ガーナに現れた本格ショコラティエ「ビオコ」
ガーナに着いてすぐ行ったのが巨大チョコ工場でした。ニッチェと言います。でも「幸福のチョコレート」でご紹介するには大手すぎます。
ガーナには個人店さんはまだないのかなぁ……と思っていたら、失礼しました。現地駐在員に大人気のショコラティエがあると、こちらにお住まいのマダムに聞きました。
飛行機に乗る前に行ってみました。アクラの中心街にあるのかと思いきや、ちょっとビル街から離れて行くのです。おやっ。ここの辺の人はチョコ食べる?もっと街の真ん中に行った方がいいのでは?
ちょっと不安になってきたころに、到着です。「ビオコ」さんです。
お客さんは車で来るようで、敷地の中には車を2、3台止められるスペースがあり、その横に新しい建物のお店がありました。ドアを開けたらショーケースがひとつだけの小さなお店です。まさに私が普段回ってるくらいの規模のローカルチョコレートです。
なんだか私、まだ少し疑いつつ中に入ったら、先客がいました。
何気なく見てたら、アジア人紳士です。お互い珍しく。「あ、アジア人」と同郷意識が芽生えます。韓国の方かな。我々と同じ極東の雰囲気。ここではアジアは遠い国です。
その紳士はきちんとした服装をされてて、チョコを買われてるんですが、その数が10個以上なんです。
「すみません、お持ち帰りの袋もいただけますか?」と。
びっくり、そんなことがこの国でありますか? でも何事もなく、普通に店員さんが箱の数だけお持ち帰りの袋を用意されてました。ガーナでそれは見ない光景なんです。
しゅっとした韓国ジェントルマンは大使館関係者に違いない。韓流スターに見えてくる。お客さまにガーナのチョコをプレゼントするんだわ。
いっぱいのお土産を買った韓流スターは帰り際に私に向かって
「ジャパニーズ?」
はい、そうです。
「サヨウナラ」にこっ。
どっきゅーーん。
ガーナ在住の韓流スターはさわやかに帰って行ったのでした。
その背中を見送りながら、振り返ったら、私もうビオコを信用していました。
あの方が買ってらっしゃるんだから間違いないわ。
ようやく私の番が来て、従業員さんに、トシコさんやマダムがアポを取ってくださっていたので、オーナーさんとお約束があると伝えると、出てこられたのは女性のオーナーさんでした。
まあ、おしゃれ。
ちゃんとアフリカンなイメージで、すごく素敵だったので、まずはファッショナブルですねとお伝えすると、オーダーメイドなのよ、と。
かっこいいです。
見た目もおしゃれでかっこいいんですが、なんだかセレブな身のこなし。
余裕のある感じする。私もこういう大人になるっ。どうしたらこうなれるんだっ。
ご本人の話からも、ガーナのことをしっかり考えた、プライドを感じるのです。
「うちはもちろん原料はガーナ産にこだわっていて、すべて手づくりです。」
そのようですね。ショーケースにはボンボンが並んでいます。
パイナップル、ココナツ、コーヒー、カシューナッツ。どれも美しいボンボンチョコです。
ガーナにはないと思っていた本格ボンボンがある。私の目の前にある。これは貴重なチョコです。12年前に来た時にはなかったものです。
「数はたくさんは出来ないので、値段もしますが、大丈夫ですか?」
あんまり最近大丈夫じゃないです。ガーナで物価が安くないことはもう分かっていました。
賞味期限のこともあるので、いろいろ条件をお話していて、ヨーロッパのショコラティエにも負けない知識も感じました。
特に私はコーヒーがおいしかったなあ。かなりビターめに作られていて。ひと粒の存在感がしっかりありました。もちろん、私の愛してやまないパイナップルもシャリシャリしておいしーーーい。
日本にお届けできるか実はまだ未定なのですが。
ガーナのチョコをなんとか今年はお届けしたい。
つづく
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チョコレートバイヤーみり
フェリシモでのチョコレートバイヤー歴28年。「チョコで世界中を笑顔にしたい」と世界各国のショコラティエをめぐり、数々のレアチョコを発掘。これまでに訪ね歩いたショコラティエは34カ国約400件。約590ブランド・約2,900種類のチョコレートを輸入販売した実績を持ち、その中でも日本に初上陸させたチョコレートは329ブランド。チョコのストーリーを語らせたら止まりません! まだ知られていない素敵なチョコを紹介するため、今日も世界の果てまでチョコ探し!
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