これってマルチ商法?
ティップス
社会人になると増える怪しい誘い。
どう気を付ける?
社会人になると、自分で稼いだお金を自由に使えるようになってうれしいですよね。でも、その分、お金のトラブルに巻き込まれる可能性も高まってしまうことも忘れてはいけません。社会人になると、怪しいお誘いが増えるって知っていますか?
特に多いケースは「昔からの友人から急に連絡が来たと思ったらマルチ商法だった!」なんていうこと。
マルチ商法とは商品を販売する組織の会員が商品を売ったり、新規会員を勧誘し組織自体を大きくしていくことで利益を上げていく販売形態のことを言います。
マルチ商法は昔から時代と共に変化し続け、今でも私達を脅かす存在です。特に社会人になりたての20代前半の若者は情報に疎く詐欺のターゲットにされやすいのです。
そこで今回は、社会人になってから増えたお誘いが本当に危険かどうかを見極めるコツをお伝えします!
なぜ騙されてしまうの?
“これはマルチ商法だ”と初めから分かっていれば、誰でも警戒しますよね。だからこそ最近は最初こそ普通にふるまって、後々マルチ商法だと発覚する”後出しマルチ”が流行しています。
一見普通の付き合いだと思っていたら、親しくなってから徐々に商品の購入を勧められるというような流れです。ターゲットと距離を縮めて、その人の情報を元に、弱みや夢につけ込み、言葉巧みに信じ込ませお金を使わせるのです。よい関係を築いていると思っていた相手から勧められると断りづらいし、警戒心を持つことが難しく騙されてしまうケースが多いのです。
また、昨今のマルチ商法の被害者に20代が増えている理由の一つに、投資や暗号資産、副業紹介やアフィリエイトなどの”モノなしマルチ”も主流になっていることもあげられます。これらはSNSに特化した若い世代にとっては気軽なもので参入障壁が低く感じてしまいます。
他にも、コロナ禍で人との繋がりが薄れ孤独により不安を感じ、何かを通して人との繋がりを持ちたいという思考や、昨今の情勢による経済的不安なども、若い世代がこれまで以上に詐欺にあってしまっている理由と言えるでしょう。
怪しい誘いか見極めるポイント
『昔の友人から久しぶりにご飯に誘われたので行ってみたら、怪しい勧誘を受けた』こう言った話は世間的にも有名で、実際に経験したことがある人もいるでしょう。
私自身も大学生のころに、中学時代のクラスメイトから急に連絡が来たことがありました。「ちょっと怪しいかも」とは思いましたが、久しぶりに連絡をくれたことがうれしくて、会いに行き、見事勧誘された苦い思い出があります。「騙されて腹立たしい」という感情よりも、青春時代を共に過ごした友がマルチ商法にはまっている姿を見るのは悲しい気持ちでいっぱいになるものです。このような思いをしないよう、怪しい誘いかどうかを見極めるポイントをお伝えします!
①日時・場所を指定される
細かく指定してくる場合は同席者がいる可能性が高いです。また場所は警戒心を持たせないために、人目に付くファミレスなどが多い傾向にあります。
②要件は特に言わない
ただのご飯の可能性もありますが、「とにかく会おうよ」の一点張りには警戒心を持った方がいいです。また「会わせたい人がいる」などのワードはかなり危険です。
③SNSの投稿が極端に華やか
人のあこがれや強い興味を引かせるために戦略的に華やかに見せている可能性があります。会う前に一度インスタグラムなどを確認するとよいでしょう。
④「楽して稼げる」を強調する
「スマホ1つで稼げる」や「すぐに稼げる」などの言葉には注意しましょう。具体的なビジネスモデルを聞き、客観的に判断することが大切です。
⑤現場の不満や夢について問われる
マルチ商法が最も厄介な理由は、騙すというより洗脳に近い状態を取るところにあります。現状の不満と夢を聞き出し、「すべて解決するにはこれしかない!」という具合で圧をかけてきます。この洗脳作戦には特に注意が必要です。
実際に誘われたときの対処法
まずは会う前に共通の友だちや今でも相手と近くにいそうな人に、相手の現状を尋ねることがおすすめです。その上で会うのは危険と判断した場合には、用事があるなどと言い相手を刺激せずにやんわりと断りましょう。
実際に会ってしまってから危険だと気づいた場合には「一度持ち帰って考える」などと言いその場を一旦収めて、その後相手の連絡先を消しましょう。
しかし、場合によってはその場ですぐに契約するよう圧をかけられてしまうこともあります。その場合は相手にばれないよう録音・録画をし、消費生活センターに訴えましょう。この時、相手の業者も特定できるとさらによいです。
ちなみに私の友人で、実際に圧をかけられたとき、逆にビジネスモデルや給料明細、代理店名、税金の支払い状況など、ありとあらゆることを質問してマルチ商法を撃退した強者がいました。友人いわく「相手はこちらに知識がないと思っているから騙しに来ているのであって、それなりに考える力や警戒心を見せれば諦める」とのことでした。感心しましたが私には到底まねできそうにありません……。
社会人になると人との繋がりが増える分、こうして怪しい誘いがどうしても増えてしまいます。さまざまな誘いや情報の中、何を信じたらよいか困惑するかもしれませんが、最後に自分を守れるのは自分です。
人からの言葉をすぐに鵜呑みにするのではなく、自分に必要なことなのか見極める目を大切にしましょう!
STAFF
text:hiyori
illustration:ニシモトタクミ