-第4回ことば追求会-
あたらしい日々ってなんだろう

フェリシモことば部の新たな取り組み『ことば追求会』

ことば部の部員がそれぞれ話したいテーマを持ち寄るこの企画。
第4回では、4月17日まで募集中の『あたらしい日々への短歌賞』のテーマである”あたらしい日々”について考えてみます。

ぜひお読みください!

※過去の追求会はこちらから

【プロフィール】

やまぐち
フェリシモことば部部長。
音楽・映画・テレビ、ジャンルは問わず色んなエンタメが好き。
好きな言葉に出会ったらメモするようにしている。お腹が弱い。

あんぱん
お笑い・ラジオ・アート・インテリアが好き。
心がザワザワしてきたときは、原田マハさんの小説を読んで落ち着かせている。
鼻が高く、「先端恐怖症だからこっちを見ないでほしい」と言われたことがある。

タケナカ
フィクション、ノンフィクションなんでも読むが重ための作品が好き。
フェイク・ドキュメンタリーを作りたい。

たっきー
現代短歌・小説・エッセイをよく読む。
映画・ドラマ鑑賞も好き。最近は、近所の商店街を散歩して開拓中。
退勤後のひとりラーメンにはまっている。

”あたらしい日々”ってなんだろう

ーやまぐち
前回は『あたらしい日々への短歌賞』にちなんで、実際に短歌を作ってきてもらったんですけど、今回は”あたらしい日々”ってなんだろうみたいな話もできたらなと。

本当にこれ聞くタイミングによると思うんですけど、”あたらしい日々”って言われたらみなさんはどう感じますか?

僕は、なんか”あたらしい日々”って言われるとめっちゃテンション上がるんですよ。

……天性の陽キャラなのかもしれない。

ータケナカ
自分で言ってますやん。

ーやまぐち
天性の陽キャラは表現間違えたかもだけど……(笑) 
なんと言うか、小さいときから、1年生が一番面白いんですよ。
小学校も、中学校も、高校も。

ーあんぱん
それちょっと珍しいかもですね。

ーやまぐち
なんだか新しい出会いにずっとワクワクしてる感じがあって。
引越しもいつも新しい街に行けて楽しいし、大学は一気に新天地で楽しい。
入社当初も、一人暮らし!新天地!みたいなのがあったから、広く見れば楽しくて。
だから、”あたらしい日々”って聞いたら僕は、ポジティブな開けた感じのイメージがあります。

それでいうとタケナカくんはあれかな、短歌にもちょっとあるような、ネガティブとは言わないまでも、薄もやみたいなイメージもあったりするんかな。

ータケナカ
そうですね……

例えば、家のポスターを貼りなおすとするじゃないですか。
あれって始め、貼った後ちょっと違ったかなって思いません?
ポスターを壁に貼った時に、何か違うなみたいな。
でもその違和感が徐々に、こう馴染んでくる日があるじゃないですか。

あたらしい日々も同じで、最初は違和感だけど、どこかで、あ、もうこれ日常やなって、いう瞬間は好きです。
だけど徐々にそれがまた陳腐化していって、あまりにも日常になりすぎて、一体化しすぎてしまった時に、またちょっと違うなみたいな気持ちになりますね。

そうしてまたあたらしい日々に向かう、自分はこの新陳代謝を繰り返したいんだろうな、と思います。
そういうことを考えていたので、今回の短歌もちょっと暗かったのかも。

ーやまぐち
あたらしい日々とポスターって凄い感覚やなあ、それに、凄く分かる気がする。

たっきーはどうですか?
たっきーの短歌はなんだか軽やかな印象を受けました。

ーたっきー
そうですね、あたらしい日々は、割とポジティブな気持ちも大きいです。
でも割合で言うと楽しみ8対不安2って感じですかね。

色に例えるなら、薄ピンクにちょっと水色も入ったみたいな感じの印象で。
でもそのちょっと混ざってる感情みたいなのすらもいいな、なんだか心地いいなって思う気はします。なんだかちょっとピリッと背筋が伸びるような感じが、いいなって。

ーやまぐち
確かに。
”あたらしい日々”には緊張と不安みたいなものもあるよね。

あんぱんさんはどうですか?

