『反毛』という技法で作り出した、リサイクルコットンを使った商品に挑戦してみました。反毛は、使わなくなった服や糸や布などを繊維の状態に戻す技術です。今回反毛をお願いするのは、愛知県にある「登坂反毛」さん。創業されたのは昭和46年、高度成長期のころからずっとリサイクルに携わっておられます。綿100%の服でもステッチ糸やネームタグなどの不純物が入ってしまうので、登坂反毛さんでは紡績工場や生地屋さんからの余った糸や生地、そして縫製工場から出る裁断くずを原料にされています。それでも不純物が混ざってしまう可能性があるので、一回の反毛ごとにできあがったわたを検査に出して確認されるそうです。まずは原料を裁断機で大まかにカットしていき、カット端に油分を含んだ水をかけます。これは糸にしたときのネップ防止と熱を帯びて発火する危険をふせぐためです。どれくらい水を含ませるかは、その時の気温や天候の感覚によって変えるという、匠の『業(わざ)』なくしてはできない工程です。いよいよ反毛ですが、繊維を引っかく歯の大きさが違う5台の反毛機に通していきながら徐々に細かくしていきます。大きい歯からだんだん小さくしていくことで繊維がより細かくなっていくのです。このように作られたリサイクルコットンを、大阪の泉南市にある「旭紡績」さんでインドのオーガニックコットンと50%ずつの割合で混ぜ合わせ糸に紡ぎました。反毛の繊維は繊維長が短いため、強度を出すためにバージンコットンと混ぜる必要があります。こうしてできた糸で作った「反毛裏毛のトレーナー」、リサイクルコットンの粗野な風合いを生かした、ヴィンテージライクなトレーナーに仕上がりました。袖にはタツノオトシゴをサニークラウズの『S』にした刺しゅうを入れています。