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フランスでは、去年からロックダウンの明けた国内でヴァカンスに行くフランス人が増えました。今まで注目を浴びていなかった地方も人気になり、キャンプをしながら転々とフランス国内を旅するなど、こんな状況でもヴァカンスにかける情熱はなくなりません。今年はワクチン証明書持参のまた新たな夏休みになりました。日本のみなさまに届くころにはちょっぴり季節はずれになるかもしれませんが、今回は特別編として、わが家のヴァカンスをレポートしたいと思います。
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フランス人はヴァカンスだけを楽しみに生活していると言っても過言ではありません。子どもは1ヵ月半に一度2週間のヴァカンスがあり、夏にはまるまる2ヵ月の夏休みがあるのです。毎年、年が明けると真っ先にするのが2~3週間の夏のヴァカンスの予約。わが家では、「この時期は仕事を入れないように!」と業務連絡のように、仕事のキープより早いヴァカンスキープの日程が、フランス人の夫からメールで送られてきます。ヴァカンスへの情熱がなんともすごいのです。
私たちのヴァカンスはというと、犬も子どももいるので、必然的にキッチン付きでペットOKの宿になります。今はAirbnbなどが世界的に知られ、「住むように旅する」が定番になってきましたよね。もちろん星付きのリュクスなホテルの旅行は魅力的だけれど、私はキッチン付きの家で「暮らすように旅する」のが昔から大好きです。
私たちの夏のヴァカンスは、フランスのランド地方にあり、大西洋に面する小さな海辺の町「MIMIZAN」へ。ここにレジデンスを借りて3週間滞在するのが定番で、8年ほど続いています。
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ここに着くとまず向かうのが市場。お店の人の顔を見て、どの人のお店がおいしいかをパトロール。地元の人が並んでいるお店に間違いはない! などとアンテナを澄ませて並びます。キラキラした太陽をたっぷり浴びた野菜や果物たちには、パリでは味わえないおいしさがあります。
また、かごや陶器、ナイフに帽子、生地……など、その地方色が出る、手仕事の伝統工芸品を扱うお店も大好きです。世界にはファストファッションがあふれていますが、私は人の手仕事が感じられる素朴な美しいものを愛しています。
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「3週間同じところに滞在して毎日何してるの?」と日本の友人たちには不思議そうに聞かれますが、パリでの生活のデトックスをすべく、お天気が悪くても毎日海辺を歩き、森を散策して海に入り、地元のおいしいものを食べる、本当にシンプルです。
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海に行くときには必ず犬のフン用の袋1枚分、ゴミ拾いをするようにしています。海で遊ばせていただくことへの私なりのお礼です。なぜ袋1枚かというとそれ以上、もしくはゴミ袋を持っていくとなると、ゴミ拾いが中心の散歩になってしまうからです。拾うのは私だけなのに「偽善者っぽくてちょっと……」と最初は夫に嫌がられましたが、自分が散歩するエリアを無理のない程度に拾う私を見ているうちに、彼も瓶などの大きいものをひとつ拾うようになりました。SNSなどで環境問題などを嘆く人もいますが、私は小さくても実際にアクションを起こすことが大切だと思っています。誰かが拾っているのをほかの人が真似して連鎖していく。そんなマンパワーを信じて私は毎年できる範囲でゴミ拾いをしています。
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そんな生活にちょっと退屈してくると、バスク地方の都市に観光に行きます。今年はハムとチョコレートの街、バイヨンヌ。バスク地方独特の建築がカラフルでかわいらしい街でした。
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去年はコロナが心配でヴァカンスをキャンセルし、今年もどうするかを最後まで迷ったわが家。でも自然にふれて、地方のやさしい人々とふれ合い、美しいものを見て、おいしいものを食べる。そんなヴァカンス
から、とてもシンプルですが私たちが大切にしていたものに改めて気づく旅になりました。
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『la vie est belle』人生はとても美しいのです!
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TAKANAKA MASAE
雑誌や広告でファッションコーディネーター&スタイリストとして活動中。パリに住んではや20年、毎日自転車でパリの街をパトロールしています。
Instagram 移動花瓶屋さん @cabin.e.paris パリの日常 @massaetakanaka
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