はじめは、旅行で訪れたガンジス川のほとりで飲んだチャイに恋したことがきっかけで、それからなぜかインドに住むことになり、暇を持て余した私は毎日チャイを淹れていた。
私は来る日も来る日もチャイを仕込んだ。
チャイを淹れるのはおもしろい。 スパイスは何を使うか、何分煮出すか、どんな茶葉を使うか、牛乳をいれるタイミングをどうするか。
自分の求めるチャイの味を研究しているうちに、チャイのブランドを立ち上げて、ついに念願だった牛乳で割るだけで飲めるデカフェチャイシロップを販売することになった。 チャイのブレンドを始めてから7年目のことだった。
チャイ作りと編み物は似ている。 どんな糸を使うか、どんなふうに編むか、時間がかかるところなんかも。
チャイのブランドを立ち上げたその冬、編み始めてすぐのところで3年寝かせていたセーターのことを思い出してもう一度編みはじめた。 はじめて編むセーターは分からないことだらけ。 でもひとつひとつ解決すれば必ず前に進んでいく。 ひと目も編まなければできあがることはないけれど、たったひと目でも編み続ければいつかは必ず完成する。
できあがったセーターは完璧とは言えないけれど、とっても大切な一着になった。 手づくりすると手を通して愛が宿るんだと思う。それを誰かに贈るときには、少しでもその人の世界を美しく、やさしくしてくれたらと願う。
今年の冬はチャイを飲みつつ、夫のセーターを編んでみよう。
次回は、フォトグラファー大段まちこさんのお話です。お楽しみに!
スパイス調合師 阿部 真澄
オリジナルチャイのブランド「CRAFT CHAI Tuesday」のプロデュースをはじめ、デザイナーやイラストレーターとしても活動中。プライベートでは4歳と2歳の姉妹の母。 craftchai-tuesday.stores.jp
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