こんにちは、リスノスです。今回は、メイドイン米沢のテキスタイルブランド〈nitorito / ニトリト〉さんを深掘り。このブランドを2020年に立ち上げたディレクター・鈴木 健太郎さんと、ニットデザイナー・斎藤 美綺さんに、山形県米沢市にまつわるお話を伺いながら、米沢織のストールから生まれるニット地はぎれの魅力にもふれていきます。
山形県の最南端に位置する米沢市。江戸時代から続く米沢織とは?
福島・新潟・山形の3県にまたがる吾妻(あづま)連峰の裾野に広がる米沢盆地にあり、自然の恵み豊かな美しい都市として知られる米沢市。米沢織はこのエリアを中心に生産される紬(つむぎ)織物の総称で、もともとは米沢藩第九代藩主「上杉 鷹山」の産業振興として、青苧(あおそ)という植物を原料とする麻織物からはじまった、山形県を代表する地場産業のひとつです。
140年の歴史を誇る、「青文テキスタイル株式会社」からの独立。
ニトリトは、山形県米沢市にある明治10年創業の老舗テキスタイルメーカー「青文(あおぶん)テキスタイル株式会社」が立ち上げた新進ブランド。2020年にテキスタイルブランドとして独立し、企画からテキスタイルデザイン、生産まで、[ALL MADE IN YONEZAWA]を合言葉に、一貫したものくりで、ストールを中心にさまざまな製品を展開しています。
伝統に新風を吹き込む、ニトリト誕生までのストーリー。
鈴木さん「僕が勤めていた『青文テキスタイル株式会社』のデザイナーとして入社してきたのが、斎藤です。海を見て育った神奈川県生まれの彼女が描く『米沢の風景』が、この土地で生まれ育った自分にとって、ものすごく新鮮でした。米沢織の長い歴史、『青文テキスタイル株式会社』の高い技術、その素晴らしさを、彼女の視点で表現することで、もっと広く、若い世代にも伝えられるような気がしたのが、ブランド立ち上げのきっかけです」
斎藤さん「米沢は、とにかく山がすごいんですよ! 360度どこを見ても山。もともと自然や動物が大好きなので、与えられた仕事とは別に、この風景を自分のデザインに生かしたいと思って、写真を撮ったり、スケッチをしたりしていました。ニトリトとして最初に作った柄『mountain&moon』は、まさにそんな米沢の美しさを盛り込んだ作品。今でも定番として大切にしているロングセラーです」
米沢らしさを大事にしながら、そこに限定されすぎない自由な柄。
斎藤さん「ニトリトのテキスタイルはすべて、山形や米沢の『自然・文化・伝統・名産品』などからモチーフのヒントを得ているのですが、そのまんま柄にするというより、純粋にきれいだなとか、おいしそうだな、といった、自分の感覚を大切にしています。ほかのものにも置き換えられる余白があるほうが、ファッションとしても楽しいですし、いろんな人に手にとってもらいやすい。お客さまと対面したときに、『実はですね〜』って、あらためて柄の説明ができるので、会話も自然に盛り上がるんですよね」
鈴木さん「描いているのは米沢の景色だけど、山も田んぼも、日本の原風景ですよね。それを懐かしく感じる人もいれば、新しく感じる人もいる。誰でも身に着けやすく、インテリアファブリックとしても使いやすいストールに仕立てているのも、米沢織を暮らしの中で身近に楽しんで欲しいから。ニトリトをはじめてから、お客さまの年齢層は10代から80代まで、ぐんと広がりました。 いろんな世代の方々が僕らのストールを手にとって、一同に『かわいい!』と言ってくださるのは本当にうれしいですね」
郷土愛をまとう。いつか旅してみたいきっかけにもなる、一枚。
斎藤さん「ブランドとしては新しいニトリトですが、ストールを織るために使っている機械は『青文テキスタイル株式会社』と同じ古いもの。柄のパターンや使える色数もある程度決まっているので、そういった制限のあるなかで新しいものを生み出し続けるためには工夫が必要だけど、そこがおもしろいところでもあります。都内のイベントに出展したりすると、わざわざ調べて来てくださる米沢出身のお客さまもいらして、『故郷の柄を身に着けられるのはうれしい』と声をかけていただくことも増えました。そんなふうに、米沢の文化や伝統が継承されていくのは、私たちの喜びでもあります」
鈴木さん「風景のほかにも『お鷹ぽっぽ』という、上杉 鷹山公の時代から受け継がれてきた一刀彫りの民芸品をモチーフにトリを描いたり、最近では山形の県花である『べに花』からイメージした新柄を制作しました。米沢にゆかりのある方々はもちろん、山形のことをまだあまり知らない県外の方や海外の方たちにも、ニトリトを通して『おもしろそう』『行ってみたい!』と感じていただけるようなクリエーションを、これから先も続けていきたいです』
文化や伝統を大切にしながら、カラフルでポップに表現されたnitorito / ニトリトさんのニットストール。10代の学生さんから80代のおばあちゃままで、そこに70歳の歳の差があっても「かわいい!」が共通認識となる、素敵なブランド。リスノスとニトリトさんのコラボ「布あそびを楽しむ 米沢のストールから生まれたはぎれセット」以外にも、フェリシモ日本職人プロジェクトでは、米沢の風景を表現した2種類のストールを別注カラーでリリースしています。
そこでの物語や商品についての詳細は、ぜひこちらの記事をお読みください。
さて次回は、ニトリトさんの生地の特性などのもふれながら、「捨てられない」から生まれた、はぎれの活用方法などを紹介していきます。どうぞお楽しみに!
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