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LOVE&THANKS基金

2024.04.29

ガーナスタディツアー~欧州企業が真剣に取り組むサステイナブルカカオの村

ホテルから1時間半、砂埃をあげながらでこぼこ道を通り、いよいよカカオ農家の村に行きました。

バリーカレボー社というスイスに本社がある巨大チョコレートメーカーさんの取り組みを見せてもらいました。「ココアホライズン」というプログラムが実施されている農地です。実はヨーロッパ諸国はガーナより隣のコートジボワールからカカオを買うことが多いのです。世界生産国1位はコートジボワール、2位がガーナで、1位との生産量は大きく違います。

主にガーナからカカオを買うのが日本とスイスなのです。

村に行くとそこは私たちがイメージしていたアフリカです。

私のメモには「おおアフリカじゃ」と、なんでか千鳥のノブさんのような言葉が書かれていました。

暑い。35℃を越えています。しかし思ってた灼熱の太陽ではありません。曇っていて蒸し暑い感じです。怖いくらい暑いので、水分補給を欠かしません。参加者の一人はもう倒れてバスで休んでいました。暑い。

注意事項の説明のときに「この村の人はいい人たちですが、日本人を見たことがない人もいるので、近づいて来てもびっくりしないで」と言われました。

村の人はこの暑さの中、大きな木の下に40人くらいがすでに集まり、プラスティックのカラフルな椅子に座っています。制服を着た人が、日本人がなんで来てるか説明しています。そう、私たちは欧州の企業はサステナブルなカカオ産業にどう取り組んでいるのかを見に来たのです。

彼らはなかなか農薬や農具を買うお金がないので、ここで村の人々が毎週集まって、自分たちで毎週4シリずつ集め、必要な人にみんなで相談して貸しているそうです。これをちゃんと毎週やってると。ノートも見せてくれました。

会議中にはメンバーをID番号で呼び合うとか、ID忘れたら罰金2セディ、会議中関係ないおしゃべりは1セディとか細かいルールがあります。

私のまわりには、ほっそい猫がうろうろしていて、鶏も足元にいて蹴りそうです。ほっそい猫はネズミを獲って生きているそうです。


テレビで見たような村の景色の中に自分がいるのが不思議でした。

銀行機能ができたことで、子どもにお金をかけることができたとか、仕事にお金をかけるようになったとか、今までなかった習慣が生れたそうです。適正な価格での取引き、農業指導も行われています。


ここで興味深い話を聞いたのです。児童労働もしてないかチェックしているという話があり。この地域に児童労働はあるか?という問いに対し、

「児童労働があると認識されたからチェックしてるのではない。あってはならないからチェックしている」と。

そこまで徹底されていたのです。


私は欧州の企業の必死さを感じたのでした。

消費者からのチェックが厳しい欧州。ここまで徹底してやらないと消費者は納得しないのかと。海外のショコラティエもよくエシカルなチョコに取り組む理由は?と聞くと「そうでないと買ってもらえないから」と言います。消費者が世の中を動かしていますね。


どこをとっても完璧に思え、私はこの取り組み自体は素晴らしいと思いました。もちろん私たちが紹介された範囲ですが、きっとウソはないと思います。

ただ、そこは企業です。

自社の取引先については責任があるのでここまでやってるので、ある意味自社の範囲に限定されてるでしょう。よく「企業のコマーシャルじゃないか」という意見があります。「結局はビジネスでしょ」となんかいい感じで捉えられないのも知ってます。



バリーカレボー社さんの取り組みは、これが本業のビジネスだからこそ、ここまで必死に頑張ってるんです。自社の商品に責任を持つために。私はチョコレートバイヤーなので、その姿勢にじーーんと来ます。チョコに真剣に向き合う本物だと思いました。

私なんかありんこさんの力もありませんが、何よりグローバル企業はいっぱい力を持っています。その力が社会には必要です。コマーシャルであろうがなかろうが、未来のためだったらどちらでもいいなと思います。

私たちの仕事は大小いろいろ違いますが、それぞれのフィールドで精いっぱい自分のできることを頑張る。ひとつの例だと思います。

いいことは誰がやってもいいのです。方法は違っても方向が同じだったら一緒に進めます。

それぞれが真剣なゆえに、結果独善的になってしまうことも多々あります。私、最近老眼来てまして、細かいものが見えません。こういう大きな夢に対しては、老眼万歳。一緒に遠くだけ見ましょう。

ただ、こんな質問も出ました。「こういう制度(プログラム)に参加する人は増えていますか」と。スタッフさんは「増えてはいない」と言っていました。そして、取り組みは強制はしないと。

ちょっとあれっと思いました。なんで増えないんだろう、と。私たちもよくできてると思うこういうことが現地に受け入れられて、自然とこの土地のものになっていくのが理想ですが。

難しい問題ですね。そんなカンタンじゃないねんなあ。こちらの方々が北の国々の解決方法を受け入れてたら、とっくに問題は解決してたかも。でもそうはいかんねんなあ……。



いやー。世界のチョコのトップランナーの取り組みは、とても刺激的なスタディとなりました。

この旅初めての村訪問です。

もう、ガスも水道もありません。

トイレはいよいよ穴でした。

バスの車内で食べたごはんは、これです。

日の丸弁当というところでしょうか。

しかし、このお米にお味噌みたいなものをつけて食べるのがおいしいのです。

もう一回食べたい。

ごはんを食べたら、いよいよカカオの畑に向かいます。

つづく

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チョコレートバイヤーみり

フェリシモでのチョコレートバイヤー歴28年。「チョコで世界中を笑顔にしたい」と世界各国のショコラティエをめぐり、数々のレアチョコを発掘。これまでに訪ね歩いたショコラティエは34カ国約400件。約590ブランド・約2,900種類のチョコレートを輸入販売した実績を持ち、その中でも日本に初上陸させたチョコレートは329ブランド。チョコのストーリーを語らせたら止まりません! まだ知られていない素敵なチョコを紹介するため、今日も世界の果てまでチョコ探し!

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