世界一美しいと思ったショコラティエ　ピーター バイヤー

デンマークのピーター バイヤーとの出会いは2007年パリでした。

おしゃれなお店で味も最高においしかった。それからパリのお店をやめて、デンマークだけになったと聞いてから、だいぶ時間が経っていました。

今回、デンマークに行くので、もう一度その名前を思い出したのです。ずっと気になる存在ではあったのですが、なんせ国際舞台には出てこなかったので、あまり名前を聞くこともなくなっていました。

しかし、デンマークの空港を降りたら、どかどかとピーター バイヤーのお店が！ そして、コペンハーゲン市内にもいっぱいのお店が。ピーター バイヤーはデンマークで大人気店になっていたのです。

「すごいなあ。えらならはったなあ。」と思って商談の日を迎えました。お店で商談かと思ったら、アトリエに来いと。コペンハーゲンから2時間近く。デンマークの端っこ、ヘルシンガーという駅に着きました。なんとこの駅、電車の終着駅。

そして、駅は船のフェリー乗り場にもなっているのです、デンマークの端っこの端っこ。そこからさらにタクシーでしか行けないところだというのです。奇跡的にめったに車すら通らないところでタクシーが拾えました。

どんどん、森の中に入ります。え？ 大丈夫？ ショコラティエやで？

そうこうしてたらワイナリーみたいな一点透視図法みたいな、ずーっと向こうまで並木道が続いてる。そこを走ること数分、その先に黄色のピーター バイヤーのお店兼アトリエがあったのでした。

誰が買いに来るの？？？

この並木道の両側にはなんと野生の鹿の群れがすぐそこまで。まるでネイチャーツアーです。あとで聞いたら、敷地は１．３ミリオン平方メートルなんですって。って言いながらなんのこっちゃ、もう訳がわからん広さです。

お店に入ったら、ピーター バイヤーさんが迎えてくれました。

案内されたのが、お店の一階の奥。なんと10ｍを超える高さの天井いっぱいにカカオの木がいったい何本あるのか？ それもここはほんとうに北欧？ というくらいカカオの花や実がなっているのです。神戸の花鳥園よりもすごいかも、入場料取れますよ。

しかし、5月でもダウンジャケットを着ている北欧で、いったいどれだけ暖房費いるのか。そんなせっこい自分とのギャップも恥ずかしく。ただただびっくり、こんなショコラティエ見たことない！

聞けば、このカカオは研究のためで、実際の使用はドミニカ共和国にカカオ農場を持っていて、社員30人でドミニカの農園に研修にも行くそうです。やっ、やりすぎ？！

2階の商談ルームでもどんどんオリジナリティーのあるチョコレートが運ばれてきます。選べないほどすごい種類。

ピーター バイヤーさんはたいへん寡黙な方で多くを語りません。なんとこの近隣から100人の従業員を雇っているそうです。みんなに慕われているのが、従業員さんの笑顔でわかります。なんかわからんけど、ジャン バルジャンみたい。謎めいたええ人や。

この寡黙なピーター バイヤーさんに聞きました。あなたにとってチョコってなんですか？ 「みんなをしあわせにするもの」。おっしゃる通りです。現在、ほぼデンマークのみ（一部スエーデン）販売なので、日本ではもちろんフェリシモだけでしか手に入りません。

後日談なんですが、あんまり景色や温室がすごいので、私のカメラでは無理、このクラスの人だったらきっとちゃんとカメラマンがついているだろうから、後でいい写真送ってもらおうと思っていたんです。しかし。この広大な美しい敷地もお店ももちろん温室も、まったく公開してないのです。誰も行った人を聞いたことがないのです。あたしだったら見せびらかしまくるけどなあ。

ピーター バイヤーさん、こんな人いませんよ。びっくりやわ、感動やわ。世界一美しいショコラティエやわ。まさにチョコレートのガンダーラ。私はチョコの理想郷を見ちゃったのかも。

しかし、コレは現実です。日本で味わえますので。今回選んだ”ラブバイト”はアーモンドをホワイトチョコでコーティング。その周りをベリーパウダーでコーティングなんですが、この酸味がかなりクセになるおいしさ！ 缶もかわいいので、食べ終わったらお茶の缶とかにぴったりです。かなりボリュームがあるので、相当満足できますよ。

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チョコレートバイヤーみり〈フェリシモ〉