私の特別なチョコ。ロワです。私にチョコの素晴らしさを教えてくれたのは、紛れもなくこのロワなんです。パリの16区にあります。ほんとうに小さなお店です。観光で行ってもまずは見ることもない地元密着型のパリのローカルチョコです。

このチョコレートに出会うまで、うすっぺらな仕事をしてました。そのころ私はチョコは「何人（なにじん）」でも同じ顔に見えていました。（まだ、ゴディバもちょっと注目くらいの時ですので。）

食に対して万人が薀蓄を語るのはほぼ日本人だけです。

現地からくるチョコの説明なんて一切ないです。ぜーんぶ、同じに見えてました。

ある日、毎回送られてくるロワの気高きパリのチョコのプライドに、おや～～～～っ違う！ と感じてから、チョコレートがものすごく雄弁に自分の生い立ちについて語っているのに気がつきました。

ぴしーっと光り輝いていたんです。他の国にはないシンプルな形。そして、ビターな味わいと味のバラエティーの豊富さ。小さくてシックなパッケージ、でもなんか高い。そういえばフランスのチョコってみんなこんな感じだな、と思ってふと小さく書かれた文字を見たら、「フレンチトラディショナル」という名前でした。

ロワ　フレンチトラディショナル

あ。このチョコ。フランス人やわ。。。

「ウオーターーーー！」へレンケラーにおける、ウォーターのシーン知ってます？あの瞬間でした。

言葉が世界にあることに気がつく名シーン。ウォーターと言いながら水を浴びる感動のシーンです。

あのウォーターが私のチョコの仕事のロワなのです。

伝わったかどうかはまったくわかりませんが。いいです。

このショコラティエは私にとってサリバン先生。恩人です。

それとの比較で、次はイタリアがわかり、イギリスがわかり、ベルギーがわかり、スイスがわかり、国ごとに絶対違うそのスタイルにわくわくして行きました。もう、私はチョコの言葉はマルチリンガルです。

このロワのように、自分の作品に自信を持って胸を張るチョコレートに出会えなければ、私の仕事は今もって薄っぺらなままだったかも知れません。

アトリエにお邪魔しました。

とっても地味な感じです。でも、そこはフレンチチョコにあふれていました。

パリは古くはオーナーと職人さんは別々の場合が多く。オーナーはチョコレートのパッケージからお店、自分のファッションにいたるまでコーディネートします。

職人さんがひたすらチョコを作ります。

私のチョコを作って待っててくれました。先生ありがとう！

パリのシックな小さなお店で、ベストセラーなのがこれ、「ＬＯＶＥ＆ＴＨＡＮＫＳ」なのです。もともとはパリジャンタイルという名前ですが、「幸福のチョコレート」のコンセプトの名前をつけてくれました。

このチョコレートは本気のチョコマニアに捧げるチョコレートです。おそらくこのチョコレートに文句をつける人はいないでしょう。この仕事をしていてそう言い切るには勇気がいるのですが、それでも、言ってしまうのは食べた人の反応です。

ずっと紹介したかったけれど、カタログ販売でこの地味なビジュアル、しかもおっそろしく高額だから。掲載する勇気がなかったのです。嫌われたくないですので。

でも、ＷＥＢのみで販売したところ、食べた方からたくさんの賞賛の反響をいただきました。 一度試食した人もそのおいしさに、高額にもかかわらず、買ってしまうのです。リピーターが多すぎで、現在ではカタログに掲載しています。
味は2種類、カカオ豆そのものが砕かれ、ビターチョコにちりばめられたものと、ミルクチョコにキャラメルが練りこまれたものです。ビターは、カカオの素晴らしい香りが口に残ります。キャラメルのほうはキャラメルの程よい甘みと最後に感じる塩味が絶妙なのです。おそらく食べたことがある人はうなずいているはず。とても、シンプルなのになぜここまで賞賛を得るのか？ それはぜひ、チョコマニアさん。ご自身でお試しいただきたいと思います。
チョコレートにこの価格。勧めるほうもかなりの覚悟で選んでおります。

「幸福のチョコレート」のキング！ 「幸福のチョコレート」の恩人です。

ロワ LOVE＆THANKS

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チョコレートバイヤーみり〈フェリシモ〉

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