-部員の対談-
人生を「主人公」として生きるための詩
![](https://www.felissimo.co.jp/jisedai/wp-content/uploads/2025/02/hukkan3.jpg)
「1000人集まれば復刊できる」現在、第2弾『数と夕方』のお申し込みを受け付け中の復刊リクエスト。
企画担当のフェリシモことば部部員、あこあことみうが詩について対談しました。
そもそも詩ってどうやって読めばいいの?という素朴な疑問から、詩を読むことでどんな風に人生が豊かになるかのディープな話まで。最後は、詩を読むことで人生の「主人公」になれる!?という話も飛び出します。読めば今すぐ詩集を開きたくなる対談です。
【プロフィール】
あこあこ
台所、寝室、お風呂場、いろんな場所に本を置いて、乱読するスタイルの読書が好き。
詩集はもっぱら、移動中。最近のブームは朝の筋トレ。
みう
最近、少しずつ詩を読むようになった、詩・ビギナー。ふだんは小説や人文系の本をよく読む。
趣味は散歩と山登り、ぎょうざを包むこと。
詩、どう読んでる?
ーみう
詩というと国語の教科書に載っていた作品くらいしか知らないのですが、最近もっと読んでみたいなと思っていて、あこあこさんはどんな詩を読んでるんですか?
ーあこあこ
いいね。私は近くの個人書店さんでたくさん扱っているお店があって、昔の詩人から最近の若い詩人まで、知らない人でも、気になった詩集を買ってるよ。
ーみう
個人書店だと、店主の方のおすすめがなんとなくわかって、詩人について詳しくなくても選びやすいかもしれないですね。買った詩集はどんなときに読んでますか?
ーあこあこ
私は通勤中に読むことが多いかな。電車で10分くらいなんやけど、短い時間だと小説は区切りが悪くなってしまうし、ぱっと読める詩は移動中にいいと思うよ。
ーみう
たしかに、移動中はスマホとかつい触っちゃいがちですけど、すき間の時間にぱっと開いて読めるのはいいですね! あとあと、ふだん小説は読み慣れているのですが、詩って読み方がむずかしいなと思ってて。
ーあこあこ
わかるなあ。詩集って、小説みたいに一生懸命読むとすぐ読み終わってしまうやん。私もこういう味わい方じゃないのかもと思って、自分なりに楽しみ方を工夫してみてる。最近やってるのがおみくじ方式で詩を読むこと。
玄関の近くに詩集を15冊くらい置いてるコーナーがあって、家を出るときにおみくじ感覚で選ぶようにしてるのね。それで、電車のなかでぱっと開いたページを読む。
文字を一生懸命に追わなくてもよくて、一言だけ読んで目を閉じて味わったりしてるよ。
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ーみう
いいですね!最初から最後まで通読するんじゃなくて、ぱっと開いてちょっと読むことなら習慣にできそう。
詩を読んで心に刺さるときって、書いてある言葉の意味だけじゃなくて、自分のなかからいろんな記憶を呼び起こしてくることが多い気がします。
最近、中原中也の『在りし日の歌』という詩集のなかの1篇を読んでいたとき、私が暮らしの中で感じた、思い出が積み重なっていくことが切ないという気持ちを、詩にして閉じ込めてくれている!と思って感動したことがあります。
ーあこあこ
めっちゃいい話やね!
なんか、言葉にできないものを言葉にしようとするのが詩なのかなあ。
だれかが言ってた言葉なんだけど、詩は虹ではなくて虹を指し示す指だと思うって。
ことばそのものじゃなくて、その裏側にある「なにか」に思いを寄せる時間が詩を読むってことなのかもね。
ーみう
そうですね、言葉の裏側の「なにか」を味わうと思って読むと、もっと詩を楽しめる気がします。
詩を読むことで、
日々の中で変わったこと
ーみう
詩で読んだことを、ふだんの生活の中で思い出すことってありますか?
ーあこあこ
あるある。読んだ言葉がキーワードとしてふっとでてきて、仕事で役に立ったこともあるよ。
詩とか小説で読んだものって、自分の血肉になるんよね。
ーみう
たしかに。ハウツー本とかすぐに役立つものと違って、詩や小説って役に立たないと思われがちじゃないですか。
でも、論理的には言語化できなくても、本当は知らないうちに溜まってるものもあるんだろうなって。
ーあこあこ
そうやね。自分がその言葉を気になったってことは、自分に必要なものだから気になったってことで。
今いろんな情報があふれているけど、情報の取捨選択は本当にできてるかな?と思う。
いらない情報が入ってくると疲れちゃうときもあるから……。
詩を読むことの功名って、本当に必要なものが入ってくるってことだと思う。
ーみう
ほんとですね。しかも、その時々で入ってくる言葉が変わる。
暮らしのなかでこんなことがあったからこういう所が響いたって、日によって違うから何度も新鮮に楽しめますよね。
ーあこあこ
うんうん、そのとき何に響くかで、自分を映す鏡とか、自分の立ち位置がわかる羅針盤みたいになる。
全員詩人、全員主人公
ーみう
詩を読むことを、どんな人におすすめしたいですか?
ーあこあこ
みんな見てるものが違うから、本当にみんなに読んでほしいな。
同じ詩を読んでも、みてるものがみんな違うから。
生きてる人は全員、詩人じゃないかなと思うよ。詩人の目をだれもが持ってる。
ーみう
でも詩人的な見方って、いつの間にか封印されてしまう気がしていて。
私は子供のころから、だれかの期待に応えたくて、褒められようとしてしまうタイプで、詩人的な見方を自分で閉ざしちゃってたところがあると思うんです。
だから今、詩を読むことで、自分の感性が呼び覚まされるなと思ってます。
ーあこあこ
期待ってその人の枠の中にはめられるだけやからね。人の期待なんて、裏切ってなんぼですから!
とはいえ、やっぱり社会の中を生きていると、人に合わせなきゃいけない場面はあるから、詩の中では自由に翼を広げて羽ばたかせたいね。
ーみう
ほんとですね!遠出をしたりしなくても、ページを開くだけで自由の扉を開ける。
詩を読むことで、自分の人生の主人公は私であるっていう当たり前のことを、取り戻せるような気がします。
ーあこあこ
うんうん、ともすれば時間は流れていくから。もっと濃ゆく、生きる喜びを味わいたいね。
ーみう
はい、本来の自分を取り戻すためにも、まず玄関に詩集のコーナーを作ります!
翼を広げる1冊を
あこあことみうが企画する「復刊リクエスト」では、詩人・管啓次郎さんの詩集『数と夕方』のお申し込みを募集中です。
4月末までのお申し込みが1000人を超えると、復刊がかないます。
お申し込みはこちらから。
翼を広げる1冊の復刊に、ご協力いただけるとうれしいです。
text:みう(フェリシモことば部)