アフガニスタンの難民キャンプで一般診療に携わり、さらに山岳の医療過疎地で貧困層の診療をされて、2000年からは干ばつが厳しくなったアフガニスタンで飲料水・灌漑用井戸事業を始め、農村復興に取り組んできた中村医師が2019 年12 月4日、支援先のアフガニスタンで、銃で撃たれて亡くなりました。 この本は、中村さんに助けてもらったことを後世に語り継ぐために、アフガニスタンで出版された2冊の絵本、『カカ・ムラド ~ナカムラのおじさん』と『カカ・ムラドと魔法の小箱』に解説を加えてまとめたものです。『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』は、中村さんがアフガニスタンで行ってきたこと、事実をもとに描かれた創作です。『カカ・ムラドと魔法の小箱』は、作者のイメージする中村さんが登場するファンタジーです。 診療所を建てて病気を治したり、日照りが続いて乾いてしまった土地に水をひいて緑に変えたり――。中村哲さんの志を受け取ったアフガニスタンの人々の思い、またアフガニスタンに寄せられた日本からの思い、2つの思いがひとつの形になった1冊です。【中村哲 医師】1946年福岡県生まれ。医師、ペシャワール会現地代表、PMS(ピース・ジャパン・メディカル・サービス)総院長。国内の病院勤務を経て、84年パキスタン北西辺境州、現在のカイバル・パクトゥンクワ州の州都ペシャワールのミッション病院ハンセン病棟に赴任し治療を始める。そのかたわら難民キャンプでアフガン難民の一般診療に携わる。89年よりアフガニスタン国内へ活動を拡げ、山岳地帯医療過疎地でハンセン病や結核など貧困層に多い疾患の診療を開始。2000年から、干ばつが厳しくなったアフガニスタンで飲料水・灌漑用井戸事業を始め、03年から農村復興のため大がかりな水利事業に携わる。19年12月4日、アフガニスタンにて凶弾に倒れる。享年73