[2024/07.02]

暮らしのお買いもの

【このごろコラム】
夏めく公園で、友情ピクニック

これは社会人4年目の男が過ごした、とある休日の話。
コーヒーではじまり、コーヒーで終わった一日。
こういう日が僕には必要だ。

心を無にさせてくれる

僕はコーヒーが好きだ。
いつ飲んでも遠い記憶が揺さぶられるような、懐かしい味わいがする。
コーヒーは五感で味わい、体感するものなのかもしれない。
僕に余白をくれる、心を無にさせてくれる。

僕は社会に出て4年目。
休日の使い方もなんとなく覚えてきた。
とある休日に、友人と一緒にピクニックに出掛けることになった。

「そもそもピクニック自体、初めてかもしれないな」
なんて思いながら、僕はアイスコーヒーを淹れて持っていくことに。
この時季に外で飲むアイスコーヒーは絶対においしいはずだ。

朝はとにかく時間がない。
僕はお湯に浸すだけで抽出できる「ディップスタイルバッグ」でコーヒーを淹れることが多い。
パッケージのかわいさに時間を奪われながらも、お湯を注ぎ、アイスコーヒー用にちょっと濃いめに抽出をした。

さて、準備は整った。
時刻は朝の8時。
さっそく公園に向かおう。

この日は雲ひとつなく、青空が広がっていた。
昨日は雨だったから緑も機嫌がよさそうだ。
木々の気持ちに想いを巡らせながら友人を待った。

またひとつ思い出が。

友人と合流し、近くのベンチへ。
頻繁に会う友人なので、あいさつはささっとだ。
息つく間もなくグラスにアイスコーヒーを注ぎ、乾杯した。

ひと口目は、まるで水を飲むように勢いよく流し込んだ。

「あぁ、おいしい」

コーヒーがおいしいと感じるときは、きっと前向きな気持ちのときだと思う。
僕らにも悩みがたくさんある。
だけど、健全な悩みだとも思う。
なんてお互いを励まし合った。

コーヒーを飲んで、ひと呼吸。
そんな時間が僕らを現実から遠ざけてくれた。

むかし話にも花が咲いた。
「懐かしむという感情はとても尊い感情だよね」という話をした。
過去を懐かしむためには、今を全力で生きる必要がある。
だって、たくさん思い出を作れば、それだけ懐かしむことができるから。
単純だけど、今の僕はそう思っている。

これは男同士の友情ピクニックだ。
僕らはまだ夢を見ている。
未来に期待し、成し遂げたい夢がある。
まだやれる、もっとやれる。
初夏とは思えないほど熱く語らってしまった。

僕らはピクニックを誰よりも楽しんだ。
またひとつ、思い出ができた。

何もしない、というぜいたく。

せっかくなので、公園内を歩いてみることに。
僕らは20代後半だ。
友人らは結婚や出産、転職など、さまざまな分岐点を迎えている。
時に友人らのことをうらやましく思ったりもする。
日常に潜む葛藤から逃げ出したくもなる。

散歩は、そんな現実から僕らを遠ざけてくれる。
あてもなくうろつき、思考を巡らせた。
友人が今、何を考えているのかは全く分からない。
無言の時間が流れた。
僕らはこういう時間を求めていた。
何もしない時間を楽しんだ。

心のゆとりがある今なら、日常では見過ごしてしまいそうなことにも気がつける。
道端に咲く紫陽花を見つけた。
僕はやさしい気持ちを覚えた。
友人は今、どんな気持ちかな。

自然から教わることは多い。
いつだって忘れかけている大切なことを思い出させてくれる。

僕らは童心に返るためにアレを持ち込んでいた。
それはシャボン玉だ。
人通りが少ないこの場所で吹いてみることに。
これが思った以上に楽しかった。
シャボン玉を吹くたびに僕らの息は上がった。

大人になった証拠かも。

友人と別れたあと、僕は家に帰った。

ちょっとだけ仕事をして、家事をして、仕事をして、映画を観て、料理をした。
ふと窓の外に目をやると夜も深くなっていた。
締めの一杯が欲しくなるころだ。

僕はすかさずお湯を沸かし、ホットコーヒーを飲むことに。

この時間のコーヒーブレイクに豊かさを感じる。
これは大人になった証拠かもしれないな。
どんなに忙しくても、心に余裕がなくても、こういう時間はつくろう。
僕の心はだんだんとやわらいでいった。
また明日もがんばろうな。

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STAFF
photo & text : Seiya Natsume