[2024/06.13]
ぼくの、シンプルレシピ
#14. きほんのおひたし
いつの間にかぼくは、
おひたしを作るおとなになっていた。

『あのときかもしれない』という、
長田弘さんの詩を読んだ。
子どもの「きみ」が
おとなの「きみ」になった瞬間をつづった、
うれしいような、少しさみしいような瞬間――
自分自身と重ね合わせて、
しばらく感傷的な気分に浸った。
浸るといえば、
子どものぼくは、おひたしを食べたいなんて
思ったことがなかった。
「おひたしも食べなさい」と母に言われて
鼻をつまんで無理やり口に入れていた。
ところがある日
「いただきます」のあとに箸をつけたのは
ほうれんそうのおひたしだった。
そのときだったんだ。
ぼくはもう、ひとりの子どもじゃなくて、
ひとりのおとなになっていたんだ。
HOW TO COOK
浸す野菜を用意します






おひたし液を用意します

浸します

お皿に盛り付けます

【材料(ひとり分×2食くらい)】
◎ほうれんそう 2株
・塩 小さじ1 ※ゆでる用
◎おひたし液(作りやすい量)
・和風顆粒だし 小さじ1
・みりん 小さじ1
・しょうゆ 小さじ3(=大さじ1)
・水 180cc
STAFF
photo / text : けんち(このごろ編集部)
illustration:yuko