暮らしがつむぐ、いとしいミトン / 編み物作家 塩田素直さん③

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前回のインタビューその2に続く、素敵なミトンを生み出す、編み物作家の塩田素直さんへのインタビュー最終回。素直さんの創作のインスピレーションは、その暮らしぶりからもたらされるもののようです。

朝・昼・夕、日に三度の畑仕事が日課。

山での発見から生まれるこれからのミトン

収穫した玉ねぎカーテンが軒先を彩る。

素直さんが日本に帰国してもうすぐ2年になります。
「ベルギーでの暮らしで環境問題や食に関する意識が高まったこともあって、日本に帰ってきてから家の近くに畑を借りて野菜づくりを始めました。今は一日の大半を家で過ごしているのですが、基本的に作ることは何でも好きなので、畑の手入れ、ご飯づくりも日々の楽しみです」
 

食卓には、畑で収穫した野菜たちを使ったおいしいあれこれが並ぶ。

自分の感覚で生きること、その感覚を磨いて蓄えておくことが『好き』をうみだす創作につながるので、身を置くのは自然のそばがいいという素直さんですが、この田舎での暮らしにはほかにもさまざまな魅力があるのだそう。「山に住んでからの方が学ぶことがたくさんあります。生きる力があっておもしろい人が多くて、どっしりしていて豊かなんです。自然療法やオステオパシー、養蜂や自然農法などここに住んではじめて知ったことがたくさんあります。
 

お庭で摘んだ両手いっぱいのブルーベリーが子どもたちの3時のおやつに。

種のまきどき、苗の植えどきも本に書いてはいるけれど、その土地やその年によって違ってくるはずなので、『あそこの柿の木の新芽が出だしたら、夏野菜の植えどきだよ』とご近所の80代の畑の師匠が的確なアドバイスをくれたときには、この土地に住む先輩が経験上の発見をシェアしてくれたことに、うれしくなってしまいました」。
 

色とりどりの作品たち。

そんな山での日々から生まれる、素直さんの次なるミトンが気になるところ。「いちばん描きたいのは『My April garden』。四月の庭はリネン、ドウダンツツジ、スミレの花が咲き誇ってとてもかわいいんです。あとは鳥のミトン。ジョウビタキっていう鳥が庭によく遊びに来てくれるので、『ジョーくん』と名付けて家族でめでているんですよ。動きがとってもかわいいし、鳥の自由な雰囲気が大好きです。また、昨年は自然栽培の田植え、稲刈り、はざかけなどのお手伝いをさせていただいたのですが、そのときに見た稲穂があまりにも美しくて。来春にはそんな日本での暮らしに広がるさまざまな景色をミトンに描いてみたいなと思っています」。

塩田 素直さん


兵庫県出身。結婚を機に愛知県に移住し、編み物制作を始める。2014年に初の個展を開催。2016年末から3年間のベルギー生活を経て、2020年1月末帰国。現在は、のどかな里山で田舎暮らしを楽しみながら編み物をする日々。


https://sunaoknitting.com/
instagram – @shiotasunao

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