[2025/02.17]

ぼくの、シンプルレシピ

#29. かぼちゃの煮物

かぼちゃには、ちょっとだけ苦い思い出がある

あるときスーパーに行くと、
いつもの野菜たちがやけに高値になっていた。

「これが野菜高騰と騒がれてるやつか……」
先行きが不安になっていたところ、
目の前に『大特価!49円』というPOPとともに
ゴロゴロと山積みになったかぼちゃが現れた。

それまでほとんど買ったことがなく、
使いきれるか分からなくて少しためらったけど、あまりの安さに引かれて購入を決めた。

しかも「同じ値段なら」と欲を出して、
なるべく大きなものを選んだ。

ところがレジで会計をすると、
49円ではなく490円くらいしたのだ。

なにかがおかしい……
ひと桁見間違えたのか……?
会計後にふたたび売り場に戻ってみると
『大特価!49円(100g)』と書かれていることに気がついた。

そういえば昔から、ちゃんと確認をしないで
同じような失敗をしてしまうことがあった。

いつまでたっても変わらない、自分のだめな部分――
まさかこんな場面でも思い知らされるなんて。

苦い経験をしたあとに食べたかぼちゃの煮物は、思っていたよりもずっと甘くて、ホクホク温かくて、なんだか泣きそうになってしまった。

HOW TO COOK

かぼちゃを切ります

かぼちゃは、ひとり暮らしなら8/1玉くらいが作りやすいと思います。種とわたをスプーンなどで取り除き、ひと口大にカットしていきます。かぼちゃは皮が硬いので切るときは要注意。包丁の先の方を使って、少しずつ切っていく感じにすると切りやすいです

鍋に入れて、水を加えます

底が広すぎない鍋を使い、皮が上にくるようにして、重ならないようにかぼちゃを広げます。水を1カップ(200cc)加えて火にかけます。ちょうどいいサイズ感の鍋は、月兎印のソースパン(16cm)

調味料を加えます

使う調味料は砂糖と塩としょうゆのみ。だしは使いません。ちなみに、ぼくは白砂糖ではなく、きび砂糖を使っています(これまでのレシピでもそうでした……今さらすみません。でも白砂糖でも大丈夫です)
沸騰してきたら、まず砂糖を全量加えます。結構たっぷりです
煮ているとかぼちゃがひっくり返ってくるので、菜箸で戻してあげてください。煮くずれて皮が身からはがれるのを防ぐお手入れです
しばらくしたら、塩としょうゆを加えます
鍋を軽く振って、かき混ぜます
つまようじの太い方を刺してみて、すっと入るようだったらOK

うつわに盛って完成!

あざやかな黄色と緑がかわいい~。うつわは作家の杉田真紀さんによる「みみボウル」

【材料】
◎かぼちゃ 1/8個

【調味料】
・砂糖 大さじ2
・塩 ひとつまみ 
・しょうゆ 小さじ2
・水 200cc

保存してお弁当のおかずにも

晩ごはんのおかず1食分を除いても、平日5日間分のお弁当に詰められるくらいは余ります。甘いおかずはちょっとしたスイーツ感覚ですよ

STAFF
photo / text : けんち(このごろ編集部)
illustration:yuko