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自分らしさって必要なの?窮屈に感じたときの考え方
「自分らしさを見つける」とか、「自分らしく働ける仕事を探す」など、自分らしさをテーマにしたトピックを最近よく見かけます。
しかし、自分らしくいることが大切にされている一方で、その自分らしさという言葉にかえって苦しくなってしまうこともまた、事実だと思います。
今回は、自分らしさについて考えることが苦しいとき、少しでもらくになれるような考え方をご紹介します。
自分らしさって必要なの?

この記事を書くまえにネットでも調べてみたのですが、自分らしく生きるメリットやそれを見つける方法についてはたくさん出てくるのにもかかわらず、自分らしさを求めることの窮屈さをテーマにしたものはほとんど見つかりませんでした。
このことからも、いかに今「自分らしくいる」ことが大切にされているかが分かりますよね。
でもそうはいっても、自分らしく生きるのって正直すごくむずかしいことなんじゃないかとも思います。自分らしさを追い求めることがよしとされているにもかかわらず、それができない自分がいる。そのことに焦りや窮屈さを感じたり、自分らしさを見つけられない自分ってダメなんだ……とさらに自分を追い詰めてしまったりすることもあるのではないでしょうか。
苦しい思いをするくらいなら、いっそ自分らしさなんてないほうがらくなのかも。自分らしさって、そもそもなんのためにあるのだろう。そんなふうに、「自分らしさ」というものに疲れてしまったとき、この記事が力になればうれしいです。
自分らしさを求めすぎるデメリット
これからの可能性をせばめてしまう
まずひとつめに、「わたしはこういう人」とか「これが自分らしさだ」などという思い込みによって、選択肢の幅をせばめてしまうことが挙げられると思います。「自分らしくいる」ということだけにとらわれるあまり、自分の考える「自分らしさ」に合致するものだけが正しいと思い込んでしまったりだとか、それ以外の選択肢が目にすら入らなくなってしまったりだとか。「自分らしくあること」へのこだわりが、かえって生き方の柔軟性を奪うことにもなってしまうのだと思います。
理想とのギャップが苦しくなる
自分の考える「自分らしさ」には、ある意味「自分がこうなりたい」という理想も含まれていたりすると思います。そうなると、どうしてもその理想像と今の自分とを比べてしまいがち。「自分らしくいる」という理想だけがどんどんと頭でっかちになってしまって、自分らしくなければ意味がないとか、自分らしくない今の自分はダメなんだとか、そんな自己嫌悪に陥ってしまうのではないでしょうか。このように、「自分らしさ」という理想を追い求めすぎることで、現在の自分とのギャップに生きづらさを覚え、疲れてしまうのだと思います。
他人の意見にふりまわされやすい
一見矛盾していそうなのですが、自分らしさ探しにこだわりすぎるからこそ、他人からの意見にふりまわされやすくなってしまうということもあると思います。「あの人が言っていたから」とか、「この人はこう言っているから」とか、他人の考える「自分らしさ」こそがまるで正しいかのように思えてしまったり、「自分の思う自分らしさは間違っているんじゃないか」とかえって不安になってしまったり。自分が心地よく生きるために「自分らしさ」を探しているはずなのに、結局何が本当の自分らしさなのかが分からなくなってしまったりして、「自分らしさ迷子」に陥ってしまうのかもしれません。
ちょっとらくになる考え方

いろんな顔がある自分もいいかも
「自分らしさ」というひとつの型にあてはめようとしてしまうからこそ、苦しさがあるのかもしれません。だから、無理やりひとつに決める必要はないんじゃないかなとも思います。友だちと会っているときの自分、ひとりで家にいるときの自分、恋人といるときの自分、仕事をしているときの自分。もしかしたらそれぞれ全然違う顔をしているのかもしれません。でもいろんな顔があっていいのではないでしょうか。きっと、ぜんぶの顔をひっくるめた丸ごとが「自分」なんだと思います。
今をしあわせと思えるならばそれでOK
自分らしさにばかりこだわりすぎてしまうと、理想とのギャップにばかり目がいきがちで、目の前の現実となかなか向き合えなかったりします。でも「自分らしいかどうか」という基準を取り払って考えたときに、今の仕事や生き方を、すこしでも楽しいとかしあわせかもと思えるならば、それはとても素敵なことなのではないでしょうか。
自分らしくないから今はしあわせじゃない、と決めつけてしまったら、毎日が挫折の連続になってしまいます。そうではなく、無理に自分らしくあろうとしすぎなくても、今の自分の些細なしあわせを認めてあげるということ。自分らしいかどうかはわからないけれど、少なくとも今の自分はそこそこしあわせかもな。そう思えたらそれで十分なのではないでしょうか。
流れに身をまかせてみてもいい
自分らしさを追い求めるという作業は、とてもエネルギーがいることなのではないでしょうか。だから自分らしさ探しに疲れてしまったときには、「よりよく生きよう」などと主体的に行動することを一度やめてみちゃうのもアリだと思います。そうすることで、「こうしなきゃ」という考えを手放すことができ、肩の力が抜けてかえって生きやすくなったりもするかもしれません。予期せぬ偶然の出来事や出会いも柔軟に受け止めながら、周りの状況に流されてみる。そんな生き方も、とても素敵だと思います。
窮屈に苦しくなってしまうなら、自分らしさなんてないほうがかえってらくなのかもしれません。
でも、自分らしさがないことで生きづらさを感じるのなら、それについて考えることも必要な作業なのだと思います。
自分らしさを追い求めることにも、自分らしさがないことにも、どちらにもきっといい面とあまりよくない面があるのでしょう。
どんな自分であれ、まずは今の自分をまるっと受け入れてあげることが、大切な一歩なのかなと思います。
STAFF
text:Oyama.
illustration:ハヤカワオト