、世界にひとつの特別な一点をお届けします。

ここからは、おまけのエピソード。
先日初めて、神戸にあるフェリシモ本社に来てくださった牛島さん。7月1日のことでした。手土産にいただいたのは石川県の「氷室饅頭」。下記のようないわれのある、由緒あるお菓子でした。

「加賀藩政期、前田家では旧暦6月1日に山中の氷室を開き、冬の間貯えておいた雪氷を遠く江戸将軍家に献上していました。
長い道中、無事に氷が届けられるよう、庶民の間では麦饅頭を神仏に奉納し、その後、無病息災を祈願して食された風習が氷室饅頭として今日まで伝えられました。
現代では氷室が開かれた7月1日に夏の暑さを乗り切り健康を願って食される氷室饅頭は、娘の嫁ぎ先に持参され、親類縁者・近隣にも配られるという慣習を残し 初夏の風物詩として加賀金沢の街に伝え続けられています」

※森八さんのWEBサイトより引用
https://morihachi-shop.com/SHOP/111646/111665/list.html

7月1日に合わせて、金沢の伝統的な氷室饅頭をお土産に選んでくださったその心遣い。日本職人プロジェクトメンバーは牛島さんとお仕事をさせていただく中で、あらためて「日本」特有の美しさや魅力に、たくさん気付かされます。本当にお仕事をご一緒できて、うれしいことばかり。そんな牛島さんに次はどんな依頼をしようか考えるのが、日本職人プロジェクトメンバーの楽しみになっています。

打ち合わせ中も、お土産にいただいた「氷室饅頭」が気になってしょうがないNISHIYAN(笑)。打合せが終わった後にすぐ食べたのは山猫でした。

次回は、プランナーMOEが手がけたバッグ4点をご紹介します。商品企画のプロが、素直に自分の「欲しい」を形にしたバッグは、どれも名品ぞろいです。ご期待ください!

金沢の時計職人が手掛けた 海底の深縹(こきはなだ)色に見惚れる腕時計〈黒鍵色〉

¥25,300

金沢の時計職人が手掛けた 海底の深縹(こきはなだ)色に見惚れる腕時計〈白銀色〉

¥23,650

金沢の時計職人が手掛けた 薄靄の桜に見惚れる置時計〈欅〉

¥15,950

WEB限定 金沢の時計職人が手掛けた 櫻に見惚れる腕時計〈花柄・サンドベージュ〉

¥23,650

日本のモノづくりを通してたくさんの素敵な物語を伝えるために続けてきた「日本職人プロジェクト」。2004年のスタート以来、様々な魅力的な方の想いと共に「物」語るアイテムを誕生させてきました。

プロジェクトリーダー 山猫

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