小さな小さな世界をめでるしあわせのミニチュアクラフト〜後編〜

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関口 真優さんのミニチュアクラフトの世界を、前編に引き続きお届けします。

 

 

正解がないのが粘土の魅力

ふだんは生活でも常にアンテナをはっている関口さん。デパ地下や話題のお店には足を運び、流行の食べものやスイーツは必ず食べてみるなど、日々の研究は欠かしません。

チョコレートの色を調整中。「乾燥すると微妙に発色が変わるので、何度も試します」

「時代はどんどんリアルな表現を求めるようになっています。果物も品種ごとに色も質感も異なりますから、本物にふれることがとても大切。いちごがどう赤くなっていくか、葉っぱがどうついているかということも、本物を見たり、図鑑で確認したり。勉強のためにお菓子作りの教室に通ったこともありました。質感や焼き色のつき方なども参考になりますし、ロールケーキなどは作る順番や構造を知ることで完成度に影響が出るんです。粘土のために通っていた生徒は私くらいかな……と思いますが(笑)」

 

細かいところまでリアルな和食プレート。おいしそう!

さらにもうひとつのこだわりは、作るときは必ず写真を参考にするということ。

 

果物図鑑で品種ごとの違いをチェック。

「本物にふれることも大切ですが、本物は温度や時間経過によって色やフォルムが変化してしまう。その点、プロが撮った写真というのは、ほとんどの場合その被写体がいちばん美しい状態で撮られているので、作るときにとても参考になるんです」

 

作品は小さなクリアケースに入れ、さらにそれをボックスにまとめて収納。透明なので内容が一目瞭然。

クチュリエでも、さまざまなキットのデザイン・監修をしてくださっている関口さん。樹脂粘土のミニチュアを上手に作るためには、何に気をつけたらよいでしょうか?

 

 

「球は丸く作る、ていねいにカットするなど、基本をしっかりと。それだけで格段に差が出ます。それから、『あっ』と心の中で声を上げるような、小さな不具合があったら、必ず引き返してやり直すこと。強引に進めると、後で必ずさっきの『あっ』がじわじわときいてきますから(笑)。あとは慣れの問題もあるから、2回、3回と繰り返し挑戦すれば、必ず上達すると思いますよ。……と言いつつも、むずかしく考えすぎても楽しくないですよね。実は、私も全然器用な人間ではないんです。でも、器用じゃない私だからこそ、器用じゃない方も作れるものを提案できているのだと思います。粘土はほかの手芸と違って、決定的なミスというものがありません。たとえばクリームソーダなら、必ずその人なりのクリームソーダができあがります。正解があるようでないのがクレイアートの魅力。ぜひ、自分らしい手づくりを楽しんでくださいね」

 

関口さんが育てている、お手製の苔のテラリウム。

関口 真優さん監修の新しいキットが登場!

チョコ界のスーパースター、パリの老舗ショコラティエ「ROY(ロワ)」のチョコレートをなんと粘土で再現!関口さん監修のキットだからこそ、チョコレートの繊細な表情を本物そっくりに作れます。ミニチュア好きさんにもチョコ好きさんにもおすすめ。

 

『クチュリエ 2023-’24年 秋冬号』 22ページをチェック!

 

 

 

クレイアート作家 関口 真優さん
「関口 真優クレイアートスタジオ」代表。ミニチュアスイーツやフード、パン等の制作に携わり、樹脂粘土の楽しさをグローバルに発信している。『関口真優のミニチュアスイーツショップ』(河出書房新社)ほか、著書多数。

Instagram:@_mayusekiguchi_

 

 

 

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