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以前ここで紹介したことがあるパリの老舗メルスリー・ウルトラモッド。ここで働く刺しゅう作家のかおりさんとアイルランド人のレベッカさんが、日本人に向けて「Textile Tours of Paris」というパリの手芸店をめぐるツアーをスタートするというので、記念すべき第一回目に参加してきました。 夢のようなツアーのレポートをお届けしたいと思います!
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刺しゅう作家のかおりさんからある日、「友人のテキスタイルアーティストで研究者で教師でもあるレベッカが企画する手芸ツアーが、人気なんですね。それを今度私が通訳をして、日本人向けにツアーをスタートさせようと思っているので、よければ参加しませんか?」というお誘いを受けました。
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レベッカさんはダブリンの国立芸術デザイン大学でアートとデザイン教育を学び、メキシコの手刺しゅうの研究で、トーマス・ダマン・ジュニア・メモリアル・トラストという名誉ある賞を2015年に受賞。その後パリの刺しゅうの名門校エコール・ルサージュを修了し、イヴ・サンローラン、シャネルなどビッグメゾンの刺しゅう職人として経験を積んで、オートクチュール刺しゅうの研究をしたというすごい人。 そんなレベッカさんの手芸ツアーなのですから、刺しゅうや手芸好きな人にはとてもスペシャルなツアー。パリに住んで長いですが、専門的な人にガイドをしてもらうのは初めてなので、わくわくしながら当日を迎えました。
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スタートはかおりさんの勤務先でもあるウルトラモッドへ。パリでは言わずと知れた老舗の手芸屋さんです。デッドストックのリボンやボタンにあふれた店内を歩いていると、宝探し気分。お買い物をするコツ「とにかく店員さんを待つこと」「勝手に自分でボタンなどにさわらない」などを伝授され、お店ではお客さまのお話をていねいに聞いて、薬を処方するような気持ちで働いているというかおりさんの言葉を思い出しました。ここでは、専門的な職業をしている人にしか見せないという帽子のパーツなど貴重な素材を見せてもらい、特別な時間を過ごしました。
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次はアニー・ブーケというタペストリー専門店へ。ここではすべてオリジナルで染めた糸が人気で、小さなタペストリーのキットはプレゼントやお土産に人気です。
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アニーさんはいろいろと相談にのってくれ、「買ったらそのままにしないで途中経過などを見せにきてくださいね。完成品を見せてくれるのも楽しみにしていますよ!」とのこと。私も気に入った柄のクッションをヴァカンス前に購入しようとウィッシュリストに入れました。
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アニー・ブーケを後にすると、美しいギャラリー・ヴィヴィエンヌというパサージュを通ります。パサージュはファッションモールのような役割があり、かつては入り口で馬車から降り、雨が降ってもお買い物を楽しんだのだそう。ここではスリッパで買い物していた!という逸話まであるから興味深い。
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そこから少し歩いて、今度はフランス人もあこがれのラ・ドログリーという手芸屋さんに。
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ドログリーは日本にもあって人気です。ここでは毛糸の量り売りや、アクセサリーを作るパーツも豊富でした。
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この後さらに訪れたのは、世界に誇る日本のリボンMOKUBA。MOKUBAは、サント・エティエンヌというリボンの街から見本を持ち帰り、1950年にスタートしたブランド。
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ここでは、奥の部屋でシャンティー地方のレースを見たり、16世紀にスタートしたアラソンレースの歴史を聞いたり、知らないことだらけで目からうろこの連続。
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こちらはエルメスやディオールなどオートクチュールブランドの御用達で、200年の歴史のあるお店です。箱に色ごとに入れられたさまざまな糸を眺めるだけでもうっとりし、創作意欲が刺激されました。
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このツアーを通してたくさんの美しいものにふれ、歴史を聞いてその時代背景を思ったり想像したり、めくるめく貴重な時間を過ごせました。みなさまも機会があればぜひご参加ください。
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ツアーについての情報はこちら!
Rebecca Devaney
HP:www.textiletoursofparis.com
Instagram:@textile_tours_of_paris
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TAKANAKA MASAE
雑誌や広告でファッションコーディネーター&スタイリストとして活動中。
パリに住んではや20年、毎日自転車でパリの街をパトロールしています。
Instagram 移動花瓶屋さん @cabin.e.paris
パリの日常 @massaetakanaka
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