「一般社団法人 未熟児家族支援・がんばりっこ」は、
低出生体重の子、障がいのある子や病気とたたかう子、亡くなってしまった子、
そしてその家族がつながりを持ち、支えあう活動をしています。
活動が始まった背景には、代表の林さんの胸が苦しくなる経験がありました。
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林英美子 さん
一般社団法人 未熟児家族支援・がんばりっこ 代表。
2004年に22週542g・超低出生体重児の息子を出産。自身の孤独感から同年12月に、「がんばりっこ仲間」 を設立。2022年一般社団法人に。低出生体重児や病児、障がいのある子どもやその家族、医療従事者とつながる活動を積極的に行っている。
542gで生まれた息子。
自身の孤独と恐怖の経験から「がんばりっこ」を結成
妊娠22週、出生体重542g。
2004年、当時26歳だった林さんは大きな不安のさなかで、
小さな命を生みました。
産む前にドクターに
「赤ちゃんは多分呼吸していない状態で生まれるけど、その蘇生はしません」と言われました。
私はそのとき26歳だったので、
「お母さん、次がんばりましょう。大丈夫よ、また産めばいいから」と言われたんです。
お腹の中で赤ちゃんは動いているのに。
言われている言葉に理解も納得もできなかった。
だから私は「この子がどういう状態になってもいいから蘇生をしてくれ」って、
絶対に譲らなかったんです。
一度だけ蘇生をしてもらえることになりましたが、
「蘇生してNICU(新生児集中治療室)に入っても、
22週で生まれて、この病院で生きて退院した子はいません」って言われて。
産んですぐ、死ぬ心の準備をしなければいけなかった。
でも、生きてほしいと思いつつも、
一生寝たきりかもしれない、植物人間かもしれない。
そんな状態の子どもを私は育てられるのだろうか?
ちょっとだけ、いなくなってくれた方が楽になるかも…という感情も芽生えてしまう。
それで自己嫌悪に陥る。
日々感情がすごく忙しいんですよ。
でも、それを誰に話したらいいのかわからなかった。
でも誰かに話さないと、自分で自分が怖かった。
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げっそりしていて真っ黒で。
「もう見ていられない、辛すぎる」と思って、
生後2週間ぐらいのときに「人工呼吸器を外してください」とドクターに言ったんです。
人工呼吸器で生かしている感覚だったから、もう楽にしてやってほしかった。
するとドクターに
「できません。人工呼吸器で呼吸の応援はしているけど、太陽くんは今、自分の意志で生きています。
だから誰にも、この人工呼吸器を止めることはできません」って言われたんです。
その瞬間、心にストンと落ちた。
私が生かしているんじゃないんだって。
太陽が生きたくて生きているんだって。
じゃあ、この子が生きたい間、私もいっしょに精一杯生きようって。
そう思ったら、私の中で光が見えました。
前向きになったら視野が広くなってきて、
同じようなNICUにいるお母さんたちに興味が湧いてきたんです。
みんなも、もしかしたら話したいと思っているかもって。
じゃあちょっと声をかけてみようかなって。
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同じ状況のママたちと実際に話してみたら、
こんなにも本音で話せるんだって思いました。
今会ったばかりなのに、こんなにも自分の感情をさらけ出していいんだって。
不安な気持ちも、希望も話せる人とも出会えるんだっていうのを体感したので、それをどんどん広げていきました。
そんなあるとき、1人のママから
「林さんと知り合いじゃないとつないでもらえないのはもったいない」って言われて。
じゃあ誰でもつながれる活動をやればいいじゃんって思ったのが「がんばりっこ」設立のきっかけです。
「がんばりっこ」ができたのは、単純に私が必要だったからなんです。
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気持ちを楽にして、子育てをたのしんでほしい
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自身の孤独感から設立した「がんばりっこ」は20年続く活動になり、登録者は2000組以上に。
ざっくばらんに話せる機会として、オンラインや対面での集いを開催しています。
当初は低出生体重児のお母さんたちの集いでしたが、今では、病気や障がいのある子、亡くなってしまった子の家族など、
あらゆる状況の人たちが集まり、胸の内を話し、相談しあえる場所になっています。
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病気や障がいがあると通常の発達ではないので、
健常児の発達、何ヶ月で離乳食始まるよとかに乗っかれないじゃないですか。
なので「がんばりっこの集い」は、
子育てに迷子になっちゃう親御さんが情報を欲しいと思って来てくれるのが多いかな。
