「手作り時計専門工房」との出合い

こんにちは、日本職人プロジェクトリーダーの山猫です。

今回のアイテムは、「藍色の腕時計」。金沢の時計工房と一緒に作った、初めての時計です。

ずっと以前から、日本職人プロジェクトで時計を作りたい、と考えていました。日本のものづくりを未来につなぎ、一緒に時を刻んでいくものを生み出すプロジェクトだから、時計はその象徴のような存在。ひそかに企画をあたため続け、ようやく昨年2019年、滋賀の時計工房と一緒にプロジェクト15周年を記念した時計を作ることができました。

今回はその経験をもとに、石川県金沢市にある手作り時計の専門工房まで山猫とメンバーのNISHIYANが足を運び、制作を依頼。日本職人プロジェクトのために、特別にこのモデルを組んでいただきました。

藍色の月を思わせる文字盤の色や、ぬくもりのある手描き数字の仕上がりは、本当に見とれるほどの美しさ。ほかにはない、スペシャルな腕時計になりました。

ハンドメイド専門の時計工房が特別に組み上げた、日本職人プロジェクトだけのスペシャルモデル。

画家によるコーディネイト

時計工房で、すべてのアートディレクションを担当しているのが牛島孝さん。画家としても活躍しておられる牛島さんの細やかなコーディネイトによって、この特注モデルは完成しました。この牛島さん、工房にある全材料、職人の特徴、専門機器をすべて把握した上で、時計ブランドのアートディレクションを行うすごい人。私たちが伝えたプロジェクトの「理想の時計」を、見事に具現化してくれました。

時計ブランドのデザインやアートディレクションを手掛ける牛島孝さん。画家としても活動されていて、個展も多数。

目指したのは、「藍色の月を眺めている気持ちになる時計」。だから文字盤は、美しい藍色になりました。この幻想的な色合いは、溜塗(ためぬり)という技法で製作されています。

濃いところ、薄いところ、自然な濃淡はまるで、見るたびに表情を変える月のよう。

透明感のある絵具をたっぷり塗ることで生まれる、自然なグラデーションが魅力。同じ絵具を同じように塗っても、ちょっとした水の量や、乾くときの温度や湿度などで、グラデーションの出方が異なります。だから、まったく同じものを作ることができません。つまり、どれも正真正銘、世界にたったひとつだけ。こういう塗りの技法を時計作りに取り入れているのは、画家である牛島さんだからこそ、だと感じます。

試作を何度も繰り返した文字盤。同じように塗っても、同じものがふたつとないのが魅力。

文字盤に刻まれている数字は、職人さんがひと文字ずつ、削り描きで仕上げたもの。だからよく見ると、ひとつひとつ微妙に違って、そこに人の手のあたたかさを感じます。

取材したときに聞いたところによると、削る作業をする職人さんは、もと歯科衛生士さん。どおりで、細かい作業もスムーズにこなされるわけです。

職人さんが一文字ずつ、文字盤に数字を刻みます。もと歯科衛生士さんだけあって、細かい作業もお手のもの!
手描きだから、どこか味わいのある線が魅力。

濃淡のあわいが生み出す藍色は、吸い込まれそうな美しさ。文字盤を見つめていると、月を眺めているような気持ちになる、そんな不思議な感覚が味わえる時計です。

白銀色か、黒鍵か。迷うのも楽しい

美しい文字盤に合わせたのは、本革製の細ベルト。うんと華奢な仕上がりが素敵です。細くて肌への当たりも優しいから、普段はあまり時計をしない人も、ストレスなく使ってもらえると思います。

ベルトも実は、職人さんが手作業で仕上げています。部分的に薄くしたり、穴を開けたり、どの作業も実に細やか。丁寧な仕事に見惚れます。

細いベルトを一本ずつ丁寧に加工。肌へのあたりが優しくなるように仕上げてもらっています。

ベルトは、白銀色と黒鍵色の2色。白銀色はきれいなグレー色で、手もとにやさしくなじむ、上品な色合いが特徴です。黒鍵色は、ピアノの黒鍵からイメージした端正な黒。さりげない存在感で、着こなしにアクセントをつけてくれます。

どちらも、牛島さんが「藍色の文字盤がよく映える色を」と、たくさんのベルトの中から、ささっと選んで合わせてくれました。

小ぶりでシンプルだからどんな服装にもよく合いますし、仕事にも遊びにも使えます。もちろん、年齢も問いません。ずっと一緒に、いろいろな思い出や経験を重ねていってもらえたらうれしいです。

小ぶりのフェイズと細身のベルトが、手もとを品よく彩ります。

一緒に時を重ねていくパートナーに。

ちなみに、青い月はめったに見ることができないので、英語で特別な事柄を「ブルームーン」という場合も。”once in a blue moon”で「極めてまれなこと」「決してあり得ないこと」という意味の慣用句にも使われるそうです。藍月にまつわるそんないわれも、何か特別な出来事を予感させてくれます。

手もとで輝くのは、世界にひとつのあなただけの月。時間を見るたびときめく時計と一緒に、これからの「時」を素敵に重ねてください。

最後に、この素敵な時計はまちがいなく、牛島さん&工房の職人さんたちの笑顔から生まれていると思います。良き環境から、良きものが生まれる。それは、たくさんの工房を訪ねて山猫が感じた共通点です。

職人さんたちが真剣に、時々笑顔で作業中。あたたかくて、素敵なものが生まれる場所。

次回は、ハンドバックデザインが魅力の新作「お母さんのお下がりみたいなダレスバッグ」をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!

※日本職人プロジェクト「特別号STORIES」の商品は、ご注文いただいてからひとつずつ仕立ててお届けします。
※ 期間限定の販売になります。販売終了、または売り切れの際はご容赦ください。

新着 金沢の時計職人が手掛けた 藍月に見惚れる腕時計〈紺青色〉

1個 ¥20,900(税込み)

金沢の時計職人が手掛けた 藍月に見惚れる腕時計〈白銀色〉

1個 ¥20,900(税込み)

日本のモノづくりを通してたくさんの素敵な物語を伝えるために続けてきた「日本職人プロジェクト」。2004年のスタート以来、様々な魅力的な方の想いと共に「物」語るアイテムを誕生させてきました。

プロジェクトリーダー 山猫

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