中東のチョコここにあり〈リーチョコレート〉
ドバイのチョコをいろいろ調べていたとき、シリアのチョコで、中東各地で人気のある〈リーチョコレート〉にたどり着きました。
見た目はザ・中東チョコです。
どういうことかと言うと、ひとつひとつアルミに包まれて中身が見えないようになっているのです。
以前、アメリカのポートランドを訪れたときに中東レバノンのチョコに出会いました。
「甘いんじゃないか」という当初の予想を大きくくつがえし、ほんとうに日本人好みのソフトな甘さで、味わいもほんとうに優しいミルクチョコが多くて驚いたのです。
しかし、あまり人気がなく続かなかったのです。アルミに包まれた控えめなビジュアルと、中東にチョコのイメージがないことで、人気が出ませんでした。
しかし、私は中東チョコの実力を知っています。
おいしいに決まってる。
今回ドバイでお邪魔したショコラティエはいずれも最先端なイマドキおしゃれチョコだったので、私はいわゆる中東の人気チョコが食べたかったのです。
ホテルのロビーでUberのタクシーを待っているとき、30人以上の女性の団体さんでロビーがいっぱいになりました。ニカブという目しか出していないベールに包まれた服装です。とっても神秘的という言い方をするべきでしょうけど、“見えない”ということが非日常的でちょっと緊張しました。私はその場を“景色”ととらえたようです。
ホテルのロビーをあとにし、Uberに乘ってショッピングモールの端っこにある〈リーチョコレート〉にお邪魔しました。
打って変わってこちらは…
えーと。
金ピカーーーーー。
きらっっきらっ。
私は確かに中東のチョコを目指して来ましたが、私の想像のナナメ上に来てしまったのです。
チョコはいっぱいあるのですが、すべてがほんとうにていねいにアルミに包まれ、まるで工芸品のようで、食べ物があるようには見えず。私のテンションは逆に下がってしまったのです。
チョコ。チョコ。チョコはどこ……?
チョコない。
しかし、これこそが思い込み。
私ったら、ほんとうに何しに行ってるのかっ。ドバイまでっ。
このブランド自体大きな会社なので、日本進出とか大きい話になっていて、私の出番じゃないかも……と、自分で選んで来たのに元気がなくなっていました。
ちゃんと感じて、ちゃんと見るべきでした。
おチョコさまはここにおられますっっっ。
「よく来たね」と言ってくれてたのに、私にはそのときその声が聞こえてなかった。
金ピカの工芸品写真を撮って、すごすごと帰ろうとすると、お土産をたくさんくれました。
いろいろな形のアルミ包み。裏面にロゴシールも一個一個貼ってあります。アルミきれいだなー。
ホテルに帰って、一個食べてみました。
うっっっっっまっ。
日本人がおいしいと感じるあのチョコは中東にあるのです。
ナッツだったり、ウエハースだったり、サンドされてたり。
いっくらでっも食べられるっっっ。やばっ。
大人から子どもまで家族みんなが楽しめる高級チョコ。立派なチョコです。
そして、アルミを開けてみるときのわくわくったら。
ごめんなさい。私はまた中東チョコの魅力を忘れていました。
これが彼らの美意識なのです。
ベールに包まれたアラビックの女性たちのように隠したがるのです。包む美学です。だからここまできれいに包む。包むことに一切手を抜いてないです。こちらの常識だと隠れすぎて、一瞬「チョコがない」と思ってしまう。チョコが景色に思えてしまう。
私は自分が見ようと、知ろうとしてなかったと気が付きました。通り過ぎるところでした。
包みのその中身はバラエティーに富んで、ユニークで、楽しくて、人にやさしい! 人への思いがあります。
それが中東チョコですーーーー。ぜーぜーぜー
よかった……
気が付いて。
危なかったー。
やっぱりこのチョコをちゃんと紹介せんと、チョコレートバイヤーみり何をしてることか。
忘れてはいけないチョコの国ごと・地域ごとの個性。感性。近頃どんどん、個性は少なくはなっていますが、大事にしなくちゃ。
ホテルのロビーの女性たち、今なら彼女たちが何しゃべってるのか、どこに行くのか。ものすごく中の人を感じることが出来そうに思えます。
おチョコさまはいろんなことを教えてくれはる。
チョコの世界旅。
中東編でした。
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チョコレートバイヤーみり
フェリシモでのチョコレートバイヤー歴28年。「チョコで世界中を笑顔にしたい」と世界各国のショコラティエをめぐり、数々のレアチョコを発掘。これまでに訪ね歩いたショコラティエは34カ国約400件。約590ブランド・約2,900種類のチョコレートを輸入販売した実績を持ち、その中でも日本に初上陸させたチョコレートは329ブランド。チョコのストーリーを語らせたら止まりません! まだ知られていない素敵なチョコを紹介するため、今日も世界の果てまでチョコ探し!
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