2024.10.1

心を込めたストールで播州織を未来へ

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日本の伝統技術プロジェクト

日本の伝統技術プロジェクト

日本の伝統技術を未来に伝えたい!

FELISSIMO / GO! PEACE!

身にまとったときにまず驚くのは、やわらかく、しっくり肌になじむ安心感。何度も触ってやわらかさに心をゆだねると、昔大切にしていた宝物に再会したようにときめきます。

このストールは、兵庫県で200年以上の歴史を誇る「播州織」で作られたもの。伝統技術を守りながら、未来へつなぐ職人の情熱とこだわりが詰まった一枚には、手に取る人の心をも動かす魅力が秘められています。

自然とともに育まれる播州織の魅力

一度身にまとうと、まず、肌ざわりのやわらかさに驚きます。本当に初めて巻いたのかと疑うほど、しっくりとなじむのです。

あまりの心地よさに何度も触っていると、子どものころの宝物に再会したような、懐かしく、くすぐったい気持ちに。

このストールは、播州織の伝統を受け継ぎつつ、新たな挑戦を続ける「織馬鹿」さんとのコラボで作られたもの。播州織の歴史と、その伝統を未来へ繋ぐ「織馬鹿」さんの魅力にせまります。

播州織工房 織馬鹿(おりばか)

兵庫県北播磨地区で200年以上続く播州織の歴史を受け継ぎながら、新たな魅力を吹き込む工房。ジャガード織をメインに、色と風合いにこだわったストール作りも手がける。

 

山に囲まれ、川底が透けて見えるほど美しい川が流れる、兵庫県西脇市。糸の染色に必要な水資源の豊かなこの地で、200年以上前から播州織の歴史が育まれてきました。

播州織は、綿を中心とした細い糸で紡がれる織物。糸を先に染め、染め上がった糸で柄を織る「先染め」の技法が使われています。その品質の高さから、国内はもちろん、海外の有名ブランドでも使用されることがあるそうです。

最盛期は播州の地域だけで、1ヵ月に4000万kmから5000万kmの織物が織られており、海外への輸出拡大が、播州織が栄えた一因でしたが、中国など他のアジアでの安価な生地が台頭すると、輸出は激減。
現在は月に80万kmほどの生産に落ち込んでいます。生産量の減少だけでなく、播州織にかかわる職人たちは、後継者問題なども抱えています。

そんな中で、播州織の伝統技術を守りたいという思いから「織馬鹿」さんが結成されました。

「織馬鹿」高瀬佳典さん、幸恵さんご夫妻

「織馬鹿」誕生の理由とその挑戦

播州織の歴史を未来へつなぐため、「織馬鹿」を結成した社長の高瀬佳典さん。まずは、特徴的な社名「織馬鹿」の名前の由来について教えてくれました。

「だんだんと生産が減っていって、このままじゃだめだと。そこで、新しい播州織の未来を開く志を持った仲間たちと集まって、「織馬鹿」を立ち上げました。一度聞いたら忘れない名前にしたかったんです。とにかく振り切って、馬鹿が付くぐらい本気で取り組むという思いを込めました。お客さまがどんなものだったらよろこんでくれるのかを真剣に考えようと思った。なにしろ「馬鹿」なので、百貨店さんから扱いづらいという声もあったんですけどね。」

今まで、注文を受けてその通りに生地を織るという「機屋(はたや)」として仕事をされていましたが、振り切ってやるという言葉のとおり新しい挑戦を始めました。

織りの知識を活かしたストールを作り、販売することにしたのです。高瀬さんにとって、製品をつくることは初めての試みでした。

初めてのストール作りに挑む

「ストールは作りやすいとはいえ、何度も実験しましたね。やわらかくて肌心地がよく、それでいてしっかりしたものを作りたかった。同じストールでも、季節や肌ざわりによっていろいろなものが作れるので、おもしろいんです。」

試行錯誤し、「織馬鹿」の特徴である、やわらかく肌心地がよく、崩れにくいジャカードのストールが完成しました。

これまでフェリシモでも、織馬鹿さんと一緒に作った人気商品があります。

取材に伺った日は、el:mentの〈ボレロにもなる ふんわり羽衣心地の播州織コットン混スヌードの会〉をまさに織っている最中。生産工程を見学させてもらいました。

織機で縦糸と横糸の色を組み合わせることによって、柄を表現していきます。

紫、青、グレー。縦糸と横糸、それぞれの色が交差し、美しい模様の生地が生み出されていく様子に驚きです。

ストールの大きさまで織り終わると、カットします。

織られた直後のストールは、このままでもきれいですが、まだごわっとして少し手ざわりが固いです。

織り上がったストールは、洗って干す工程を6回繰り返します。
5回目の洗いを終え、干しているストールがこちら。

洗うことでピンと張っていた糸がやわらかくなり、風合いが生まれました。柔らかく肌心地のよいストールを作るため、手間を惜しまずにこだわり抜いています。

新しいデザインと挑戦で未来を紡ぐ

織馬鹿さんは、ご夫婦それぞれの得意な分野で、新しい柄や織を開発しています。
織物を織るための設計図、版を起こす役割を担うのは、幸恵さんです。

「デザインを考えるのが楽しくて、誰かに頼まれなくても、どんどん作ってみます。思いついて作ってみると、その生地を買ってくれたお客さまが素敵な製品にしてくださることもあるんですよ。」

売り先が決まっていなくても、思いついたものはすぐに試して新しいデザインを作るそう。

今回のコラボ商品は、フェリシモの企画担当が選んだ星座の図をもとに、幸恵さんが版を起こした繊細なデザインが特徴です。

「首まわりに多くふれるストールの中心部分に、留めの加工をいれることで、太めの糸で2層や4層で織り上げた軽やかでふんわりした生地がバラバラにならずに一枚になります。この模様はわたしのアイデアでいれてみたのですが、層に織りあげた生地を留めるのに必要な加工が、デザインアクセントにもなり、素敵にできてよかったです。」

中心部分の模様

デザインに遊び心をもって表現を広げる幸恵さんと、技術にこだわり、実験を繰り返す佳典さん。二人の切磋琢磨で、製品をつくっているのです。

注文を受けて制作する今までの仕事にとどまらず、よりお客さまが喜んでくれる製品を作りたい。
その思いが、長い歴史を持つ播州織を、未来へとつなぎます。

GO! PEACE!なポイント✌🏻️

大量生産、大量消費が当たり前になった今、改めて手仕事の魅力を感じる一方で、伝統を残し続ける大変さも実感しました。
播州織のように、職人さんが心をこめて作られたものを長く大切に使う。
そんな私たちの暮らしが、少しでも伝統を守る助けになったらうれしいです。

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