ーあんぱん
私も不安めっちゃあります。
2割どころじゃなくて、5割ぐらい。

”あたらしい日々”って、ちょっと覚悟みたいなところがあって。
家も引っ越ししてきて、新しいこの場所でやるんだから、失敗できないっていう。
だから緊張するみたいな。

あとファーストインプレッションつまずいたら終わりやん。っていう。

ーやまぐち
確かに、その緊張ありますよね。

ーあんぱん
だから私、ノートに「絶対に笑顔」とか、「大きい声で喋る」とか、「挨拶大きく」とか、ば~って書いて、読んでから来たりする。

ータケナカ
あんぱんさんの短歌の「よし、インプット」にも、そういう強さや覚悟がありますもんね。

ーあんぱん
大学も1回生の終わりぐらいに仲いい子とか決まってくるじゃないですか。
それぐらい馴染んできた方が、私は楽しい方です。

ーやまぐち
なるほどなあ……みなさんそれぞれですね。
僕は日々にかぎらず、何か新しいことの発見がもう楽しくって。

もうこれは性格の話になっちゃうと思うんですけど、例えばファミレスとか行っても、絶対新メニューを頼んじゃう。(笑)
新しいもの全部にテンションが上がってしまう自分がいます。

ーたっきー
不安とかはあるんですか?

ーやまぐち
不安は……そう言われるとあんまり無い気がします。

ータケナカ
いや、すごいですね。

ーやまぐち
たっきーが言ってた不安、っていう要素は「ファーストインプレッションが~」以外にも何かあったりしますか?

ーたっきー
不安で言うと、予想ができないことですかね。
例えば仕事だったら内容が決まってたとしても、自分がついていけるのかとか、具体的にはどんな感じだろうとか、日々を予想できないことが不安ですかね。
人に対して緊張しちゃうとかもありますね。

ーやまぐち
確かに予測がつかないと緊張したり不安になるかも。
仲良くなると、次遊ぶ時どんな感じか大体分かるもんね。

ーたっきー
そんな感じですね。

ーあんぱん
探り探りな、対人関係でどこまで話していいかなとか探ってる期間はちょっと緊張しますね。

ーやまぐち
確かに。
でもその読めなさが楽しいみたいなことを思っちゃうときはあります。

あと何か笑っちゃう時ありますね。22歳から社会人とされて、急に新天地!社会人!みたいな、やらねばって時に、ワクワクはしてるんですけど、それをすごい俯瞰で見て、いや、先月まで学生でしたよね?みたいな。
自分がすごく俯瞰で、急にあたらしくなった自分を見て笑ってる感じ。

本当どんな奴やねんと思われるかもですけど、逆にはしゃいでる分、反動で落ち込むときはすごく落ち込むっていうか。

初手ははしゃいで、そのはしゃいでる様を俯瞰で見て笑って、落ち込む時は落ち込む。
めちゃくちゃですね……(笑)

ータケナカ
人ですからね……(笑)
色々ありますよ。

ーやまぐち
逆に言うと、慣れてきたらちょっと疲れてくるみたいな時もありますね。

その長距離のペース配分を間違ってるみたいな。
最初めっちゃ走り出して、途中で疲れて、大変だなあ、みたいな感じの。
これは人のタイプかもしれないですね。


3月と4月のイメージ

ーやまぐち
「あたらしい日々への短歌賞」の募集が3月から4月なんですけど、3月と4月って、みなさんにとってどういうイメージでしょうか。
そういう時期に思うこととか。

ちなみに僕は4月好きなんですよ。
新しいから。(笑)

ータケナカ
本当に新しいが好きなんですね。(笑)

ーやまぐち
ただはしゃぐ人だと思われたら嫌なんで、ちょっとうまく喋りたいんですけど。
うーん、3月が別れで、4月が出会いみたいな、簡単に言うとそういうイメージがあるじゃないですか。

別れはもうちゃんと悲しいんですけど、なんか本当にしんどい、いやだ、みたいな感じじゃないっていうか。
別れがあるってことは、次新しいじゃんみたいな。
これしゃべり方あってるのかな、、、でも本当にそんな感じなんですよね。

