今回は、日本でも大人気のアーティスト、ナタリー・レテさんのアトリエを訪問してきました。 世界的なビッグメゾンからファストファッションブランドまで、世界中で幅広くコラボレーションを行い、たくさんの人にハッピーな気持ちを届ける彼女の作品は、私も大ファン。素敵な作品が数々生み出されるアトリエの様子をリポートします。
ナタリーを知ったのは、まだ私が日本にいるとき。その当時、代官山に「ソースタップ」という伝説的なセレクトショップがあって、世界中からセレクトされたかわいいものが並んでいました。そこでひとつの段ボールアートをひとめ見た途端、私はその作品の虜に。それがナタリー・レテの前身「マティアス&ナタリー」としてふたり組みで活動していた時のものだったのです。かわいいだけではない、どこか毒々しさのある魅力が私を夢中にさせました。時はたち、私がパリに住むようになってから、日本の子ども向け雑誌で、なんとナタリーに連載をお願いすることになったのです。毎月通うようになったそのアトリエには、彼女の作品や蚤の市で集めたものたちがひしめき合い、それはまるで宝箱。その世界観、その宇宙にアトリエを訪れるたびにドキドキしたことを今でもよく覚えています。
それからもう10年以上の知り合いになるのですが、もちろんこのアトリエの魅力は色あせることなく今もヴィヴィッド。その独特の世界観の秘密をたずねてみると、「ヴィンテージのおもちゃ、ヴィンテージの彫刻、あらゆる国の民芸品やおとぎ話、子どもの世界やさまざまなテキスタイルもインスピレーションになっているの」とナタリー。「制作をするときはいつも、自分に物語を語って、物語に没頭して現実の世界を忘れるのよ」という言葉を聞くと、ひと目見た瞬間空想の世界に誘うような彼女の作品の魅力に合点がいきます。
赤ずきんちゃんの赤や、謎めいた宵闇を彷彿とさせる黒が自分の作品のシンボリックな色であるとする一方で、自然をイメージさせるグリーンやピンクが好きというナタリーは最近、フォンテーヌブローの森の近くの田舎に家を買い、今は週4日はパリ、残りの3日は田舎の家で過ごしているそう。「パリにいるときはたくさん作品を作って、田舎では庭仕事をしたり、森をたくさん歩いたりしてエネルギーをチャージ。家族との時間も大切にしています。今年の秋には田舎の家にアトリエが完成するので、そのときはまた、仕事のバランスを組みなおそうと思っています」とのこと。
長女のアンジェルを妊娠した27年前からナタリー・レテという個人名で活動してきた彼女。私が出会ったころは子どもはまだ小学校低学年だったのですが、「子どもと一緒にいる時間と仕事をする時間をプランニングすることが大事」とナタリーは日本人以上にスケジュールをきちんと決め、締め切りもきっちり守る人で、「働くお母さんで、アーティストでもあるって、なんてパワフルなんだ!」と私は感心と尊敬の気持ちを抱いたものです。
子どもたちが大きくなって独立し、最近はすべての時間を自分に使えるようになったそうですが、同時に世界中で50ものプロジェクトが進行することもあるというから、やはり今も変わらずとってもパワフル! 世界的に有名なチョコレートブランドや日本のコンビニエンスストアのパッケージなどのコラボレーションも手がけているそうなので、読者のみなさんも手にとる機会があると思うとうれしいです。
田舎での日々や新しく完成する田舎のアトリエから、どんな作品が生まれていくのか、これからも目が離せません。
Nathalie Lete
1964年パリ生まれ。陶芸や絵画、テキスタイルなどさまざまなスタイルで表現をするアーティスト。カラフルでハッピー、幻想的でどこかシニカルな作品は日本でも大人気。
https://www.nathalie-lete.com/ Instagram @nathalie_lete
TAKANAKA MASAE
雑誌や広告でファッションコーディネーター&スタイリストとして活動中。
パリに住んではや20年、毎日自転車でパリの街をパトロールしています。
Instagram 移動花瓶屋さん @cabin.e.paris パリの日常 @massaetakanaka
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