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萱澤(かやざわ)さんご夫婦が立ち上げた「saredo-されど-」は、「落ちわた」を紡いだリサイクルコットン糸を軸に、持続可能で豊かな生活を提案するブランド。お二人が実践する、「糸」と「人」をつなげる暮らしとは?
捨てられていた「落ちわた」を、再び紡いでリサイクルコットン糸に。
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奈良県大和高田市の「萱澤商店」は、萱澤有淳(ありあつ)さんの祖父が昭和23年に創業した糸の卸会社。糸に熱意を注いできた祖父と父の背中を見て育った有淳さんが着目したのが、紡績工場で糸を紡ぐ際に発生する「落ちわた」です。捨てられていた落ちわたに、再び命を吹き込めたなら……。そんな思いから夫婦でsaredoを立ち上げ、落ちわたを紡いだリサイクルコットン糸を開発しています。
職人の手を経て作られる、落ちわたならではのあたたかみが魅力。
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約200kgもの落ちわたの塊を、ほぐし、叩いて、櫛をかけ……。落ちわたは毛足が短くて細く、切れやすいので、落ちわた高混率で糸を作るのは至難の業。ですがたくさんの職人さんたちの手を経て完成したリサイクルコットン糸は、ふわっと軽くて赤ちゃんの産毛のような肌ざわり。いつまでも触れていたくなる独特な味わいは、他の何にも代えがたい魅力に満ちています。
作ったものを使って暮らす、シンプルだけど豊かな暮らし。
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落ちわたを使った靴下や帽子、衣類などの商品は、有淳さんと妻・良子さんも暮らしの中で愛用しています。「私たちはふだんから、仕事と暮らしの境界線があまりない生き方をしていると思います。落ちわたを暮らしの中に取り入れる。自分たちが作ったものを身につけて、循環させて、人へも届けていく。シンプルですが、そこにかけがえのない豊かさがあると思います」(有淳さん)
saredoの活動がもたらしてくれた、新しいご縁とモノの見方。
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2014年にスタートしたsaredo。地域ごとのものづくり市や催事などで全国をまわり、じわじわとファンを増やしていきました。「大阪の『道明寺天満宮手づくりの市』などのイベントは、毎回出会いと発見がある大切な機会。自分たちと同じ志を持っている他業種の方と繋がれたり、その土地土地でいい仕事をしている方と出会えたり。saredoを始めたからこそ見える新しい景色に刺激を受けています」(有淳さん)
「糸」の魅力を再発見できる、自由で楽しい編みものの時間。
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常にそばに「糸」を感じながら暮らすお二人。良子さんは、定期的に知人主催の編み物会に参加しては、趣味の編みものを楽しんでいます。「ときには無心で、ときにはみんなでおしゃべりしながらワイワイと編むのはとても楽しい時間です。実際にsaredoの糸を使ってみることで糸の魅力も実感できるし、お客さまへのアドバイスを思いついたりすることも」(良子さん)
自分の手で作ったモノが、自分のいちばんの味方になってくれる。
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「SNSなどを通して落ちわたのリサイクルコットン糸を使ったいろんな方の作品を拝見すると、みなさんとても素敵に編んでくださっていて感動します。私自身、作った人の顔が見えるモノを身につけていると、そのモノが自分を守ってくれるような、心強い気持ちになることがあります。自分で作ったものを自分で身につけたら、自分で自分を応援できるかもしれませんね」(良子さん)
モノづくりから生まれる豊かな時間をたくさんの方に届けたい。
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「ていねいなものづくりに関わって生きていきたいとずっと思っていたので、saredoの軸となる落ちわたに出会えたことは、自分にとってとても幸福なことだと思います。何かを作る時間は、ちょっとていねいにコーヒーをいれたり、好きなレコードをかけたりするときのような、心からホッとできる、豊かな時間。私たちも、落ちわたを通してお客さまにそんな時間がお届けできたらなによりです」(有淳さん)
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