テーマを『刺繍』にするなら、中越レースさんにはぜひ参加してもらわないと!ということで、企画したのがこの「レースの腕輪シャツ」。中越レースさんの正式名は、「中越レース工業株式会社」で、エンブロイダリーレースと言われる、生地に機械刺しゅうをほどこしたレースを取り扱っている、昭和16年創業の老舗中の老舗です。2022年の秋コレクションでお世話になった際、工場取材におじゃましました。最新の機械の方が、刺しゅう速度が早くて効率的なのですが、刺しゅうに立体感が出て味わいのある表情を作ることができる、今ではもう手に入らない昔の機械をメンテナンスしながら大切に使われています。そんな中越レースさんに今回お願いしたのは、ペイズリーモチーフの線画のような刺しゅう。昔の刺しゅう機を使うだけでなく、20番双糸の太い綿糸を使うことで、さらに立体感を増してもらいました。ベースの生地には、播州織で有名な西脇に工場を構える、日本の生地ブランド「シャトルノーツ」の生地を使っています。シャトルノーツの名前の由来にもなっている、シャトル織機で織り上げた生地は、織るときに糸を引っ張りすぎないので、ふっくらとした肌ざわりとやわらかな風合いが特長です。今回はデザインでもすごく悩みました。刺しゅう生地を全面に使うとインパクトがありすぎるので、部分使いすることは決めていたのですがその場所や分量がむずかしく、最終サンプルまでに5回も作り直し、ようやく完成した力作です。