ータケナカ
3月・4月のはちゃめちゃ感は面白いですよね。

入社のタイミングで初めて一人暮らしを始めて。
引っ越しして、3月に山ほど友達呼んで、山ほど家の周辺歩いて、気づいたら入社みたいな。

あまりにこの時期の加速度がやばいみたいな。
そのめちゃくちゃ感は面白かったなと思います。

スタンドアップコメディみたいな感じで、1回も止まる瞬間なかったなと思って。面白かったですね。

ーやまぐち
なんか……4月に桜咲くのもおもしろいですよね。
始まるで~!みたいな。(笑)
色も、開き方も、始まるで~!の感じ。

もしかして、だから4月を出会いの季節にしたのか?みたいな。
桜という花の始まり感が強いから、世間が4月を入社とか入学にしたのかみたいな。
そんなわけないか……(笑)

ーたっきー
でも確かに海外は9月が多いですもんね。

ータケナカ
桜も日本の国の花ですね。

ーやまぐち
え、もしかして本当にそうな可能性ある……?(笑)


普段、短歌に触れてますか?

ーやまぐち
別のところに話が飛んじゃいましたけど、みなさんの短歌を読んでても、それぞれのリズムがあるなと思ったんですけど、普段短歌って読みますか?

ーたっきー
私は結構読んでます。

ーあんぱん
私は今回まで全く読んだことなくて。それで、今回に向けて1冊買いました。
ちなみに木下さんの本で、「きみを嫌いな奴はクズだよ」ですね。

ーやまぐち
そうなんですね!
前回詠んでもらった短歌は良い意味で、あんぱんさん独自のリズムもあるなと思いました。
特に2つ目の「よしインプット」の歌とか。

読む人に対しての質問になっちゃいますけど、どういう時に読んだりしますか?
たっきーは第1回の時に言ってた、電車の中とかちょっとした場所で世界に簡単に入れるみたいな読み方もあるのかな。

ーたっきー
そうですね。あとは寝る前とか。
仕事終わりだったら、お仕事モードが抜けなかったりするんですけど、パって読んで、57577の言葉だけで、ああ自分の世界に戻ってきたなって感じがするので、自分の世界に戻る時、リセットするみたいな時に読むことが多いかなと思います。

ーやまぐち
リセットしたみたいな気持ちめっちゃわかるかも。
本読むのも、短歌読むのも、全部そうかもしれない。
何しても頭が固まっちゃう感覚になる時がちょっとあるから、そういう時に本を読むと、なんだかオレンジの”球体”みたいなものに包まれてるみたいな感じになる時があります。

ータケナカ
僕も読むんですけど、逆に読む人に聞きたいことがあって。
仕事終わりの後に読んだりしたら、逆に神経が張り詰めすぎてて、行間を読めない時ないですか?

土日とかに読むと、ああこういうことかみたいなのを思うんですけど。
みなさんはどうなのかなと思ってました。

ーやまぐち
確かにある。
仕事というより焦り、かも。
焦ってるとリセットができなくて、仕事終わりもそうだし、10分後に何か始まるみたいな時に短歌読んでも、文字だけが並んでる感じになる。

逆に、1行を読むだけど、前後に15分は欲しいみたいなのはあるかも。
そしたら短歌として読めるみたいな、そんな気持ち。

ータケナカ
余裕がないと読めない感じはありますよね。

ーたっきー
私は、その時にビビッてきたものをじっくり読むみたいな読み方をするので、あまり良くないかもしれないですけど、例え疲れていたとしても、これすごい刺さったぞみたいな部分が合って。

自分の状況とか、読むタイミングで、どれが自分にハマるか変わるっていうのも短歌の面白いところかなって思っていて。
あれこないだ読んだときに刺さらなかったのに今日は刺さるぞ、っていう自分の気持ちの変化にも気付けるのが良いな、と思っています。

ータケナカ
確かに、そのパラメーターは面白いかも。

ーやまぐち
鏡みたいな感じもあるよね。

あんぱんさんは、今回初めて短歌に触れたってことでしたけど、
凄くオリジナルなリズムと内容で、凄く素敵な歌だなあと感じました。
今回の「あたらしい日々への短歌賞」はそういう初めての人にもぜひ応募してほしいなと思っています。


短歌賞〆切は4月17日(木)中まで

歌人の木下龍也さんを審査員に迎えた『あたらしい日々への短歌賞』の〆切は、まもなく4月17日(木)中まで。

ワクワクも、不安も、あなたの思う”あたらしい日々”をぜひのせてみてください。

応募はこちらから

talk:ことば部部員
text:やまぐち(ことば部部長)