成長していくたびに新しい扉を開いていかないといけないけど、何も情報や知識がないまま開くって、すごく怖い扉になる。
でも、同じような子どもがいる先輩ママに聞くと
「療育はみんな当たり前に行ってるよ」
「このぐらいの年齢になったら、こんな経験するよ」みたいな。
いいことも悪いことも、知っておいてその扉の前に立つのは全然違う。
気が楽になるし、何かあったら「がんばりっこ」に相談すればいいっていう引き出しを持っておけば、
自分の気持ちを楽にして、子育てを楽しめるんじゃないかなと思いますね。
新しい経験で視野を広げて
「がんばりっこ」の毎年の活動の1つに「高尾山登山」があります。
私が登ってみたかったんです。
でも1人だと、その日の朝少し天気が悪かったらまたにしようと思うし、
天気がよすぎてもまたにしようって思うんですよ(笑)。
だからみんなで行かない?って誘ったの。
みんなで行こうって言ってたら行かなきゃいけないでしょ。
病気や障がいのある子どもを連れて外に出ることをためらってしまう。
林さんの「みんなで山に登ろう!」という声掛けがきっかけで、
ある家族の大事な気づきにつながったこともあります。
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毎回参加してくれる家族の中に全盲の子がいます。
耳は聞こえていて、大きい音や周りの人のリアクションに恐怖を感じてしまう。
だから、その家族はすごく静かに生活をしていて、それがその子にとっていいことだと思っていたんです。
でも登山中のガタガタ道で、その子がキャッキャッ笑ったんですよ。
その顔を見た親御さんたちは「こういう刺激が好きなんだ」って気づいて。
それをきっかけに、いろんな場所にお出かけするようになったみたい。
また、あるときは頂上に登ったときに「 私たちも外に出ていいんですね」って言われたのがすごくうれしかった。
当たり前だって思うでしょ?
でもこれって災害時の避難意欲にもつながっているんですよ。
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熊本地震後の集いで、
「もし災害が来たら」というテーマで話していたときに、ある家族が
「もしあれだけの震災が起きて、避難が必要でも、私は息子と家に残る選択をする」って言ったんです。
なぜなら「避難所に行ったら迷惑がかかるし、人の目も嫌。だから、息子と家で死ぬ選択をします」って。
そんなの悲しすぎるじゃないですか。
みんなが 高尾山登山みたいな新しい経験をすることで、視野が広がって考え方や感覚が変わるきっかけを渡すことができたらうれしいなと思って続けています。
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必要としてくれる人が1人でもいる限りは、この活動を続けることが私のモットーです。
何かあったら「がんばりっこ」に相談してみようとか、新しい1歩にもなったり。
みんなのこんなことをやってもらえたらうれしいなっていうのを実現し続けられる団体でありたいです。
役立つギフトで全国の「がんばりっこ」を応援
フェリシモでは、そんな全国の「がんばりっこ」応援するギフトを始めました。
ひと口100円から参加できる共同購入プロジェクトです。
一定の金額が集まるごとに、
tupera tuperaさんが考案したチャーミングなキャラクターたちの医療ケア児応援アイテムを「がんばりっこ」の子どもとその家族に贈ります。
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応援ギフトの一つに車いす用のワッペンがあります。
オリジナルキャラクター・ハーミンが「子ども用車いすだよ」とかわいくお知らせしてくれます。
病気や障がいのある子どもが使う「子ども用車いす」は、
外見がよく似ていることから「ベビーカー」と間違って認識されてしまうことがよくあります。
そのため、外出先で周りから理解が得られず必要なサポートが受けられなかったり、
辛い思いをしてしまうことがあります。
このワッペンは、病気や障がいのある子どもとその家族が安心してお出かけできることを目指したアイテムです。
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こちらは、病院通いがちょっぴり楽しくなりそうなにぎやかなデザインのホスピタルポーチ。
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保険証から診察券、お薬手帳、障がい者手帳など、病院の受け付けで必要なものを一式収納できます。
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こちらは、ポケット付きのタオルハンカチ。
ポケットの中に保冷剤やお薬、リップ、サニタリー用品を入れるなど、
いろいろな使い方ができる便利なアイテムです。
楽しいキャラクターが病気や障がいのある子どもたちを笑顔に♪
みんなの力で全国のがんばりっこに役立つギフトを贈って応援しませんか?
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