Vogue Knitting Live! / ニューヨーク散歩

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NYの編み物イベントで誰もが口をそろえてオススメするのが「Vogue Knitting Live!」。編み物の雑誌『Vogue Knitting』誌が主催するこのイベントでは、たくさんの編み物関連クラスや、新進気鋭のデザイナーによる新作ファッションショーが行われるほか、50を越えるヤーンメーカーのブースが立ち並び、毎年全米各地から何千人もの編み物愛好家が集まります。コロナ禍を経て3年ぶりにリアル開催されたこのイベントを今回はご紹介したいと思います。

Vogue Knitting Live! には、僕自身も招待を受けて過去数回、あみぐるみのブースを出店したことがあるのですが、さまざまなクラフト関連イベントの中でもここまで参加者同士がつながれるものもなかなかないんじゃないかなという印象。今回、会場で十数名ほどの参加者の方々とお話をしたのですが、多くの方がこのイベントへの参加理由として「ふだん離れた地域に住んでいる編み物仲間と出会える」という点をいちばんに挙げているのです。また、多くの手づくり系のイベントが未だに再開の目処が立たない中、Vogue Knitting Live! が貴重な交流の機会になっているのかもしれません。日本ではあまりないことかもしれませんが、会場の床に座ってひとりで編んでいる人同士が声を掛け合い、お互いの作品を見せ合って友だちになっていくということがここではあって、ほんとNYらしいなあと感じます。

 

主催者に選ばれたプロの作家を眺めるだけでなく、その場で本人と直接会話をすることができるのは貴重な機会。

また、参加理由としてそのほかに多かったのが、新しいテクニックやジャンルと出会う機会がここには豊富だからというもの。100種類を越えるクラスには、かぎ針編みの基礎を初心者に教えるものから、ペット用の服作りが数時間で学べるようなユニークなものまでジャンルもさまざま。

 

新進気鋭の作家の作品を披露するファッションショーは目玉イベント。

ステージで行われるファッションショーでは、隣の席になったテキサス州からの女性が、「コロナ禍で多くの編み物のクラスが減ってしまって日々刺激がなくなってしまって。今日は楽しむ以上に勉強しに来たようなもの!」と食い入るようにランウェイを歩くモデルに見入り、メモを取っていたのが印象的でした。

 

チベットヤーンを販売するMyakは人気ブースのひとつ。
チベットヤーン
Myakのカラフルなチベットヤーン。

せっかくなので僕も会場で知り合った方々に「最近、NYの編み物業界でのはやりは?」と勉強ついでに聞いてみたところ、「ブランケットヤーンのようなやわらかくてボリューム感があるものが最近キテるね!」という答えが結構ありました。

確かに知り合いの編み物作家・Melissa Mooreさんが、シェニール糸で作ったぬいぐるみや、フェイクファーのバケットハットなどのふわっとした作品を先日見せてくれていたのです。

 

やわらかくてボリューム感のある Melissa Mooreさんの作品。

また、日本で最近人気というグラニースクエアも、NYだけでなくアメリカ中で、定番中の定番として人気が続きそうと答える方が多かったですね!

新宿にインスパイアされて誕生した、かぎ編みパターン「Shinjuku Scarf」

ヤーンメーカーや小売店のブースはチベットのカシミヤを扱うMyakや、NYで不動の人気を誇るBrooklyn General Storeのブースなど人気店中心に大混雑となっていましたが、Vogue Knitting Live!のイベントディレクターであるガブリエル・ステインさんのイチオシは、ケニア人女性起業家が運営しているサイザル麻のバッグや小物を販売しているBoostaniとのこと。

サイザル麻をグレーとベージュの2色に染めて作られたもの。ロープにも使われるサイザル麻は雨に強いところも人気の理由。

右側がBoostaniのオーナーのLoisさん、左側がお嬢さんでマーケティング担当のJoyさん。

サイザル麻はまだまだNYでは認知度は低いのですが、今後数年で一気に人気が出るかもしれないということで、注目の素材と言えそうです。

 

人気のメーカーの商品はすぐに売り切れるので、初日に参加するのがオススメ。

また、ガブリエルさんは、Vogue Knitting Live!は、編み物愛好家達の出会いの場であると同時に、新たな才能を発掘&紹介する場でもあるので、特にファッションショーは今後一層注力していきたいと、早くも2024年のショーに向けての意気込みを語ってくださいました。特に彼女は日本のデザイナーに多くの期待を寄せていて、クラスの講師やファッションショーに何人もの日本人にオファーしたことがあるとのこと。しかし「英語が苦手なので残念ながら辞退します」という返信をもらってしまうんだよねえと残念そうな表情を浮かべていました。しっかりと運営側がサポートをするから、英語力はまったく気にせず、ふるって応募をしてもらいたいということなので、読者のみなさまも、Vogue Knitting Live!を通して世界に挑戦してみてはいかがでしょうか?

 

池澤 崇

「好きなこと以外はやらない」というポリシーのもと、自由の国アメリカ・NYで日本文化スペースRESOBOXを運営中。趣味は登山と居合道とバイオリン。NYに住む日本男児3人でポッドキャスト「オールナイトニューヨーク」も配信中。ぜひ聴いてみてください。

https://www.resobox.com/

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