[2024/05.30]

ぼくの、シンプルレシピ

#13. 焼き餃子

焼き餃子ほど、
無情な料理はないと思っていた。

野菜をみじん切りするのも、
一つひとつ手で包むのも、
めんどうだけどがんばった。

それなのに、
最後の焼く工程で失敗して、
やりきれない悲しさに
憎しみをおぼえたこともある。

ところが最近、
職場で隣の部署からよく聞こえてくる言葉が、
焼き餃子に対するそんな思いを変えた。

商品の品質をチェックするその部署では、
おねえさまたちが口をそろえて
「許容」という言葉を使うのだ。

「よい」「悪い」とか
「成功」「失敗」とか、
どちらかしかない判断ではない
「許容」というおおらかなものさし――

それを手に入れたぼくは、
「許容、許容」とつぶやきながら
きげんよく餃子を焼くのだった。

HOW TO COOK

野菜をみじん切りにします

キャベツとにんにく、しょうがをみじん切りにします。何も考えず、ただ刻むことに集中すると「いつの間にこんなに細かくなったんだろう」と不思議な感覚に。ニラを使うときはそのぶんキャベツを減らせばいいと思います
みじん切りにしたキャベツは塩(小さじ1くらい)を振ってもみ、10分くらい置いたら水気を切ります。ボウルと同じサイズのざるを重ねてギュッとすると、水気だけたらりと落ちてくれますよ。柳宗理のボウル&ストレーナーを使用

あんを用意します

豚ひき肉と野菜をボウルに合わせて、砂糖、酒、しょうゆを同量ずつ加えます
よく混ぜます(調味料を入れた軽量スプーンをそのまま使っちゃいます)。味見をしたいときは少量を電子レンジで加熱する方法があるみたいですが、焼き餃子は食べるときに調味料を付けることも多いので、多少薄味でも「許容」です

あんを包みます

皮のふち半分に水をつけて、中央にあんをのせます。半分に折りながら、端からひだをつけながら閉じていきます(説明むずい!)。これはもう、回数を重ねて慣れるしか上達する方法はないかも。でも、均一じゃなくても、少しくらい皮が破けても「許容」です

フライパンで焼きます

フライパンにごま油を気持ち多めにひいて、1食分の餃子を並べます。そのあとに火をつけて中火くらいで焼きます。ときどき裏側を見て、こんがり焼き色がつくまで待ちます
焼き色がついたら、水(50ccくらい)を加えてふたをして蒸し焼きに。皮がつやつやとして中のあんが透けて見えるようになったら焼き上がりの目安にしています

お皿に盛り付けます

くっついた皮同士をはがそうとして破れても「許容」。焼き色にムラがあっても「許容」です

残った餃子は冷凍保存

手間のかかる餃子作りはいっぺんにたくさん作っておくのがおすすめ。1食分ずつラップに包んで冷凍保存しておきます。「今夜は餃子にしようかな」という気分の朝に、冷凍庫から冷蔵庫に移しておくと、帰宅するころにはほどよく解凍されていますよ

【材料(40個)】
◎キャベツ 1/4玉(小さめ)
◎にんにく 適量
◎しょうが 適量
◎豚ひき肉 280g
◎餃子の皮 40枚
・砂糖 大さじ1
・酒 大さじ1
・しょうゆ 大さじ1

・塩 小さじ1 ※キャベツの塩もみ用
・ごま油 適量 ※焼く用

STAFF
photo / text : けんち(このごろ編集部)
illustration:yuko