伝統の味や技を守りつつ、和菓子を通じて四季折々の花鳥風月や美しい日本文化を伝え残したいと、さまざまな取り組みをされている虎屋本舗。この「はっさく大福」も広島県因島が発祥といわれているはっさくを和菓子に生かしたいと考えられたのがはじまり。現在は商品の安定供給のために和歌山県の農家さんのみずみずしいはっさくが使用されており、さわやかな味わいが長く広く愛されています。
はっさくはプチっと弾けるような食感と甘酸っぱさ、ほのかに感じるさわやかな苦味が持ち味。その特徴を生かして上品な甘さの白あんともちもち食感の求肥で包み込んだ大福は、絶妙なバランスを考え抜かれたゆえのおいしさ! 伝統の技で手亡豆のうまみを活かした白あんがはっさく特有の甘酸っぱさと苦みを引き立て、やさしくなめらかな舌ざわりの中からあふれ出すみずみずしい果汁とシャキシャキ感がたまりません。
はっさくを模したかわいらしい包み紙でひとつずつ包装された大福は、広島のお土産としても大人気。ぜいたくで涼やかな虎屋自慢の逸品です。
◇虎屋本舗のこと◇
虎屋の歴史は古く、江戸初期までさかのぼります。兵庫で廻船問屋(当時の海運業)と染物屋を営んでいた高田屋の初代が、元和六年(1620年)に徳川家康公の従兄弟にあたる初代福山藩主・水野勝成公の命を受けて伏見櫓を運んだごほうびとに福山吉津に土地を拝領。宿老を仰せつかって福山に永住することになってはじめたのが菓子匠、虎屋本舗(高田屋)です。福山城築城の折に献上したまんじゅうの味を藩主がいたく賞賛され、豊穣を祝う伝統火祭り「左義長」(とんど)の名(現在の銘菓“とんど饅頭”)を拝命。以来、400年以上にわたり福山藩御用菓子司として伝統的な和菓⼦職⼈の技を守り継ぎながら、瀬戸内の文化や素材を生かしたお菓子づくりに精進されています。